
主な登場人物

花木桃子
デーンとした大きな体に、肝っ玉のすっきりあっさりした性格。三十を超えても独身を貫いてい
るが、独身でいたいわけでもなさそう?!体育以外に得意科目はなく、体力勝負で抜擢され
た社長秘書での仕事は四苦八苦。日本語以外は全部英語だと思っている可愛い面も。
福井樹里
才女であり、美人。天から二物以上の物を与えられた女性。生まれも育ちも複雑で、最近ま
ではいい環境に身をおいていなかったものの、桃子と出会い、前向きに進む勇気を与えられ
希望を見出している。
アンドリュー・グリーン
イギリスのグリーンジュエリーの跡取り息子。代々伝わる秘宝の赤く輝く石を狙われ、行方不
明に。
もうすぐ三十路の容姿端麗で、頭もいい男。
[桃子、愛を食べる 第6話 -愛より食べ物-]
「サンキュー、モモコ、ジュリ」
三人は、高層ビルの最上階のフレンチレストランにいた。
クリスマスの夜に、男一人と女二人というシチュエーションは、店員から不思議な目で見られ
ていた。桃子は、樹里とアンドリューを交互に見た。
アンドリューは、俳優になれそうなほど見てくれがいい男だった。背が高く、細身の体型。金
髪のさらさらした髪の毛。細いが凛々しく上がった眉。大きな二重の目。端正な顔立ちをして
いる。
この二人、美男美女でなかなかいいのではないか。樹里は英語も喋れるし。樹里は、三人で
何かを話すたびに、桃子のために日本語に訳し、アンドリューのために英語に訳していた。こ
こは気を遣ってやろう。あたしからのクリスマスプレゼントだ。
桃子は席を立ち、
「帰るよ」
と言った。
宝の石を守ってくれたこと、自分を助け出してくれたことに感謝して、桃子と樹里を食事に招待
してくれた。クリスマスの予約でいっぱいだったろう人気のレストランでこうして食事ができる
のは、グリーン家は、世界でも名の知れた富豪であるからだろう。
自腹ではないこの食事を、最後まで楽しみたい気持ちはあるけれど、自分にはこんな素敵な
場所は似合わない。そう感じていた。
そんなとき、ふと思い浮かぶのは、昨晩も食したラーメン屋の塩ラーメン。
「それがあたしさ」
食事の途中に立ち上がった桃子を、二人は不思議そうな顔で見つめている。
「彼女、どうしたの?気に入らないことがあったのって、アンドリューが心配してるよ」樹里が
座ったままで、桃子の腕を取る。
「いや、あたしにはやっぱり高級料理より、ラーメンのほうがあってるって思ってさ」
樹里とアンドリューがお似合いに見えたから。とは言わなかった。
ちょっと悔しい気分が混じっていたからだ。そんなとき、自分も女なんだなと実感する。
いつもはそんな素振りを見せていなくても、やっぱり彼氏は欲しいし、幸せな結婚も望んでい
ることに気付いて、恥ずかしくなった。
「ラーメン」
急に、アンドリューが叫んだ。
そして、なにやら樹里に早口でまくしたてている。
「あのね、桃子さん」
樹里が苦笑いしながら桃子に耳打ちする。
「さっき、訳さなかったんだけどね」
樹里はもったいぶって、ニヤニヤしている。
「アンドリュー、桃子さんのこと気に入ったみたいなの。どうやったら彼女を口説けるかな?っ
て相談を受けていたのよ。いい男だから、ちょっと悔しさもあって、桃子さんにはすぐに言わな
いでおこうって思っちゃった。わたし、イジワルね」
樹里も、正直な女だ。
先にそう思ってから、いきなり、
「えぇぇぇ?」
と声を上げる。
アンドリューがわたしを口説きたいって?それってどういうことなんだい?あたしのことがスキ
ってことかい?桃子はヘナヘナとその場に座り込んでしまった。
「あたしにも幸せが?あぁ、でも英語なんて喋れないぞ。なんてこった」
桃子はその場を動けずにいた。
「ラーメン、ラーメン」
アンドリューだけが、何かのメロディに乗せて、陽気になっている。
「あのね、桃子さんがラーメンが食べたいなら、僕もラーメンを食べに行くって。ほんっと悔しい
んだけど、樹里も通訳として付いてきてって。桃子さんの頭のよさと勇気と度胸に惚れたみた
いよ」
グリーン家の者以外が宝の石を持つと不幸が起こるという話は、桃子が昨晩思いついたこと
だった。それがとても上手い理由だと思っているらしい。
桃子が強行突入したこと、アンドリューを助け出したこと。去り際に、男のみぞおちに一発パン
チをして、
「アンドリューが受けた痛みを知れ」
と言ったこと。
この全ての出来事で、アンドリューが桃子を気に入ったというのだから、世の中捨てたもので
はない。
来年のクリスマスはどうなっているか分からないけど、今年はとりあえずラーメンだ。恋よりラ
ーメンを取った桃子だったが、英語を勉強するにはどうしたらいいのか密かに頭の中に思い描
いていたのである。
**完**
走り去るように書いた短編でした…。
読んでいただいて、ありがとうございました♪
テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学
2007/12/25(火) 21:00:30|
笑@会社
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-
| コメント:8
メリクリです!!
