樹里の悲しい過去、すべて曝け出します。
こうすることで、マイナスな気持ちが浄化されることを願って…☆
話を聞いて、桃子はどう動くのか?!
秘書の仕事と樹里の心を溶かすこと。どっちも大切で、手を抜けません。
樹里の痛ましい記憶が甦る第62話!!
第62話樹里は、何度も何度も、こぼれそうになる涙を指で押さえながら話をしてくれた。
その間、理子は一切お酒を呑まなかったし、桃子も食べ物を口にしなかった。
樹里のこれまでの人生は、あまりにも悲惨なものだった。
家事をしない、学校の行事にも顔を出さない母親。仕事人間の父親。
そのせいで、樹里は毎年運動会を欠席していたという。
運動会といえば、小学生のときなど、親がカメラ片手にわが子の写真をこれでもか
というほど写し、現代とは違って、桃子や樹里が子供だったころはまだ庶民には
高嶺の花だった、ビデオカメラを回す一年の中でも一大行事の一つだ。
お昼になれば、見に来ている家族とお弁当を食べ、また午後の種目に繰り出していく。
桃子など、体力には自信があったため、運動会ではヒロイン的存在だった。
この日の活躍を夢見て一年を過ごすといっても過言ではないほどだった。
「授業参観も一度も来たことがなかったです」
あぁ、それだけは来てほしくなかったな。
桃子は頭の中で思うだけにとどめた。樹里は、親が来なかったことで寂しい思いを
しているのだから、そんな贅沢な悩みなど言ってはいけなかった。
小学校も高学年になると、さすがにもう諦めたらしいが、それでも、ほんの少しでも
見に来ているのではないかと、始終後ろを振り返っていたのだと話してくれた。
樹里はあまりにも辛いものを背負っている。
桃子は思わず手を伸ばして、背中をさする。
それから、いじめのことについても話してくれた。
小学生のころ、樹里も何度も目撃していた。自分の母親が、父親ではない誰かに
肩を抱かれながら歩いている場面。時には自宅に乗り付けられた車に、堂々と乗って
いく場面。そして、父親が家にいないのをいいことに、いつの間にか家にまで上がり
こむようになった男。
一番仲の良かった友達も、樹里の母親が見知らぬ男と歩いているのを目撃していた。
彼女は、唯一、樹里の両親を知っている友達だった。
「ねぇ、樹里ちゃんのお母さん、お父さんじゃない人と手つないでたよ。どうして?」
教室で何気なく発せられた彼女の言葉は、近くにいた女の子のグループの耳に入った。
そのグループは、クラスの中ではリーダー的存在の女の子を中心に作られていた。
そして、当時の小学生にしてはマセていて、中学生や高校生とも交流があった。
「樹里の母親は、淫ら」
そんな噂は、瞬く間に広がった。
近所の中学生や高校生からも異様な目で見られることが多くなっていった。女子
生徒からは、
「人の男を取るな」
根も葉もないことで、暴力を受けた。
男子生徒からは、母親と同じように見られた。それが一番辛かったと樹里は言った。
要するに、
「淫らな母親の子供も淫ら」
というレッテルを貼られたわけで、性的暴力が振るわれたとのことだった。
桃子は、いてもたってもいられなくなっていた。
「そいつら、ぶっとばしてやる」
握り締めた拳は、真っ赤に腫れて膨れ上がっている。そして、手は震えていた。
行き場のないこの気持ちを、目の前のテーブルにぶつけるかのように、ゴツンと
一発殴ったが、少しも気は晴れなかった。
樹里が、桃子の赤くなった手をさすってくれる。
「それから、結局噂をばら撒いた親友も、わたしを苛めるようになって、わたしは
一人の殻に閉じこもりました。中学は、誰も知らない場所で新しくやり直そうと
思って、私学を受験して入学したのですが、そこに小学生のときの同級生がいて……」
結局同じような苛めが繰り返されたのだという。
桃子が、夕方に見た白昼夢。
それは、樹里の本当にあった過去だったのだ。
なぜあんな光景が頭の中に浮かんできたのかは分からない。
樹里が、何か特殊な能力を持っていて、桃子に見させたというわけでもあるまい。
桃子の想像だったのか。
何もかも理解できなかったが、あったことは真実だったのだ。
樹里がさすってくれた手からは、テーブルを殴ったときの痛みは消えていた。
体の傷は、いつか消えていく。完全でなくとも、治療することは可能だ。
心の傷は、どうなのだろう。消えるものなのだろうか。消えるとすれば、いったい
どうすればいいのだろう。
小学生のころに起こった出来事を、これほどまでに鮮明に覚えているのだから、
簡単ではないだろう。
どうしたらいい?
桃子は、そっと樹里の横顔を見つめた。
-第63話へ続く-
テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学
2007/09/25(火) 12:00:00|
笑@会社
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| コメント:2
61話もやばいぞ泣けるぞ!!って思ったけど〜(TT)
樹里ちゃん〜(@д@。)
よくぞ、普通に働くOLさんに育ったよ!(><)
だれも、誰も助けてくれないなんて(TT)
桃子と理子さんに出会って、本当に良かったと思うなぁ〜♪
人それぞれ、「これが一番つらかった」という経験があるけれど、それが一つの基準点になって、それを乗り越えたんだから、と次の試練も乗り越えたりするんだよね。
でも、基準のレベルが人によって全然違うから、自分が人よりもつらかったかもしれない、とか、思い至らなくなってしまったりするんだよね…。
彼女なりに乗り越えてきた結果が、仮面をいっぱいつけた樹里ちゃんだったんだね〜。
それをとって、泣いても大丈夫な相手に出会えて、本当に良かったなぁ♪
いっぱい泣いちゃいましたよ〜(TT)
- 2007/09/26(水) 22:12:39 |
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- らんらら #-
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ハイ、そうなんです〜。樹里たん、よくぞここまでグレずに成長してくれ
ました〜。
あぁ、らんららさんの涙で、彼女も救われたと思いますよ〜。
悲しみは、分け合って軽くするのが1番ですので^^
感謝+感謝です♪
誰でも、自分が辛いと思ってしまうものですが、それ以上に辛い人もたく
さんいるんだと。樹里もそのうち悟りを開くでしょう〜。
早く仮面をはがして、桃子と一緒に、「おりゃ〜〜」と言ってほしいものです(笑)
あぁ、らんららさん、体調が思わしくないときに、涙させてしまってごめんなさい。
そのうちすっきりさせますので!!
- 2007/09/27(木) 15:55:47 |
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- ユミ #-
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