笑@会社

日々面白いことを求めて爆走中!!

ニック・バトル-第27話-

主人公、柚木朝子、29歳。
「給料もそれなり、彼氏もいるし、なんの不服もない生活」
をかき乱すライバル若月さんの出現で、ため息増量中。
自分ではどうにもならない状況に、ハマッてます!!
別の生き方を探すか、ここで我慢するか…。
29歳で大きな選択を迫られている予感。
どうする、わたし?
どうなる、わたし?


第27話

誰も来ない部屋で、ほとんど無言で仕事をすること。
それは、いまのわたしにはピッタリだった。
何も考えずに、いらなくなった書類をファイルから取り出し、
たまったら、シュレッダーにかける。
この作業が、ひときわ楽しかった。
心の中のもやもやまで、断裁されていくような感覚に陥ると、
なんとも気分が良い。
紙ごみがいっぱいになると、その細く切断され、他の紙とか
らまってモサモサしたものを踏んづける。
ペシャンコにしたら、ごみ箱へ廃棄する。
こんなことで気分が良くなるなんて、いよいよ心がすさんで
きたのだろうか。

「モノを壊して、快感を得るなんて」
カウンターに座って、ワインに口をつける。
もうすでに1本あけていて、2本目に突入している。
そんなに酒には強くない。
隣に座る大鳥女史は、わたしより多い量を飲んでいるのに、
顔色一つ変えずにいる。
ワイングラスをゆっくりと回しながら、香りを楽しみながら。
同期として入社して7年間。
大鳥女史と2人きりで出かけるのは初めてだった。
わたしは、彼女は頭が良いだけが取り柄の、無感情人間だと
思っていたし、彼女は、付け焼刃的な英語力で、何とか仕事
をしているだけのわたしを軽蔑していたはずだった。

「大鳥女史……」
酔いが回って、体が柔らかく折れ曲がりそうになる。
「大鳥女史は、わたしのことバカな女って思ってるでしょ」
半ばつっかかるように言って、テーブルに伏せる。
「うーん……気持ちいい」
熱く火照った頬を、テーブルにくっつけて呟いてみる。
バカだなぁ、本当に。
もう30歳になるっていうのに、何をやっているんだろう。
酔いながらも、冷静に考える自分もいる。
「そんなこと、思ったことないよ」
大鳥女史の手が、わたしの背中に触れた。
軽く、トントンと叩いてから、今度は上下にさすり始める。
背中が次第に温かくなってきた。
大鳥さん、こんなに温かい人なんだ。
「じゃぁ、どんな人だと思ってたんだ?」
と言われても困るので、口には出さなかった。

こんな気分の時の人の手の温もりは、他の何よりも人を救っ
てくれるものだ。
「朝子のことは、尊敬してたよ」
まだ起き上がれないわたしの背中をさすりながら、女史は続
ける。
「いつも元気が良くて、皆と仲良くできて、責任感があって、
一生懸命で」
「うーん」
そんな風に思っていてくれたなど、夢にも思わなかった。
もっと、喜ぶべきなのに、情けない声で、女史の言葉に精一
杯答える。
それが、限界だった。
その後、女史がポソッと何かをつぶやくように言った言葉は、
わたしの記憶にはない。
「だから、諦めたのに」

-第28話へ続く-



    2007/01/09(火) 21:30:32| 笑@会社 | トラックバック:0
  1. | コメント:2
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コメント

だ!?
だから!?諦めた!?!?
▽じゃなくて、■ですか?
おお?大鳥女史!!
でも、やっぱり好きだー!!
どうする?どうなる?
朝子、酔ってる場合じゃないぞぉ!!!
  1. 2007/01/10(水) 13:49:11 |
  2. URL |
  3. らんらら #-
  4. [ 編集]

>らんららさん
何故か大鳥女史がメインになってきてますが・・・、朝子も
頑張ってます!!
女史が誰を諦めたのか・・・。
朝子じゃないことを祈っててください(笑)
いつも、コメントありがとうv-10
  1. 2007/01/10(水) 22:26:36 |
  2. URL |
  3. ユミ #-
  4. [ 編集]

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