笑@会社

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女園秘書室-第50話-



秘密の地下室へ案内される桃子♪
そこにはいったい何が待っているのでしょう…?
新たな樹里を知った桃子。
もう太刀打ちできないと思った第50話です☆



第50話

樹里は、目を丸くして桃子を眺めていた。
「ここは、人生の先輩として言わせてもらいたい」
桃子は、樹里に話し始めた。
「あの秘書室は、雰囲気が悪いんだ。笑っていても、笑っていない。誰も、
心から笑っていないんだ。仲良くやろうって言ってるわけじゃないけど、
よそよそしくて、あたしには慣れないよ」
一息ついて、桃子は話を続けた。
「福井さんが、そんな風に笑えるなんて思ってなかった。多分、他の秘
書室の人たちも、家に帰ればそんな風に笑っているのかもしれないな。
でも、会社でもそういう顔があっていいんじゃないかな」
桃子は、なるべく丁寧な言葉を選びながら言った。そのせいか、自分が
言いたいことの趣旨がずれて、結局何を伝えたかったのか、分からなく
なってしまっていた。
「桃子さん」
樹里は、桃子が良いと言っていた笑顔を再び取り戻していた。
「分かります。わたしもできれば、そういう雰囲気の中で働きたいと思
います。でも、あの秘書室では無理です。あの場所は、会社でも最前線
なのです。戦場なのです。トップクラスしか知りえない情報を扱ってい
ます。秘書一人の行動が間違えば、会社が間違った方向へ流れます。分
かりますよね」
桃子は、慎重に頷いた。
「例えば、桃子さんの前にいた社長秘書。その方は、とても優秀でし
た。社長もとても気に入ってらしたんです。でも、社長が襲われたとき、
何もできなかった。そのとき、もしも機密情報が盗まれていたら、どう
なっていたか分かりますか?会社は、なくなっていたかもしれないので
すよ。そうしたら、あの会社にいる何万という人間が、生活に苦しむこ
とになるんです」
大袈裟だ。桃子は、珈琲カップに口をつけ、苦味に顔をしかめた。

その様子をジッと見つめていた樹里も、珈琲を飲み始める。
そして、桃子より先にカップを空にしていた。
桃子も慌てて飲み干す。その必要はないのに、そうしてしまう。
それを見届けた樹里が、おもむろに立ち上がり、リビングのドアへ向かう。
振り向いて、桃子に向かって手招きをした。
黙って付いていく。
樹里は、廊下の小さなボタンを押した。それは、電気のスイッチのよう
にも見えたのだが、明かりは何もつかなかった。
その代わり、目の前の壁が、左右に突然開き始めた。
本当に、何の変哲もない壁が、大きな音も立てずに人が並んで二人通れ
るくらいに開いて止まった。
踊り場があって、その下に階段が続いている。
近くにあった壁のスイッチを樹里が押すと、扉が閉まり始めると同時に、
階段の明かりが点った。

金持ちというのは分からない。よほど大切なものを保管しているのかと
思いきや、三つある部屋の一つには音楽堂というプレートが、一つはト
レーニングルームというプレートがかかっていた。残りの一つには、何
も書いていなかったが、樹里は物置だと笑った。
音楽堂の部屋を、樹里は静かに開けた。地下にありながら、さらに重厚
なドアの向こうには、中央にグランドピアノが配置され、その周りには、
楽器のケースが綺麗に並べて置いてあった。
次にトレーニングルームを開けると、桃子は、目を見開いた。
そこは、ルームと呼ぶには広すぎるスペースだった。数種類のマシンの
向こう側は、ガラス窓になっていて、プールが見えていた。
「桃子さん、一緒にやりますか?こう見えても、わたし、鍛えているん
ですよ」
樹里が得意げに、袖を捲り上げる。
細い腕だ。桃子が少しでも握ったら、へし折れてしまいそうだ。
「わたし、ヤワじゃないですよ」
肘を折り曲げると、どこからともなく筋肉が集まってきた。
ふふ。
樹里は、軽く笑って服の袖を下ろすと、
「柔道は初段で黒帯、空手も二段の黒帯、合気道も習っているんですよ。
あとはここでのトレーニング。桃子さんより強いかもですよ」
この細い体のどこに、その力が出てくるのだろう。
桃子は、しげしげと樹里の体を眺めた。
桃子は、柔道は二段だ。けれど、それ以外は何もしていない。
そして、頭は、秘書室には到底ついていけない。
そして、美人でもない。
こんなに秘書室で役に立つ樹里に対して、桃子はどうやってもついてい
けないと自己嫌悪に陥ったのであった。

-第51話へ続く-

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

    2007/09/01(土) 08:00:00| 笑@会社 | トラックバック:0
  1. | コメント:4
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コメント

すごい〜!!

こんにちは!
樹里ちゃんの家すごい〜(@@)
地下室で何か怪しい部屋が、と思いきや!(笑)
社長を護る、もしかしてあの場にいたのが樹里ちゃんだったら、桃子が社長秘書になることはなかったかも!!
う、そう思うと…なんだか。
切ない!
何も勝るものがないと思うと。凹むよ〜!!
  1. 2007/09/01(土) 15:42:44 |
  2. URL |
  3. らんらら #-
  4. [ 編集]

>らんららさん

コンニチハ♪いつもコメントありがとですv-10
桃子があの場にいて、社長を護ったのは何かの運命だったのでしょうね^^
樹里には何も勝てないなんて、凹んでいますが、なーに、桃子なら大丈夫!
カナ…?でも、落ち込みますよね〜!!自分がこれなら負けないと思って
いたところでも、イーブンなんですもの><

樹里の家は、お屋敷です!!
怪しい(笑)、桃子には理解できない部屋がたくさんありますよ〜。
  1. 2007/09/02(日) 07:30:25 |
  2. URL |
  3. ユミ #-
  4. [ 編集]

でぇぇ!?

樹里たん、そんな筋肉ムキムキだったの!!?(いや、ムキムキではない笑
そうかそうか。やっぱり、桃子の前の人が社長を守れなかったことって、かなり重要なことだったんですね><
で、社長は力のある桃子を秘書に招いた。
樹里たんも力があるってことは・・・も、もしや秘書室のみんなも実は結構強いのか!?ぶるぶる@@;

お屋敷、すごい・・・
地下室があるのって憧れますが^^
二人そろってずる休み☆仲は深まるかな〜??♪
  1. 2007/09/02(日) 12:13:33 |
  2. URL |
  3. chacha #-
  4. [ 編集]

>chachaさん

ふふふ、樹里たん、脱いだらスゴイんです(笑)
細いんですけどね、で、見た目も筋肉質っていう雰囲気ではないんですけど、
強いんです!秘書室のほかのメンバーも、かなり強いと思っておいて下さい^^
わたしたちも、簡単にやられてしまうかも〜!!

樹里たん、だんだん砕けた人になってきたでしょ?!
本当はこんな風にしてみたかったと思うんです。気軽に話せる相手も欲しかった
のでしょう♪桃子とズル休みして、楽しい日々が送れると思います!
  1. 2007/09/02(日) 23:49:04 |
  2. URL |
  3. ユミ #-
  4. [ 編集]

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