笑@会社

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女園秘書室-第5話-

青っ白い顔して、風に吹き飛ばされそうなあんたたちに、
社長が守れるかい?
花木桃子、33歳にして人生の春を迎えるところ。
大きな会社に勤務するどころか、その会社の社長秘書に抜擢。
でも、その理由って?
力任せが得意な桃子にできることはなに?
桃子秘書の物語、始まります。


第5話

ITをイテーと思っていたくらいだから、店に入ってパソコンの前に立っ
ても、何を見たらいいのか、どれを購入したらいいのか、まったく分か
らず、桃子は売り場の前で呆然と立ち尽くしていた。
しばらくして、近くにいた店員を呼びつけると、店員は子兎のように、
ぴょんぴょん跳ねて、桃子に近づいてきた。顔は、ものすごいスマイル
である。
「これは……そして、こちらですと……」
次々にパソコンを指差して、説明をする店員に、桃子は一言だけ言った。
「あんたがお勧めのやつ」
オタクと呼ばれる部類に入るだろうその男は、クルリと振り返ったとこ
ろにあるパソコンを指差した。
「こちらです。これは最新の機種でして……」
また長い説明が始まりそうだった。
聞いたところで、分かりやしない。
店員が勧めるままに、最新型の一番高いパソコンを購入した。
プリンター、インターネットの接続にいたるまで、すべてを店員任せに
した結果、有り金では足りなくなってしまった。
社長秘書の依頼があってから、阿東が持ってきてくれた資料の中には、
雇用条件が詳細に記されてあり、給料は、60万プラスアルファだと書か
れていた。
「世の中にゃ、あるところにはあるもんだ」
これが、最初にその金額を見たときの桃子の感想だった。
そして、次には、
「あたしも、セレブってやつになれるのかい」
と、一人笑みをこぼした。
「60万円プラスアルファのアルファは、何だ?まさか、体の世話もしな
きゃいけないんじゃないだろうね」
電気屋の店員は、桃子の不敵な笑みと独り言を、少し離れたところで見
ていた。

パソコンの中身自体には、関心もなく、目を向けずに過ごしてきた桃子
だったが、配線関係は大の得意。彼女は、女にしておくのがもったいな
いほど何でもできた。特に、女性が苦手とする電気関係、力仕事など、
苦にもならならずに、パッとやってのける。無駄なお金を払うこともな
く、パソコンは接続が完了した。
インターネットも、プロバイダーとかいうものは契約したし、あとは工
事に来てもらうだけだ。
おっと、部屋を片付けておくか。

しばらくは、テーブルの上に置かれたパソコンを眺めて過ごす。
そうだ。急に思い立って、桃子はクロゼットを開けた。スーツ。
いつも警備服という制服があったけれど、秘書室ではスーツだろう。
「あいつらはいつも、服装だけはピシッとしてやがる」
かれこれ何年も着ていないスーツを引っ張り出して、着てみることにした。
10年も前に購入した一張羅のスーツ。流行などそっちのけのスーツは、
いま着てもおかしくはない。ただ、問題は体型だった。着てみると、ス
ーツが破れて、買いに行く羽目になったのである。

カード払いで新しいスーツを購入して、帰宅した頃にはすっかり日が暮
れていた。
部屋の明かりをつけると、桃子の目に飛び込んできたのは、新品のパソ
コン。
「待てよ」
明日からの秘書という仕事。
会社へ行って、突然資料を作れと言われるかもしれない。
阿東にパソコンが出来ると言った手前、何もできないと「クビ」と言わ
れかねない。
勝手な想像だったが、「社長」という職業は、自分で仕事をしないのだ
から、もしかしたら、パソコンの知識は自分と同じくらいかもしれない
と思った。
少しでも慣れておいたほうがいいだろう。
電源を入れて、パソコンが立ち上がるのを待つ。説明書を片手に、画面
上に表示されている絵のようなものを次から次に押した(「クリック」
するというらしい)。その結果、画面にこれでもかというほど様々なも
のが出てきた。
「やっかいだな。何が出てきちまったんだい」
次々に画面に出てくるモノを見つめる桃子。
どうやって、パソコンが立ち上がった時の状態に戻るのか分からなくな
った。画面をジッと眺めてみる。元に戻す方法がどこかにあるはずだ。
それこそ瞬き一つせず見てみたが、解決方法は浮かばなかった。

仕方なく、遠くはなれて暮らす母親に連絡を取った。
桃子から電話をするなど、1年ぶりくらいだった。
地元の小さな会社で事務の仕事をしている母親は、家族の中で唯一パソ
コンができる人物として、尊敬されている。
メールもインターネットもできるらしいし、年賀状などもパソコンで作
っている。
母親の甘ったるい声を聞くと、少々腹立たしくなるけれど、背に腹は変
えられない。
桃子は、携帯電話を手に取った。

-第6話へ続く-



    2007/04/11(水) 12:10:32| 笑@会社 | トラックバック:0
  1. | コメント:2
<<これナンでしょう | ホーム | 略してOBC>>

コメント

右上の・・・

右上のバッテンを押すのだっ!!
手当たり次第にアプリを開いて、それを呆然と眺める桃子ちゃんに、
思わず微笑んでしまいました。
だ、大丈夫でしょうか?彼女・・・笑
でも、PCの配線をすらりとやってのけてしまうあたり、なかなかどうして・・・
もしかして、彼女はすんごい飲み込みが早いとか?!!
明日、いよいよ出勤なわけですが、早くも前途多難な様子ですね。汗
お母さんお願い、今すぐ家に行ってあげて!!!
あ、それはそうと。
そうでしたか、以前ご訪問下さったことがあったんですね。
ありがとうございますっ!!
長編ってどうしても取っつきにくいですからね〜汗
しかももう随分進んでいるとくれば、あぅぅとても追いつけないし、読み始めるには勇気?がぁぁってなります。僕もそでした。ですから、全然気になさらないで下さい。僕の場合ちょうどこちらで新連載が始まったので、いい機会だと読み始めたわけですから♪
でわでゎ☆
  1. 2007/04/11(水) 15:43:52 |
  2. URL |
  3. 楓 #u2lyCPR2
  4. [ 編集]

>楓さん

そう!!そうだ、桃子!!
右上のバッテンを〜!!
楓さんの言うとおり、押しなはれ^^
桃子母もきっとそう教えてくれるでしょう♪
桃子は、配線やら力仕事はめちゃめちゃ得意で
才能があるんです^^あ…無理がありすぎたでしょうか…汗
明日の出勤までに、桃子の苦労はまだまだ続きます(笑)

そうそう、わたしもそうですよ〜。なんとなく途中から読んで
コメントってし難いですよね!でも、楓さんがこうして
わたしの物語を読んでくれて、コメントまで書いてくれて、
とても嬉しいので、途中からで気が引けるのですが、
こそ読みなどせずに、ちゃんとコメント書きます♪

楓さんのコメントって、楽しいです♪
訪問ありがとうございます☆
  1. 2007/04/11(水) 21:28:01 |
  2. URL |
  3. ユミ #-
  4. [ 編集]

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