笑@会社

日々面白いことを求めて爆走中!!

最終話

「ちょっ、どうしたんですか?」
テーブルに駆け寄ると、苦笑いのマンキチ。
そして、彼の座る床一面に、茶色い液体が流れている。
「またやっちゃいましたぁ」
いつもの調子で、不気味な薄ら笑いを浮かべている。
夏樹ちゃんが注文した石焼うどんの汁を、見事にこぼしてしまった
らしい。

「だって、男らしく、ここは熱いナベを手づかみでとってやろうと
思ったわけですよ」
石焼でしょ、石焼。
鉄ナベがジュウジュウと音を立ててたら、手で触れるわけがないの
だ。
それに、そんなもの素手で取ったからといって、男らしいなんてま
ったく思えない。
ただのアホとしか思われないのは当然だ。

「そしたら、熱くて、こんなになっちゃいましたぁ」
わたしの目の前に、手のひらを見せた。
指先が赤くはれ上がっている。
すでにお店の人が用意してくれた氷入りのボールで冷やしてはいる
ようだ。

「ちょっと、それで夏樹ちゃんは?トイレ?どこ行ったの?」
マンキチのむなぐらを掴む勢いで、詰め寄った。
「呆れて、帰っちゃいました。アハッ、アハッ」
もう知らない。
足元が、うどんの汁で濡れているというのに、笑っているとは。

夏樹ちゃんが呆れるのも無理はない。
いや、夏樹ちゃんは、マンキチに呆れたのではなく、こんな人を好
きになりかけてしまった自分に呆れたのかもしれない。
まだまだ前途多難なマンキチの恋。
本当に成就する日は、永遠に来ないのかもしれない。


テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

    2006/05/26(金) 05:28:14| 笑@会社 | トラックバック:0
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