過去をほとんど吐き出した樹里に、更なる試練が待ち構えています。
樹里には、それだけ乗り越えなければならないことがたくさん!!
でも、桃子が一緒だからきっと前を向けるはず♪
今度は、家庭内にスポットを当てた第66話!
第66話三人は明け方近くまで酒を酌み交わした。
最初のうちは、ワインなどと洒落たことを言い、気取っていた樹里も、憂さを晴らすかのように
日本酒に手をつけていた。
今日は樹里のための飲み会だからと遠慮していた桃子も、途中から酒に手を出していた。
三人の呑むペースは一向に衰えることはなく、そして誰もが酒にのまれる様子はなかった。
根競べのような呑みっぷりに、店員の方がうろたえていたほどだった。
間を空けないうちの再会を約束して、午前五時、タクシーに乗り込む。
樹里は、ドライバーに行き先を告げると、スースーと軽い寝息を立て始めた。
タクシーがカーブを曲がるたびに、多少は体を揺らしているが、その姿勢はピシッとしたものだった。
よく訓練されているような気がした。
寝ているときまで、いい子にしている樹里。見ているのが辛くなって、桃子も目を閉じた。
カツン。
ごく小さな音に、桃子は目を覚ました。
タクシーを降りてからの記憶は、あまりない。確かなことは、二人で競うようにリビングに駆け込み、
ソファに転がり込んだということだけだった。
それから何時間経ったのだろうか。
重厚なカーテンを閉め切った部屋の中は、薄暗く、外の明るさをうかがい知ることはできない。
桃子は、細く目を開けて、頭を持ち上げた。
リビングのドアがゆっくりと閉まろうとしていた。
朦朧とする意識の中で、桃子は人間ではないような大きな影を見た。
夢か?現実か?
もつれそうになりながらも、何とか足を前に出し、リビングを出た。
「あぁ、すまなかったね」
桃子が見たのは、人間だった。
熊のような、森の住人のような、樹里の父親だった。
ほとんど家に帰ってこないと言っていた彼だった。
「あの、お父さん」
桃子は、そう呼びかけていた。
「話が。話したいことがあるんです」
樹里の父親の元まで駆け寄り、桃子はその大柄な男を鋭いまなざしで見つめた。
「僕はね、忙しいんだ。ちょっと荷物を取りに戻っただけでね。すぐに出かけなければならない。
きみは確か……」
樹里の父親は、桃子を思い出しそうで思い出せないような顔をしていた。
「花木桃子です。昨日診ていただきました」
「あぁ、そうだったね。樹里の友達のね。調子はどうだい?」
「わたしはいいです。でも樹里さんがよくありません」
桃子がそう返事をすると、父親は一瞬うろたえた表情を見せた。でも、それは本当に一瞬だった。
「あの子が?あの子は大丈夫さ。病気などしたことがない。親がなくとも、頑張ってやってきたんだ」
そんな。
桃子は、悲しくなった。
分かっていない。本当の樹里のこと。
心の中まで見ていないからだ。見た目は元気かもしれないが、心は荒んでいる。
親なのに、そんなことにも気づいてやれていない。
「他に何か話はあるかな?」
「ある」
「困ったね。僕は忙しいんだよ」
何かを唱えるかのように、忙しいを繰り返し言う。
とうとう、桃子の怒りが爆発した。
「あんた、父親のくせに、樹里さんのことぜんぜん分かってないね。彼女がこれまでどれだけ
辛い思いをしてきたか。母親が出て行って、父親は外泊ばかり。世話はお手伝いさんにまかせっ
きりで、正常な心が育つか?」
息切れしそうなほど、一気にまくしたてた。
それでも、樹里の父親は冷静さを失わず、
「外泊とは聞こえが悪いよ。僕は、患者さんのために、全力を注いでいるんだ。それがわたしの
使命なんだよ」
と、ニッコリと笑った。
「樹里さんは、どうでもいいのかよ?身内は、あんたしかいないのに。本当はあんたに頼りたい
はずなのに。他人を助けて、家族を助けられないのかよ」
桃子の声の大きさは、尋常ではなかった。
キィ。
静かにドアを開けたのに、返って変な音が立つときがある。
それと、同じだった。
樹里がリビングのドアをこっそりと開けていた。
そして、桃子の背中に抱きつきたい衝動に駆られていた。
-第67話へ続く-
テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学
2007/10/03(水) 12:00:00|
笑@会社
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| コメント:2
涙が枯れちゃいますよっ!ホントにもぉっ><
なんて桃子はそんなに人に対して優しいんだ!
自分のことのように悩んで、悲しんで、怒って。
それだけで、本当、それだけで当人は救われる気持ちでいっぱいでしょうに。
樹里たん・・・
物陰から聞いていたのですね。
いやいや、桃子の声が大きすぎ??(笑)^^
背中に抱きつきたいって・・・私はもぉ抱きついてますから!桃子ーーーー!!!(どかっ
この親父は・・・くそぅ。
一発しばいてやらにゃぁ気がすまねぇ><むむむ!!
- 2007/10/03(水) 12:41:44 |
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- chacha #-
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あぁ、chachaさん!!大丈夫ですかーー??
桃子に体当たりしたら、怪我しますから〜(笑)気をつけて下さいね♪
桃子は普段から声デカイですから、ちょっと怒ってたら、ますます↑
なのです。
そりゃ、深い眠りからも目が覚めるって?!
桃子は見た目怖いですが、言葉も悪いですが、優しいんです。
きっと優しい両親に育てられたのでしょう(あの母ですが^^;)
このオヤジィにも見習って欲しいわ!!
さ、桃子にしばいてもらいましょ☆
- 2007/10/03(水) 23:44:47 |
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- ユミ #-
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