桃子には珍しく、落ち込んでいますが、
会社へ行けば、もっとたくさんの難関があるはず…。
秘書室で一緒に働く女性たちも次々と登場してきます。
どんな人と働くのだろう…。うまくやっていけるだろうか…。
そんな悩みより、いまはパソコンの悩みが優先的です。
桃子、しっかり!!
桃子秘書いよいよ出陣です。
第11話有砂たちが戻ってくる。皆礼儀正しくお礼を言う。自分が付いている役
員にお茶を淹れてくれたことへの感謝の挨拶のようだ。育ちの良いお嬢
様集団のように見える。
有砂と樹里は、満足気に笑顔を見せてそれぞれ自分のデスクに座った。
桃子も丁寧にお礼を言ってみた。
「まだ社長は来てないけど?」
樹里は、相変わらず桃子のほうを見ないで、発言する。
そうか、あたしは社長秘書。来ていない人にお茶を淹れるわけがないの
だから、あたしがまだお礼を言う必要はないのだ。
桃子は、ぷぃと顔を背けて、自分のパソコンに向かった。
有砂が、わざとらしい咳払いを、大きく一つだけした。
社長が来るまで、時計とのにらめっこが続く。
「のみの心臓」でも「肝っ玉が小さい」わけでも「繊細」でもないのに、
桃子は緊張していた。
九時十分前になって、有砂が立ち上がる。
「花木さん、社長のお迎えに」
桃子は、スカートのチャックがきちんと上まで上がっているかを確認し
て、席を立った。
本当は鏡を見て、髪型や顔、いや、全身をくまなくチェックしたいとこ
ろだった。
埃や糸くずなどがついてないかだけ、素早く確認した。
大丈夫そうだ。
阿東も立ち上がって、部屋を出て行く。
桃子は、小走りに二人の後を追った。
一階へ降りるエレベーターの中で、
「社長が来る時間の十分前には、正面玄関で待機する」
という仕事を覚えた。
そういえば、この顔、いたな。
桃子は、隣に立っている有砂の顔をちらりと見た。社長が来るとき、正面
玄関、つまり桃子が十数年も立ち続けてきた仕事場に、確かにこの顔
があった。
ただ、有砂が、桃子がそこにいた警備員だと知っているのかは分からな
かった。
待つこと十五分。五分遅れで、社長の乗った車が到着する。
不機嫌そうな顔。
「五分三十秒の遅れだ」
阿東が隣で呟いた。
「じゃあ、昼食会で調整します」
有砂がテキパキと答える。
「頼んだよ」
阿東は、有砂の肩を軽く叩いて言った。
「おはようございます」
社長が入ってくると、みな一斉に頭を下げた。
一瞬だけ、目が合って、桃子はニカッと歯を見せて笑ってみせた。
それは、「あたしを雇ってくれて感謝してるぜ」の意味だったのだが、
社長は、何も言葉を発せず、まるで犬を追い払うかのような仕草を見せた。
「五分三十秒ほど遅れた。会議を六分早めてくれ」
エレベーターに乗り込むと、有砂が携帯を取り出す。
部屋に残っている秘書たちに、九時半からの会議が、九時二十四分から
始まることが伝えられたようだ。
九時二十四分。そんな細かいところまで計算するのか。
桃子の性格には不向きなように思われた。
時間にルーズではないほうだ。けれど、分単位で正確な行動をするかと
いえば、そうではない。
社長室は、秘書室と同じフロアにある。
副社長室や他の取締役室も同様だ。
「花木さん」
急に名前を呼ばれて、桃子は上ずった声で返事をした。
エレベーターという狭い密室で、息苦しさもあった。
「当面は、五反田さんにもついてもらうが、ゆくゆくはきみ一人でやっ
てもらうつもりだ。今はとにかく仕事を覚えるように」
少し斜め前に立っている社長は、桃子のほうを振り向きもしなかった。
それにしても、意外な言葉だった。
何かあればすぐにでも秘書をクビにしてしまうのだから、ゆっくりと仕
事を覚えるようになどとは言わず、すぐにでも使える有能な秘書でなけ
ればイラナイと思うのではないかと思っていた。
「分かりました」
ホッとして、安心して返事をする。
しかし、社長は桃子の心を見透かしたように、続けた。
「だからといって、ゆっくり覚えろとは言っていないのは分かっている
ね。五反田さんは、僕について回るほど暇ではないんだよ。君には、
明日にでも一人前になってもらいたいと思っている」
社長は、ゆっくりと振り返って、桃子の表情を確認した。
「はい」
自信満々に答えてから、ふと疑問がわいた。
そういえば、有砂は、もともと誰の秘書をしているのだろうということだ。
一時的にでも社長の秘書の仕事をするのなら、有砂がついていた人に、
また別の秘書がつかなければならない。
真横に立つ彼女から、少しだけ甘い香りが漂ってくる。
上品な香水の付け方だった。
彼女に欠点はあるのだろうか。
桃子から見ると、完璧な人間に思われた。
-第12話へ続く-
2007/04/26(木) 12:10:12|
笑@会社
| トラックバック:0
-
| コメント:6
もぉ〜見ていたくない〜><
こ、怖すぎっ!女の集団は怖い怖い!(笑)
桃子が、桃子がぁ〜〜><
が、がんばるんだ!ここは何とか乗り越えるんだ!!
