笑@会社

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女園秘書室-第47話-



桃子は、ちょっとずつ成長してきたでしょうか?
今までとは違い、いろいろなことを考えるようになって来ました♪
樹里に笑われたり、怒られたり、たしなめられたりしながら、
きっと成長していくのではないかと期待しています。
体調不良がすっかり治っていい気分の第47話です☆



第47話

「福井さんは、ずっとあの秘書室にいるんですか?」
真っ白な皿に、目に優しい緑の野菜がふんわりと乗せられて出てきた。
桃子は、フォークを上手く扱うことができず、何度も皿の上にレタスを
落としている。
時々樹里の手先を盗み見て、真似をすることでようやく上手く食べれる
ようになってきた。
樹里は、そんなことを見抜いていただろう。でも、もう笑いはしなかった。
「ええ、大学を卒業してからですから、もう六年経ちます」
「皆さんのこと、教えてもらえませんか。なかなか話をする機会もないので」
これは、探りではない。変に思われないように、桃子なりに最善を尽く
した発言だった。
樹里の手が止まって、桃子を見つめる。
「そうですよね。皆さん忙しいですから。来週桃子さんの歓迎会があり
ますから、そのときまでに、少しは知っていたほうがいいですね」
サラダの皿がさがってから、樹里は一人ひとり紹介してくれた。
樹里の話では、誰も彼もがいい人に思えた。
榛原未来との話を遮った、沢渡渚のことも、優秀な秘書だと言っていた。

メインで頼んだパスタが運ばれてきた。
困ったな。
ご飯ものを頼むべきだった。
樹里が、フォークにクルクルとパスタを巻きつけて食べる様を黙って見
つめていた。ナイフやフォークを使って食べる店に行ったことがないわ
けではなかったけれど、そのときは気心知れた仲間と一緒だったので、
使い方を気にすることはなかった。
いまは樹里が相手だ。心を許そうとしてはいるけれど、まだその手前に
いる状態だった。
箸はないのかい?日本人だろ?箸を出せ。
遠くに立っている店員に向かって念を送ると、目が合って、慌てて顔を
そむけた。
桃子の視界に入ったテーブルの女が、スプーンの上にパスタを乗せ、その上で
クルクルとフォークで巻いているのを見て、桃子はそれを真似た。
なるほど、上手くはないが、巻ける。
「桃子さん、ダメですよ」
手を止めると、せっかくまとめたパスタが逆回転して、スプーンの上に
大きな輪となって崩れていった。
「それ、正しいマナーではないんですよ」
斜め後ろを振り返って、樹里はため息をついた。
「それが正しいって思っている方は多いんですね」
それを嘆いていることより、桃子が視界に入った女の真似をしたことを
見ていたことのほうが、怖いと思った。
「秘書室に勤務するなら、マナーは大切です」
優しかった口調は、急に厳しいものになって、桃子を驚かせた。
話している間にも、樹里は上手にパスタを巻いて口に運んでいく。

「桃子さんが秘書室に来たのは……」
桃子の止まったままの手を、樹里はしげしげと見つめた。
「ごめんなさい。食べてからにしましょう」
ほら、こうやって少しずつ巻くんです。
樹里は、見本を見せて笑った。
一瞬見せた厳しい顔。それが樹里のこれまでの姿だった。
それが、桃子の体調を心配し、家に泊まらせたり、父親の病院で診察さ
せたりと、優しい一面をのぞかせた。
会社を離れたときの姿こそ、本来の姿だ。
桃子はそう思って、心を開こうとしていた。
どっちなんだ?
その答えは、すぐに出た。
どっちも樹里の本来の姿なのだと。
誰しも、厳しいばかり、優しいばかりではない。
仕事には厳しく、仕事を離れれば優しい。
それは、当たり前のことなのかもしれない。いまさらながら、桃子はそんな
風に考えることができた。
樹里は、嫌な思いをさせようと、厳しいことを言っているわけではないのだ。
「わたし、桃子さんには本当に社長秘書になってほしいと思っているんですよ」
本当に。
その言葉を深く考えもせず、このとき桃子は単純に嬉しいと思った。

食べるのがもったいないと思うほど、きれいに盛り付けられたデザートを
すっかり胃の中におさめる。
珈琲を飲みながら、桃子は遠い記憶に思いを馳せる。
男みたいなあたしもありだ。そして、女らしいあたしもありだ。
すっかり具合は良くなっていた。
「病は気から」
よく言ったものだ。
桃子は、カフェの高い天井に向かって、両手を突き上げたい衝動に駆ら
れていた。

-第48話へ続く-

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

    2007/08/26(日) 08:00:00| 笑@会社 | トラックバック:0
  1. | コメント:4
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コメント

はぅっ><

じゃ、じゃぁ私も樹里ちんに怒られちゃうよ〜〜><
そうなんですよね、パスタ、スプーンを使った方が上手く巻けるからつい・・・@@;
でも、本場では子供がパスタを食べる時の練習として、使うやり方なんですよね。
あぁ〜本当、日本人なら箸で食べさせろぃっ!(笑)

樹里、厳しい面と優しい面を持ってて。何だか高感度ますますUPです^^
ちゃんと怒ってちゃんと優しい人は尊敬します☆いいな♪こんな友達はなかなか出来ないぞっ!桃子!

本当に社長秘書になって欲しい。
樹里のその言葉の背景には、何が込められているんだろう??
とにかく、桃子。ちょっとだけ、くだけたっぽい?^^そう出来る相手がいることって、本当に大事ですよね☆
  1. 2007/08/26(日) 11:53:49 |
  2. URL |
  3. chacha #-
  4. [ 編集]

>chachaさん

そうなんですよね〜!!
わたしもあるイタリアンレストランでイタリア人シェフに叱られたことがあり、
桃子も叱られてみました^^;
自分の経験をたっぷり小説に盛り込んでます、ハハハ。

樹里は厳しい中にも優しさを兼ね備えていて、素敵な女性です〜。多分(笑)
彼女になら、いろいろ話せそうな雰囲気になってきましたね。
あの秘書室では、味方が必要です!!
この後、かなり桃子砕けますよー。

忙しい中コメントありがとうございましたv-352
  1. 2007/08/26(日) 20:34:00 |
  2. URL |
  3. ユミ #-
  4. [ 編集]

うふふ〜♪

なんだか嬉しくて、一気に読んじゃいました♪
やっと、桃ちゃんも人を見ることが出来るようになった気がして♪
やっぱり、樹里ちゃん、いい子だった!!(^^)v
仕事に関係することにしても、はっきり注意できるのはやっぱりプロだなって想います♪
じゅりちゃん、好き♪
こうやって、だんだんと桃ちゃんも成長するんですね〜♪
この後砕ける!?
どきどき…
続き楽しみにしてます〜!!v-10
  1. 2007/08/28(火) 07:02:09 |
  2. URL |
  3. らんらら #-
  4. [ 編集]

>らんららさん

うわーい^^樹里ファンですね?!ありがとうございます。
彼女、ちょっと寂しい子なので、そう言っていただけると嬉しいです。
これで2人は友達。ちょっと異質ですが…^^;
でも、時としてこういう相手も必要ですよね。

桃子も成長のあとが見られますか??
そう感じていただけて、嬉しいですよ〜☆
このあとさらに、砕けた関係になります!!
  1. 2007/08/28(火) 23:01:48 |
  2. URL |
  3. ユミ #-
  4. [ 編集]

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