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まるもり 第3章極貧-第2話-

まるもり 第3章極貧-第2話-

 ウー、ウー。
近隣に響き渡るサイレン。
初めて鳴ったそのときは、近所中が呆然としている真樹子を遠巻きに眺めていた。
そして、数分のうちにやってきたセキュリティ会社の人たち。
運転免許証で身分を証明するまで、真樹子は両腕が赤くなるほど強くつかまれたままだった。

 ゴクリ。
メグルは生唾を飲みこんだ。
実は、メグルも一度このセンサーで失敗していた。
そのときは、こんなことが起こった。
センサーに指を通すのは、早すぎても遅すぎてもダメだ。
それに、力を入れすぎても、抜きすぎてもダメだ。
一度指を通して、失敗を知らせるブーという小さい音が鳴ると、メグルはハンドタオルを取り出し、指先を丁寧に拭いた。
そして、二度目のチャレンジ。
いつもと同じように指を通しているつもりでも、センサーの気まぐれなのか、二度目も鍵は開かなかった。
そして、非常事態が発生した。

 何の前触れもなく、それはやってきた。
後ろから誰かに抱きつかれたところまでは記憶がある。
目が覚めたのは、だいぶ後になってからだった。何が起こったのかは、真樹子から聞くこととなった。
四本家に盗みに入ろうとしていた泥棒がいた。ところが、指紋認証をしないと家に入れないことが分かり、誰か家の者が帰宅するのを待つことにした。
メグルが帰ってきて、泥棒は植え込みの中に素早く姿を隠す。
泥棒からは、メグルの背中しか見えない。なかなかドアを開けない理由も分からないいらいらが募り、とうとうメグルを後ろから襲ったのだ。

 突然後ろから、何者かに飛び掛られたメグルは、一瞬のうちに気絶していた。これでは、ますますドアを開けることは不可能だ。
泥棒は、力の抜けたメグルの体を起こし、肩に手をかけ立ち上がらせる。
もちろん、このときのメグルは失神したままなので、泥棒は力いっぱいメグルを持ち上げた。そして、メグルの右手の人差し指を、センサーに通した。
どの指か知っていたわけではない。
一般的に考えて、右利きの確立は高く、人差し指以外の指をセンサーに通す確立は低い。必然的に、通すのはこの指だと、泥棒は確信していた。
それなのに、ドアは開かなかった。
しかも、あろうことか、大きな音でサイレンが鳴り響き始めた。
「ちくしょう」
メグルを放り出すと、住宅街の路地に姿を消すために、泥棒は一目散に駆け出していた。

 一方、メグルは、放り出されたときに頭をアプローチの砂利にぶつけ、その痛さで目を覚ました。
鳴り響くサイレン。集まり始める近所の人たち。
メグルはしばらく気絶した振りをすることにした。

まるもり 第3章極貧 第3話へ続く

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

    2008/07/10(木) 12:00:00| 笑@会社 | トラックバック:0
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