まるもり 第3章極貧-第5話- 何か一言物申せば、誰かが手助けしてくれる。
どんな些細なことでも、何でもやってもらえる。
だから、面倒くさくなったら、ちょっとできない振りをして、寄りかかってしまえばそれでオッケー。
メグルはずっとそうした甘えた環境で育ってきた。
困った振りをする。できない、分からない振りをする。そんなことが大の得意だ。
そして、そんな彼女を見て、「助けてあげたい」という者が後を絶たないからまた困る。
メグルを心から好きなら、手助けもほどほどにしないといけないだろう。
これまで彼女の周りを取り囲んでいた者たちの多くは、メグルの家や名声が目当てだったのか、彼女に嫌われまいとしていた。
ギュィ。
微かに玄関のほうで音がしたとき、メグルは、フローリングの横に寝転がっていた。
誰かが玄関に立っている。気配でも分かる。カサカサと音がしたのは、靴を脱いだのだろうか。
誰だろう。隣の、あのおばさんだろうか。
固く目を瞑って、そのときを待った。そのときとは、誰かが優しく声をかけてくれて、その人に全てを委ねるときだ。
でも、その瞬間は、いくら待っても来なかった。
薄っすらと目を開ける。
と、メグルは今度こそ、本当に失神しそうになって、大声を上げた。
それから、どれだけ時間が経っただろう。
メグルが目を覚ますと、そこには案の定隣の部屋の女が座っていた。
まるで自分の家であるかのように、あぐらをかいて、堂々と部屋の真ん中を陣取っている。
そうだ、この顔だ。
メグルは、じろじろと隣人の顔を見た。
この顔を至近距離で見て、メグルは卒倒したのである。
額や頬に深く刻まれた皺。老婆というほど年老いてはいないが、近くで見ると、お化け屋敷からそのまま出てきたようで、怖い。
メグルは何も言わずに、もっそりと起き上がる。
真樹子は、目を覚ましていて、メグルをジッと見つめている。その視線は、うつろで涙ぐんでいるように見えた。
「あんたたち、男に追い出されたんだろ?かわいそうに」
何故隣人がそんなことを知っているのだろう。
ひひひ。
隣人は、下品に笑う。
「あんたたち、囲われていたんだろう?捨てられて、かわいそうに」
捨てられた。というところに、真樹子は体を震わせた。そして、しくしくと、肩を震わせ泣き始める。
「ふん。女々しいったら、ありゃしない」
女だもん。女々しくたっていいじゃない。
メグルは、真樹子に嫌な言葉を吐くこの隣人に、心の中では腹を立てていた。
まるもり 第3章極貧 第6話へ続く
テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学
2008/07/19(土) 12:00:00|
笑@会社
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真樹子さん…大丈夫かな…メグちゃんのほうがずっと強いなぁ〜!
全てを任せるっておい…泥棒さんとかだったらどうするのって心配しちゃった(笑
- 2008/07/21(月) 23:34:34 |
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- らんらら #-
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そうですね〜♪
なんとなく、メグルのほうがまだマトモな雰囲気はあります^^;
真樹子さんは、そりゃもう足手まと…いえいえ(笑)
この二人の行く末が、かなり心配ですね。
- 2008/07/22(火) 16:48:45 |
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- ユミ #-
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