笑@会社

日々面白いことを求めて爆走中!!

女園秘書室-第147話-


もうすぐ終わりなので、毎日更新で3月終了とさせていただきます♪
春ですね〜。なにか新しいことにチャレンジしたくなります^^


第147話

「さて」
社長が、ようやく桃子と目を合わせる。
「きみは、どうするかな」
桃子には示す進路はないようだ。
自分で考えろということか?
行き場所は、どこかにあるのだろうか?
阿東が社長になる。秘書の席は、空席だ。飛び出していった有砂が、戻ってきて、
「秘書をやってもいい」
と言わない限り、誰もいない状態だった。
樹里は、理子の会社へ入社する。
桃子は、まだ秘書として一歩を踏み出した状態で、何も分からない赤ん坊と一緒だった。パソコンは
何とか、一般レベルに足を踏み入れた程度だし、外国語に関しては何一つ分かっていない。
これまでのように、難しい局面では有砂が仕事をこなしてくれるというなら、少しずつ覚えていくことが
できる。でも、誰もいなくなったいま、責任を一手に引き受けるほどの自信はない。
度量はあっても、仕事ができなければ意味はないのだ。

桃子は、返事に迷った。
こんな会社、辞めてやる。
と思ってはいたが、いざそうなるとすると、行く場所に悩んでしまう。
警備員に返り咲くことくらいしか、思いつかない。
「でもなぁ」
一度決めたことを撤回するようなことは格好悪いと思っていた。
子会社の警備会社から、白旗本社に移動しただけでも栄誉あることだ。
そう言って、上司たちが涙を流しながら喜んでくれたのを思い出す。
「船出だ。門出だ」
と、盛り上がり、酒を酌み交わしたあの日。
あたしは、立派な社長秘書になってやると心に決めていたはずだった。
いまさら戻る場所はない。

「あたしは」
その後が、なかなか続かなかった。
何もやれるものがないんだ。言えることが、何一つない。自信があるのは、体力だけだ。
あの警備会社に戻れないのであれば、違う警備会社で働くか。
これまでの経験を買われて、雇ってもらえる可能性は高い。
テーブルを囲む全員の視線が注がれて、桃子は緊張していた。
「緊張」などとは縁遠かったはずだったのに。
「まぁ、いいじゃないか」
と言った声が、微かに震えていた。
社長は、腕を組みジッとしている。

誰も何も言わなくなって、何分か経ったとき、意外な人物が立ち上がる。
阿東だった。
「花木さん、いや」
一度桃子の名前を呼んだが、何を思ったか、先に樹里に向き直る。
「すまなかった」
「いまさら」
樹里は、胸の前で腕を組んで、口を真一文字に閉じた。
ツンとして、怒りを表しているのかと思っていたが、意外にもテーブルの下の足は、細かく震えていた。
これまで非を認めなかったのは、なぜだろう。
有砂が怖くて言えなかったか?
彼女が去ったいま、重いものから解き放たれて、心が穏やかになったのかもしれなかった。
それから、阿東は桃子に向き直った。
「花木さん」
なんだろう。阿東に謝られることなど、何も思い浮かばない。
ないだろ?
眠くなった目をこすりながら、彼女は目の前の阿東をただジッと眺める。

-第148話へ続く-

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

    2008/03/27(木) 12:00:00| 笑@会社 | トラックバック:0
  1. | コメント:2
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コメント

意外だー

阿東さん、ようやく樹里さんに悪かったって…樹里さんの気持ち、
かわるかな?桃子さんはいくところきっとあるよ!
私が社長ならスカウトします(笑)来て来て!!
  1. 2008/03/27(木) 19:45:37 |
  2. URL |
  3. まっこりー #-
  4. [ 編集]

>まっこりー

阿東くん、本人なりに悪かったと思い始めたのかな。
本気で思っていれば、きっと伝わるはず^^
桃ちゃんの行方、どうなることやら…。
雇ってもらえるなら、関西行かせようか…??
  1. 2008/03/29(土) 07:38:25 |
  2. URL |
  3. ユミ #-
  4. [ 編集]

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