まだまだわからないことばかりだからね、きっと慣れればなんとかなるさ!
応援してるよー!><
それにしても
五反田さん、私から見ても完璧すぎるほど完璧だけど・・・
やっぱり桃子のように体力が欲しかったのか!?(笑)
早くこの女達が驚くような事件が起こればなぁ!
桃子も居やすいのに〜><
- 2007/04/26(木) 22:04:36 |
- URL |
- chacha #-
- [ 編集]
ハハハ…!!
すみません、桃子イジメ過ぎちゃって。そうそう、慣れて、
自分のペースを確立して、何か自信が持てるようなことが
起これば、きっと彼女の立場も、グンと良くなって、この
秘書室にも居やすくなるでしょう^^
それまではね、彼女には耐えてもらいます〜。
それにしても、最初の桃子から、ぜんぜん違う桃子に
なっちゃって!!
五反田さんや福井さんを何とか「ギャフン(←死語?)と言わせる
ような出来事を、起こしてやる〜(作者次第ですよね〜)。
五反田さんが、これで体力がめちゃめちゃあったら、
もう超えることはできないでしょうが…(笑)
いつもコメントありがとうございます☆
- 2007/04/26(木) 23:16:57 |
- URL |
- ユミ #-
- [ 編集]
やっぱし桃ちゃんナイスキャラですっ!!
社長が来て、みんながびしーっと頭を下げているというのに・・・
一人ニカって(笑
いいんですよっ!秘書は歯が命ですからっ!!(そお?
しかも・・・
チャック下がってないかチェック!!
そこ?みたいな(笑
しかも大丈夫そうだって・・・なんてファジーな!!笑
にしても分刻みのスケジュールですか。。。
僕には耐えられないですね。
無理です。
無理無理。
ドラえもんが必要かと思われます。←何故?
- 2007/04/27(金) 22:18:28 |
- URL |
- 楓 #u2lyCPR2
- [ 編集]
秘書は…秘書は歯が命!!そうです!!笑顔大事。そしたら歯も大事(笑)
桃子、媚びてないガハハな笑いがナイスでしょ?!
それを社長に向かってやっちゃうんですもの・・・。あぁ、桃子ってば^^;
チャックはね、多分、スカートがキッツーイから気になっているんだと。
もうちょっと余裕のあるものを買えば良かったのに〜。
女心なんです。頑張って、もうちょっと痩せて、これが合うようにって、
ワンサイズ下を買うのがね〜。桃子も可愛いところあるんです♪
楓さんも、分刻み、耐えられませんか?わたしもですよ〜。自分の管理も
ままならないのに、人の管理なんてできやしません(笑)
ドラえもん?いつでも大歓迎〜☆
- 2007/04/28(土) 21:52:43 |
- URL |
- ユミ #-
- [ 編集]
怖いー(><)
何も分からない桃子が震える気持ち分かるなぁ!!
糸くずとか、チャック、ええ、楓さん同様、そこか!!って(笑)
五反田さん、なにやら秘密がありそうな予感!つんけんしていても、本当に仕事の出来る人は、仕事をやる人、がんばる人は認めるはず!桃子の大逆転を期待してますよ♪
- 2007/04/29(日) 13:22:09 |
- URL |
- らんらら #-
- [ 編集]
さすがの桃子も五反田さん相手には…
そう、その彼女、秘密ありそうでしょ〜!!
さすがらんららさんです!!!彼女、ちょっと胡散臭いんです^^;
とりあえずは、桃子の頑張りに期待して☆
仕事ができれば、五反田さんもその他の秘書さんたちも桃子を
認めるでしょう♪
大逆転劇をお楽しみにっ^^
コメントありがとうございました☆
- 2007/04/30(月) 08:34:15 |
- URL |
- ユミ #-
- [ 編集]