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No 1
Date 2006・01・22・Sun
第一話わたしの勤める会社に、万田吉男というオトコがいる。
名前は、「キチオ」ではなく「ヨシオ」だ。 それなのに、愛称は「マンキチ」。 これは自分で考えたあだ名で、自ら人にそう呼ぶように 強制している。 普通、愛称というものは自分でつけるものではなくて、 友達などが親しみを込めて呼ぶのにつけるものだ。 万田吉男改め、マンキチ三十五歳。 これまで、家族からは「ヨシオ」、それ以外の人からは、 「万田くん」か「万田さん」としか呼ばれたことがなく、 寂しい思いをしていたのだと、本人は語る。 会社では、苗字に「さん」付けでもいいかもしれない けれど、友達からもそう呼ばれると、なんとなく疎外感を 感じるらしい。 「マンキチ」と決めた理由を尋ねると、 「略したときの響きが、最高にいいじゃないですか。 芸能人になった気分ですよ。アハッ、アハッ」 と、不気味な吐息を漏らしながら笑う。 確かに芸能人っぽいかもしれないけれど、なにか古めかしい 感じを受ける。 |
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