笑@会社

日々面白いことを求めて爆走中!!

まるもり 第5章共存-第3話-

まるもり 第5章共存-第3話-

 「あんた、どっかのお嬢様だろ?」
金髪少女は、子供をおんぶしたまま、アパートの廊下に座り込んだ。
「硬いところに座っていると痔になるよ」
というメグルに、また頬をプルプルさせて笑っている。
「あんたの父ちゃんに会ったよ」
「真樹夫さんに?」
メグルは、金髪少女にあと数センチでキスするくらい近づいていた。
少女は、「そんな趣味はない」と、座ったまま後ずさり、あと少しで手すりに赤ちゃんをぶつけるところだった。
「あいつ、あたしの親なんだ」
「はっ?」
驚きすぎて、顎が外れたような感覚に囚われた。
開いた口が塞がらない。という状況は、これまでにもあったけれど、これが史上最高の驚きだ。この先も、きっとこれ以上驚くことはないだろう。

 わたしたち、姉妹なのね。
メグルは、何も言わずにただ首を縦に振り、彼女の目を見て目を潤ませた。
真樹子さんにはショックな出来事だろうけど、わたしは嬉しいわ。
だって、ずっと姉妹に憧れていたの。
胸の前で、手を組み、まるで神に祈るかのようなポーズでいるメグルに、金髪少女は言った。
「あんた、なんか勘違いしてるだろ?」
一つ大きくため息をついて、
「あたしの親ってのは、あのババァのことだよ」
そう言って、二○四号室の閉まったドアを指差していた。
メグルの夢ははかなく、一瞬で散っていった。

 「紛らわしいこと言わないでちょうだい」
怒り気味のメグルに、
「あんたが勝手に勘違いしたんだろ」
たて突く少女。
そのうち、言い争うのに疲れたメグルは、黙り込んだ。
おかしくなって、笑った。ケラケラと。
勝手に勘違い。確かに、そうだ。真樹夫は、真樹子に誠実だ。浮気などしそうもないし、そんな暇すらないだろう。あるのはお金だけだ。
それに、もし真樹夫の子供であれば、真樹夫は自分の子供をこんな風に育てないと思った。
こんな風に?
メグルはもう一度少女を見た。バサバサの金髪頭。化粧は濃く、服装は派手な色のキャミソールに、切りっぱなしのジーンズのショートパンツ。
良く見れば、それほど悪くもなさそうだ。
ときおり瞬かせる目は、澄んできれいなものだった。

まるもり 第5章共存 第4話へ続く


テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

    2008/09/20(土) 08:00:00| 笑@会社 | トラックバック:0
  1. | コメント:0
<<まるもり 第5章共存-第4話- | ホーム | まるもり 第5章共存-第2話->>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://lillachan.blog47.fc2.com/tb.php/820-d32daad9
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)