樹里の悲しい過去が明らかに。
いろんな思いを抱えている樹里。
知れば知るほど、桃子は樹里のことを好きになっているようです^^
二人が仲良くなるなんて、夢にも思いませんでしたが、きっと
これからの秘書室生活に、いい影響をもたらしてくれることでしょう。
樹里の過去が見えてくる第48話です。
第48話カフェを出た後、あてもなく街をふらふらと歩いた。
そんなのもありだ。これまで無駄だと思っていた行動が、樹里と一緒に
いることでそうは思わなくなるのが不思議だった。
樹里がよく行くという店で洋服を何着か購入した。
秘書室で着る予定のものではなく、それは私服だった。
樹里がみつくろってくれたものは、桃子にとっては洒落たものだった。
洒落た店の割には、大きなサイズも取り揃えていて、桃子はサイズを気
にすることなく買い物することができた。
サイズがワンサイズ小さくなっていた。秘書室での過労が、桃子を一回
り小さくしたようだった。
帰り際に、もう一度アパートに寄ってもらう。三泊分の下着を、小さな
ボストンバッグに放り込む。
週末まで樹里の家で世話になることにしたのだ。これから先三日間、桃子の
帰る場所は、樹里の家になった。
買い物途中にもう一軒寄ったカフェで、樹里は言っていた。
「家にはわたし、ほとんど一人だから」
桃子は、敢えて何も聞かずにいた。
何だか、樹里の目が寂しそうに見えたからだった。
樹里の家では、お手伝いの女性が料理を作って待っていた。
樹里が途中で帰宅時間を連絡していたので、ちょうど出来上がったばか
りなのか、料理からは温かそうな湯気が出ていた。
「それでは失礼します」
女性は、一礼してリビングを出て行く。
しばらくして、玄関のドアが閉まる音がした。
「食べましょう」
まるでどこかのレストランで食べるかのような料理が並んでいる。
箸もまともに持てないが、ナイフやフォークはもっと使えない。
桃子は、樹里の手元を観察して、注意深く料理を口に運んでいく。
「父は」
樹里が顔を上げて、桃子を見つめた。
「忙しくてほとんど帰ってこないんです。病院の隣に宿舎があって、そこで
寝泊りを。母は」
スタイルの良い女の体つきのようなグラスに入った水を一口含ませて、
樹里は続けた。
「母は、いないんです」
寂しそうな目。樹里の父親の目の奥に見た寂しさと同じだった。
「父が忙しいのをいいことに、母は何年もの間浮気をしていたそうです」
浮気?桃子は、ナイフとフォークを一旦テーブルの上に戻し、樹里に叱
られた。
「桃子さん、食事中にナイフとフォークを置くときは……」
樹里が見本を見せてくれて、桃子はそれに従った。
一瞬、阿東=不倫の図式が頭を過ぎり、二日前に見てしまった樹里と阿東の
二人きりの現場が浮かんできた。
「母は、父とわたしを棄てたんです。わたしが高校生のときに。許せま
せんよね」
樹里は、多くは語ろうとしなかったけれど、それで充分だった。
こんなときの言葉のかけかたも知らない自分に情けなくなって目を背けた。
樹里は、不倫をしていた母親を軽蔑している。それなのに、自分が同じ
ようなことをするだろうか。
桃子は、再びナイフとフォークを手に持ち、柔らかい肉を切っていく。
いや、待てよ。
自分が受けた悲しみや怒りを、他の誰かに思い知らせてやるっていうこ
とも考えられる。
阿東の年なら、高校生くらいの子供がいても不思議ではない。
いや。桃子は首を横に振った。樹里は、そんな奴じゃない。
最初は、嫌な女だと思ったけれど、知れば知るほど悪くないと思えてきていた。
「ぷっ」
樹里が、笑った。
「どうしたんですか?首を横に振ったり、目を白黒させたり」
「あ、えーと、その」
しどろもどろになる桃子に、樹里はまだ笑っていた。
「気にしないで下さい。母親はいない。そう思っていますから」
桃子は言う言葉も見付からず、とりあえず笑い返してみた。
-第49話へ続く-
テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学
2007/08/28(火) 12:00:00|
笑@会社
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| コメント:4
そうだったのか・・・お母さんが浮気・・・。
いないものとしていて。なんだか、見ていて切ないですね;;
こういう時こそ、桃子の出番!(笑)
言葉をかけて欲しい時もあれば、ただ、傍にいてくれるだけでいい時もありますし。
きっと桃子は、後者^^
傍にいるだけで自然と心が安らぐ、そんな存在だと思います☆
だから樹里たんもね!桃子と一緒に居るんじゃないのかなーなんて^^
不倫、本当にしているのかな・・・
もしかしたらデマなのかもしれない・・・??
そう、願いたいです。むぅ><
- 2007/08/28(火) 12:40:28 |
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- chacha #-
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樹里のこれまでの生活、ちょっと寂しいものでした。
桃子もこういう状況には慣れていないばかりでなく、言葉遣いも気を
つけなければいけなくて、何の言葉もかけられませんー><
近くにいてくれるだけで、心安らぐって、1番ですね♪
桃子がそういう存在になってますか〜^^
不倫はいまだに謎ですね!きっと解明されるのはもう少し先の話…。
「樹里たん」って、可愛い〜〜♪♪
chachaさんがそう呼んでくださるってことは、樹里にも可愛い部分が
見えたってことですよねv(^^)v
満足ですー☆
- 2007/08/28(火) 23:08:54 |
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- ユミ #-
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やはり、いい子だぁ!
樹里たん(可愛い…笑)、桃子の気さくなところにきっと嘘のない人を見たんだろうなぁ〜。
話を聞いたあとの桃子の態度も、誠実さを現していて…。きっと嬉しかったよね〜樹里タン♪
この子が不倫…するかなぁ?もしそうだとして、桃子ちゃん、どう受け取るんだろう。
気になります〜!!
- 2007/08/29(水) 07:13:01 |
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- らんらら #-
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おぉ〜、らんららさんの言うとおりですー!!
嘘のない誠実な人には、誰でも素直になれるもの^^
樹里は、人を見る目があるのですね、きっと…☆
樹里たん、本当に不倫していたら、悲しいですよね。
もしそうなら、今度は桃子がちゃんと叱ってあげる番かな〜と
思います!!
きっと、この2人は分かり合えると!
不倫真相は、解明までしばしお待ちを〜!
- 2007/08/29(水) 23:17:22 |
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- ユミ #-
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