笑@会社

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女園秘書室-第58話-


桃子は自分が見た白昼夢を真実だと確信。
それでもどうすることもできず、ただ樹里に楽しんでもらうことだけを考える
ことにしました。
飲み会までの最後のプロローグ第58話です^^(長い〜^^;)


第58話

樹里の過去は、幻覚だったのか。
何が、それを桃子に見せたのだろう。
不思議な出来事に、桃子はおとなしくなった。超常現象など信じられなかったが、
桃子が見たことは、樹里が実際経験した出来事だったのだろうと感じていた。
だからといって、それに対して何かできるわけではない。今は、樹里が楽しいと
思えるようにすることが先だった。

到着した店は、商店街の中心に位置している洋服屋だった。
周りを飲食店に囲まれ、立っていると様々な匂いが鼻をつく。
外に出ている洋服をチラチラと見ながら、桃子は店に入った。
威勢のいい声が聞こえてくる。
懐かしい空気を感じた桃子と、店内に足を踏み入れるのを戸惑っている樹里。
入り口に立ち止まっている樹里に、桃子より先に声をかけたのは、外にいた一人の
女性だった。
桃子がいつも着ていたようなスウェットのパンツによれたシャツ。
「はいはい、ごめんね」
もう五十を超えただろう女性は、大きな声を上げる。
「おばちゃん」
桃子が声をかける。その女性は、この店のオーナーで、桃子が足しげくこの店に
通っていたときにお世話になった人だった。
「おぉ、桃ちゃんじゃないか。久し振り」
顔に刻まれた皴を、くしゃっとさせて、樹里を押しのけ桃子の元へとやってきた。
「あぁ、どうしたんだい?こんなお洒落な服着て。どこのお嬢ちゃんかと思った
じゃないか」
樹里は押しのけられたというちょっとした腹立たしさよりも、この女性の喋り方に
思わず吹き出していた。
「じゃ、このお嬢ちゃんは桃ちゃんのお連れさんかい?」
オーナーが振り向いて、樹里の頭のてっぺんから足元まで、全身を見て言う。
「そう。あたしの大事な友達。樹里さんっていうんだ」
桃子が、樹里の背後へ回り、樹里を前に押し出す。
樹里は笑いながら、いつもの調子で、
「初めまして。こんにちは。福井樹里と申します」
と、頭を下げた。

店の中は、少しも変わっていなかった。
ワゴンの中に山積みに置かれた激安のシャツ。皆が漁っていくのか、ぐちゃぐちゃに
なっている。ハンガーにかけられたジャケット類は、有名ブランドに似せた柄が
たくさん並んでいる。
「ほら、ちょっと奥においで」
オーナーに誘われるまま、桃子たちは奥行きのある店の奥へ進んでいく。
そこには、小さなテーブルが一つと折りたたみのイスが五つ、これもまた、洋服と
同じように乱雑に置かれていた。
近所の女性達の戯れの場所だ。桃子も何度かここに座り、お茶を飲みながら何時間も
店に居座ったことがある。
「ちょうどお茶を飲もうと思っていたんだよ」
奥から缶ジュースを三本と饅頭が入った箱を持ってきた。
「あんたは、いいとこの子だね」
樹里を見て、彼女は笑った。
「口に合わないかも知れないけど、良かったら食べていってよ」
無造作に、小さなテーブルにそれらを置くと、どっしりとイスに腰を下ろした。
彼女の重みで、イスが悲鳴を上げるように、キィキィと音を立てた。
桃子は、音がならないようにゆっくりと腰をかけ、樹里は、ストンと座った。

桃子は、自分がスウェットではなく上品な服を着るようになった理由や、樹里と
友達になった経緯を簡単に話した。
「そうだったんだね。桃ちゃんも偉くなったもんだ。じゃあもううちの服には用がない
ってわけか」
オーナーは、豪快に笑う。
「いや、お世話になるよ。ね、樹里さん」
樹里は、眉毛を八の字に垂らしながら、困ったような笑顔になる。そして、店内を
ぐるっと見回した。
桃子は立ち上がって、キャラクターの絵が描いてあるシャツと簡単に脱ぎ着ができる
スポーティなパンツを見繕い、それぞれ二点ずつ手に取る。
「これ、ちょうだい」

桃子は、試着室の前で腕を胸の前で組み、長いこと待っていた。
こんな簡単な服を着るのに、樹里はいったい何分かかっているのだろう。思わず
カーテンを引っ張ってみたい気持ちに襲われる。
桃子はとっくに着替えを済ませ、ティーシャツにスポーツパンツという楽な格好に
姿を変えていた。
「出世祝いだ」
オーナーの粋な計らいで、桃子と樹里は一足ずつタダでサンダルを手に入れていた。
洋服類は、桃子が購入した。世話になったお礼で、樹里の分も桃子が払った。
樹里が自分でこのような服を買うこともないだろう。

カーテンがようやく開いて、樹里が顔を出す。
「ハハ、どうですか?」
どうもこうもない。
樹里の顔は緩んでいた。きっちりとした洋服から開放されたからそのように見えたの
だろう。いい顔をしていると、桃子は思った。
「軽くなった気分です」
樹里本人もそう感じていたようだった。

