笑@会社

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女園秘書室-第114話-


桃子を連れ出した秘書2人。敵か味方かも分からない。
沈黙の三人の医務室で、思い起こすは、阿東の妻に起こった出来事。
考える桃子の元に、久々のアノ人登場!!
これから何が起こるのか?!


第114話

三人のうち一人は、秘書室に残った。
どの部署でもそうかもしれないが、秘書室に誰もいなくなるというのはご法度だというわけだ。
どこからか電話がかかってきたとき、対応ができるようにということだろう。
廊下へ出たのは、桃子と二人の秘書の三人。桃子はこの二人の名前さえ知らないが、とにか
く後についていった。
行き着いた場所は、桃子も知っている場所だった。医務室。ここへ来たのは、先週だというの
に、その間にいろいろなことがありすぎて、たったの一週間前だと思えなかった。
ドアを開ける。
「まだみたい」
一人が言って、数台並ぶベッドの仕切りのカーテンを全て開け放つ。
「花木さん」
もう一人に呼ばれて、桃子は振り返る。
「わたし、厚木と言います。彼女は、梅原さん」
梅原と呼ばれた女性も、桃子の顔を見て会釈する。
「そんなことより」
桃子は、二人の顔を見比べて言った。
「ここで、何が始まるんだい?」

医務室で、何かが始まるのを待つ間、三人は俯いていた。話すことが何もなかった。
桃子は、社長の家でのことを思い出していた。
阿東の妻。
社長秘書という役割からおろされた阿東は、家にいても常に何かを思い悩んでいたという。
徐々に自分に対する態度も変化してきて、優しかった夫は、暴力まで振るうようになってい
た。自分は、親のいない環境で育ったから、子供には寂しい思いをさせたくないという優しか
った気持ちも、それ以降どこかへ消えていったように、彼女には見えていた。帰宅は、社長秘
書をしていた頃より遅くなり、まちまちになり、そして戻ってこない日もあったという。
社長秘書をおろされてから、夫は変わった。社長の責任だ、とまでは思わなかったものの、家
庭が崩壊していく様を、見ているのは辛かった。
いろいろ調べて、社長の家を見つけ、訪問した。
最初は渋っていた社長も、自分と近しい関係の阿東のことである。その妻には、隠しておくよ
りも、真実を知っておいてもらったほうがよいと思ったのだろう。
阿東の出生の秘密が包み隠さず語られたとのことだった。
「社長さんは、困ったことがあったら小さなことでも、いつでも相談に乗るから、ここへ来なさい
と。そう言ってくださいました」
阿東の妻が、照れるように笑って、俯いていたのが印象的だった。その顔つきに、何か女の
匂いを感じ取っていたが、桃子は態度には出さなかった。
それから彼女は、すっかり冷え切った夫婦生活には愛想をつかし、足しげく社長宅に通うよう
になったのだという。そのうち、一人家政婦がやめることになり、代わりに彼女が働くようにな
ったとのことだった。
阿東は、妻には関心がないようで、特に何を聞かれることもなかったとのことだった。

どうしてこんなに複雑なのだろう。
さっぱりした関係を築くことが、それほど難しいことなのだろうか。
男女の深い関係を築いて、一時の快楽に溺れて、何を得ているのだろう。それが終わったと
き、いったい何が残るのだろう。
桃子が顔をあげ、天を仰いだときだった。
医務室のドアが勢い良く開いた。

「桃子さん」
入り口に立っていたのは、樹里だった。
まだ樹里の家から離れて一日と経っていないのに、ずいぶん久しぶりに会ったように感じられ
た。それは、会社で会うのが久しぶりだったのかもしれない。
樹里は相変わらず、隙のないメイクや服装で、完璧な女だ。なぜかいきいきした顔つきで、頬
は高潮している。
その後ろには、沢渡渚が立っていた。
樹里とは反対に妙にしんみりした顔つきだ。
「あぁ、福井さん」
桃子と一緒に秘書室を飛び出した二人が立ち上がり、樹里と渚を迎える。
そんな二人を脇に制して、樹里は桃子の前まで歩いてきて、頭を深く下げた。
「ごめんなさいね、桃子さん。変なことに巻き込んでしまいましたね」
樹里が謝る必要などどこにあるというのだろう。
確かに、おかしな渦の中に立っている。それは認識している。けれど、それに樹里が巻き込ん
だことが悪いのではなく、そもそもそんな状況を作り出した諸悪の根源がいるはずなのだ。そ
の元が悪いのである。
「なーに、気にするな」
ガハハハ。
豪快に笑う。樹里だけが、それにつられてクスクスと笑っていた。

-第115話へ続く-

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

    2008/01/21(月) 12:00:00| 笑@会社 | トラックバック:0
  1. | コメント:4
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コメント

うむ〜。

人間、なにが人生を変えるか分からないなぁって。阿東の奥さん見て思いました!
それぞれ、一人ひとりは一生懸命行動している。正しいと信じて、行うことがこんなふうに渦みたいになって。
複雑、でもリアル!!
人は人に影響されて生きていくんですよね!

おお、樹里ちゃん!!やっぱり樹里ちゃんがいると明るい気分になる♪
なにが始まるんだろう!!
  1. 2008/01/22(火) 11:05:55 |
  2. URL |
  3. らんらら #-
  4. [ 編集]

複雑

うわーん、ごちゃごちゃしてきましたね!!浮気する人ってどこか
寂しいんでしょうね。自分の出生は怨んでも誰にもどうしようもない。
だからって阿東の行動を肯定するわけじゃないんですけど。
樹里さん登場で何か解決できそうな予感ですね☆
  1. 2008/01/22(火) 18:58:18 |
  2. URL |
  3. まっこりー #-
  4. [ 編集]

>らんららさん

彼ら、よくぞここまで複雑な関係を築き上げました!!
しかも、全部近い場所で><
人は本当に人に影響されますよね〜。だから、付き合う人って大事。
樹里ちゃん復活してきました!!これからどんなことが待っているやら。
辛いこと、たくさん乗り越えてきた彼女だから、幸せになれることを願って
やみません!!
  1. 2008/01/22(火) 22:54:22 |
  2. URL |
  3. ユミ #-
  4. [ 編集]

>まっこりー

ご、ごめん!!ごちゃごちゃしちゃって…。
分かりやすく書くようにするね!!
出生がどうであれ、前向きに頑張ってる人もいるから、やっぱり阿東の
行動は、わたしも肯定できないけれど…。寂しいヤツ。
樹里もいっぱい傷ついたから、上手く解決できるか分からないけど、最終
的には、みんなが幸せに…☆が、目標だよ〜
  1. 2008/01/22(火) 23:18:08 |
  2. URL |
  3. ユミ #-
  4. [ 編集]

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