笑@会社

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第十話

「いやぁ、ボク、遠野さんが好きなんですよね」
重たい雰囲気を払拭するかのようにマンキチが言う。
彼は、ビールを飲んで上機嫌になっていた。
いまさら言わなくても分かっていることを、何度も繰り
返す。

「遠野さん、いいですよねぇ」
そんなときのマンキチの目は、天井の一点を見つめていて、
少女漫画のように輝いている。
大げさなほど輝いていて、本当に星のマークが見えて
きそうだ。

「夏樹ちゃんは、確かにいいけど」
そう。確かに、同性のわたしから見ても、彼女は素敵な
雰囲気を持っている。
けれど、マンキチはどうか。
というより、彼女から見たマンキチはどうかということが
問題である。

実は、うすうすマンキチが自分に気があることを察知して、
彼を避けているのだ。
わたしの目から見ても、それは明らかだった。
それでも、マンキチは、あくまでもポジティブなオトコで、
ただ照れているだけだと錯覚している。

そして、彼はわたしに宣言した。
来年の四月四日。
三十六歳の誕生日までに、彼女を振り向かせてみせると。
そして、今よりワンランクもツーランクも上のオトコに
なるべく、今から自分を改善し、磨きをかけると。

果たして、付き合うことができるのか。
こうして、マンキチの両思いへの長い旅が、始まったのだった。


テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

    2006/01/31(火) 05:36:59| 笑@会社 | トラックバック:0
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