-第59話へ続く-

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

    2007/09/17(月) 08:00:00| 笑@会社 | トラックバック:0
  1. | コメント:6
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コメント

うは☆

樹里たんがTシャツにスポーツパンツ!?
うはは^^可愛いと思うよ〜うんうん☆
本当、ラクだからね〜ああいう格好は(笑)
時々、部屋着でコンビニ行きますが、樹里たんにとってはそんな私を見てもビックリしちゃうのかな〜?なんて考えて笑ったりして^^

いつもいつも、頑張ってたら持たないよ〜樹里たん☆

桃子と樹里、お互い出会ってよかったと思える相手かもですね^^
うんうん、いい感じ♪
読んでいても、思わず顔が綻びます〜☆

おばちゃん、いいなぁ(笑)近所にいたらちょくちょく通いたくなるタイプですね〜^^
  1. 2007/09/18(火) 22:30:30 |
  2. URL |
  3. chacha #-
  4. [ 編集]

>chachaさん

ラクなのが1番ですよね♪
わたしも、ノーメイク+部屋着でコンビニ出没しますよ^^樹里には考えられない
こと…。えぇ、でもいいのです〜。樹里たんにも是非そうしてもらいましょ☆

頑張るときと、気を抜くときと、メリハリつけないと息が詰まっちゃいますね。
chachaさんもこの物語に登場してもらおうかしら…。樹里たんの気持ち
楽にしてもらえそうですものv(^^)v

もっと顔が綻んでもらえるお話になっていくといいな〜と思っています。
寂しい&悲しいのは、置いていきたいものです。
おばちゃんみたく強く生きるのだ〜!!
  1. 2007/09/18(火) 23:00:44 |
  2. URL |
  3. ユミ #-
  4. [ 編集]

「軽くなった気分です」

この言葉がいいですね〜!
少しずつうちとけていく様がなんとも微笑ましい!!
少しずつ屈託の笑顔が戻っていく感じがして…
理子さんの登場が待ち遠しい!!←登場前からファン(笑
なんか、いいですね。
この二人、正反対だけど、光と陰って言うか、全然違うんだけど、
それがまた絶妙にいいですよね。
意外と合うんだろうな。
続き、楽しみにしてます♪

ところで、お知らせがあります。
以下コピペで失礼します。

この度、ブログを凍結致しました。
工エェ(゚Д゚; )ェエ工
いやいや、実は魔法のiらんどに拠点を移すことにしただけのことでして、活動自体は今まで通りやっていきます。
もちろん、今までどおり毎度のようにココにもお邪魔させてもらいます。
最近サボリ気味だけど(汗
で。
リンクの張り直しをお願いにあがりました。

楓の森
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=kaede_kaede

です。

すんませんが、今後ともヨロシクです♪
  1. 2007/09/19(水) 02:16:15 |
  2. URL |
  3. 楓 #u2lyCPR2
  4. [ 編集]

>楓さん

はい^^樹里たん、少しずつ心開いてます!!いろいろあったから一気に
は無理なのですが、いい方向に向かっています♪
理子さん登場まで時間がかかってすみません〜〜。それだけ待たせて
おいて、普通の人だったらごめんなさいです(笑)
まだ見ぬ理子さんファンになっていただいて、嬉しいな〜。

光と影。そうですね!恋愛相手とか友達でも、けっこう逆の雰囲気のほうが
うまくいったりしますよね。お互い補え合えるし〜。樹里が桃子言葉を使う
ようになったら怖いけど…!

リンク先変更の件は、了解しましたよ〜♪
一瞬、ブログやめちゃうの〜〜?ファンなのに〜〜!!ってショック受け
ましたが、移動するだけなのですね!良かった〜^^
これからも楓ワールド楽しみにしております☆
  1. 2007/09/19(水) 07:38:32 |
  2. URL |
  3. ユミ #-
  4. [ 編集]

おお〜樹里ちゃん♪

素直だなぁ~♪
これが有砂だったらと想うと…それも笑えるかな!
きっと、照れ照れしながら、でもなんか、悪くないって感じなんだろうなぁ〜♪
郷に入れば郷に従う。
変わってみたいって、樹里ちゃんも想ってるんだろうな♪
ふふ、いよいよ、理子姉さんの出番ですね?
楽しみですよ〜!!
  1. 2007/09/20(木) 07:55:28 |
  2. URL |
  3. らんらら #-
  4. [ 編集]

>らんららさん

おぉ〜〜、これが有砂なら…!!
想像したこともなかったです〜。でも、でも着させてみたい!!
樹里はきっと心から楽になりたいと思っていると思うんですよね〜。
桃子と一緒なら、きっと変われる…☆
大きな期待や希望を持っているでしょう^^
理子姉さん、いよいよ登場です!!また先も楽しみにしていてください。
  1. 2007/09/20(木) 22:57:37 |
  2. URL |
  3. ユミ #-
  4. [ 編集]

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