笑@会社

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女園秘書室-第61話-


樹里がいよいよ壊れます。いい方向に砕けていってます。
この2人に本当の自分を知ってもらうことで、樹里の寂しかった心が癒される
ことを願ってやみません!!
鬼のいぬ間のつかの間の休息である週末!
理子&桃子コンビに樹里が加わって、良いトリオになる第61話♪


第61話

一皮剥けた。
こうして、樹里はどんどん、桃子たちに近づきつつあった。
いや、まだ到底そこまで女を捨てられないが、だいぶざっくばらんな調子になってきた。
勢いに乗ったのか、理子の焼酎のボトルを開け始める。普段は呑んでもワインだと
言っていた。フランス産のどこそこのものが美味しいなどと言っていたのに、今は
あぐらをかいて、焼酎を呑んでいる。
しゃべる言葉も、次第に変化してきていた。
「理子さん、あたしにとって必要なのは、桃子さんですか?五反田さんですか?」
完全とは言えないが、樹里は酔っ払いになっていた。
いつもは、「わたし」「わたくし」などと気取った言い方なのが、気付けば「あたし」
になっている。
理子が水で割ってくれた焼酎は、彼女の好みの濃度で、樹里の許容範囲を超えて
いたようだった。
「おい、誰だ?五反田さんって」
理子は桃子に話しかける。
「鬼です。秘書室の」
桃子は、お酒を呑んでいなかった。体調が良くなったばかりだったし、今日の飲み会は
自分が主役ではなく、あくまでも樹里に楽しんでもらうように設定したものだった
からだ。
自分が酔っていたのでは、何の意味もない。

桃子の「有砂=鬼」発言に、樹里は目を細めた。
いくら本当のこととはいえ、樹里にとっては大学時代からの友人だ。しかも、しらふ
なのだから、本音としかいいようがない。
樹里の顔が、次第に赤くなっていく。怒っているのだろうか。桃子が顔を覗き込もう
とした瞬間、樹里は今までに見せたことのない顔になった。
そして、大声で笑い始めたのだ。それは、大きい声で、桃子も呆気に取られるほど
だった。
ゲラゲラと豪快に笑いお腹を抱えている。
そして言った一言は、
「桃子さん、良いですね。ビンゴです」
と、親指を立ててみせた。
「古いな、その言い方」
理子の横槍も、舌を出して対応するほど、樹里は変化していた。

笑いが収まったころ、注文していた料理が運ばれてきて、三人はしばらく会話もなく
食べ続けた。普段は、フレンチやイタリアンといった洋食を基本にしている樹里は、
和食を久しぶりに食べたと喜んでいた。
「うまい」
を連発する理子や桃子に、樹里は少し丁寧に、
「うまい、です」
と言ってみる。
これまでの彼女にはないことだった。「うまい」などという言葉は、男が使う言葉。
女は、「美味しい」だと、そう言っていただろう。
まだ抵抗感があって、「です」などとつけて、その上、恥ずかしいのか顔を赤らめて
いるが、それも今日でなくなるだろうと、桃子は思っていた。
馬鹿みたいに笑う日も必要なのだ。そんな日があるからこそ、仕事も頑張れると
いうものだ。

途中、静かな中樹里が、ずずずぅっと鼻をすすった。泣き出すのではないかと、
ひやひやしたが、何とかこらえたようで、遠く斜め上を眺めている。
そうして、樹里は箸を置いた。
「あの…話してもいいですか?わたしのこと。むかしの話。全部隠さずに話せたら、
すっきりしそうで…」
へへ。
鼻をすすりながら、樹里は気恥ずかしそうに笑う。
「おぅ、話ちまいな。生まれたときから、今までのこと。鬼の五反田さんとやらの
ことも、全部聞いてやるぞ」
理子は、そう言って、向かいから身を乗り出して樹里の肩を軽くたたいた。
樹里は、なぜだか涙を流さないようにしようと、天井を睨むように眺める。
最後に大きく鼻をすする。
「下品ですみません」
「気にするな。桃子はもっと下品だ」
ニヤリと笑う理子に、桃子は、
「あたしは、いま秘書室勤務なんだ。下品なわけがないさ」
と言い返してみせる。
樹里が笑う。
「打ち明けて、楽になれ」
桃子も、樹里の肩にそっと手を載せた。

-第62話へ続く-

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

    2007/09/23(日) 08:00:00| 笑@会社 | トラックバック:0
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