面白かった〜!!(^∀^)
ピーチ姫にもついに王子が!?
ぷふふふ!!
樹里ちゃんも桃ちゃんも、おんなじことを想って悔しいなんて〜。そこで、あっさり譲って席を立とうっていうあたりが、桃ちゃんらしい〜!!
楽しませていただきました〜♪
- 2007/12/25(火) 22:22:40 |
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- らんらら #-
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面白かったです!!まさか、桃子に恋人候補がーっ!!
しかもイギリスの富豪。でかした、桃子!!
今から英語を必死に勉強しなきゃですね(笑)
やっぱり桃子かっこいいなー。
面白い短編、クリスマスに楽しめました♪
- 2007/12/25(火) 23:15:17 |
- URL |
- まっこりー #-
- [ 編集]
面白かった!!今後どうなるか知りたいよー。また気が向いたら
この続きを書いてー♪もしかして桃ちゃん、英語ぺらぺらになって
イギリスへ…なんてことになってたりしてさ(*^^*)
- 2007/12/26(水) 23:04:50 |
- URL |
- ビックママ #-
- [ 編集]
最後まで読んでいただいて、ありがとう♪
ピーチ姫〜〜、桃子にはもったいないニックネーム(って、怒られる^^;)
宝石王子との恋の行方は…あぁ、なんかいずれ書いてみたいな〜。
女の子って、どこかで「悔しいわ〜」という感情を持っているだろうと思って
こんな風にしてみたけれど、この2人はそう思っても結局お互いを想って
いて…。良い子達です(笑)
楽しんでいただけて、良かったですー!!
- 2007/12/27(木) 00:12:54 |
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- ユミ #-
- [ 編集]
最後までお付き合いありがとう♪
今頃、桃子は必死に英語に取り組んでいることでしょう(笑)
何でも、ほんの少しのきっかけだもんね^^
来年はまた一段とかっこよくなった桃子になると思うよ!!
- 2007/12/27(木) 00:17:26 |
- URL |
- ユミ #-
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うん、わたしも桃子の恋の行方を書きたくなっちゃったよ!!
やっぱり恋も必要だもんね〜。
最後まで読んでくれて、ありがとね〜〜♪
- 2007/12/27(木) 00:20:51 |
- URL |
- ユミ #-
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本編を一気読みしている途中にショートストーリーが!!^^
思わず本編をひとまず置いといて(笑)読んじゃいました☆
いや〜桃子と樹里、やっぱりいい友達ですね〜^^色んなことがあって二人で助け合って乗り越えたもんだから、絆も深いでしょうし♪
お父さん、久々だけど随分と変わってるし^^
サイドストーリー的なものですね☆これは女園秘書室ファンには美味しい作品でした(笑)
桃子、かなりビックリしたでしょうに^^ふふふ☆私も思いがけない展開に驚きましたもの♪この二人、どうなっていくのでしょう??ショートストーリーだからここで終わりなんでしょうか?む〜ん、それは残念!><できれば続きをお願いします!「桃子、イギリスへ行く!」とか(笑)
リアルタイムで読みたかった〜><ちょっと悔しかったです(笑)
楽しいショートをありがとうございました☆さ、本編、本編♪
- 2008/01/14(月) 22:29:10 |
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- chacha #-
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ふふ♪こちらも読んでいただいて、ありがとうございます!
こちらは番外編なのですが、本編終わり次第、この恋の行方も番外編
で書いてみようと思っていますよ〜。
「桃子、イギリスへ行く」いいですね〜。いただきます、このタイトル!!
わたし、海外って言うとイギリスになってる(笑)
桃子と樹里の絆はとっても深いものになっています。
最初は、こんなことになるとは思わなかったけれど・・・。
友達って大人になるにつれて、できにくいって思いがちですが、そんなこと
ないんだなぁと、二人を見ていたらそう思えてきました。
本編ではもうちょっといろんなことを乗り越えていくと思いますが、どうぞ
見守っていてください♪
コメントありがとうございました〜^^
- 2008/01/15(火) 21:27:45 |
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- ユミ #-
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