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まるもり 第2章どん底-第7話-

まるもり 第2章どん底-第7話-

 その後も何度か海斗からの着信があったが、メグルは、そのすべてを無視した。
そして、ようやく諦めたのか、十一時近くになって携帯電話は一旦静かになった。
「もう、海斗ってしつこい」
携帯電話を握り締めたまま、メグルは布団の上に横たわっていた。

そのうち、また携帯電話が震え始めた。
着信は、柏木といって、同じ会社に勤めるメグルの先輩だった。
彼は、海斗とは逆に、心が広く穏やかな人である。
傍から見ると、二人は恋人同士なのだが、メグルは彼を特定の人とは思っていない。
みんな、平等。
誰か一人に決めるなんてことは、メグルにはできないのだ。
告白されれば、誰でもオーケー。
物心ついたときから、常に五人ほどと同時進行で付き合うことが普通になっている。
そのことが誰かに見つかると、振られて彼氏が一時的に減るが、また誰かに告白されれば人数は増えていく。

「柏木さん」
メグルの電話に出る声は、弾んでいた。
「メグルちゃん、俺たちもう」
反対に、柏木の暗く沈んだ声。
「なに、なに?」
柏木のその声を、何も不思議には思わずに明るく振舞う。
「ゴメン、俺たち別れよう」

別に、いいわ。柏木さんじゃなくても。
メグルは、柏木が切り出した別れ話に、あっさりと相槌を打っていた。
泣きつかれるか、グチグチ言われるのを想像していただろう柏木は、想像以上にあっさりとした終わりかたに、少し物寂しさを覚えたかもしれない。
それでも、自分からした別れ話だ。すっきりと別れられたことには感謝しなければならないだろう。

 柏木との電話を切った後、メグルはすぐに柏木の登録情報を抹消した。
自分から離れていく男の連絡先を持っていても仕方がない。
また新たに登録するべき人が現れるわけで、メモリーの残量を残す上でも、すぐに消すのが一番だ。
時々、自分から別れを切り出してきたのに、何日か経ってから連絡してくる男がいる。
情報がないために、誰からの着信なのかさっぱり分からない。
出てみると、むかしの男。
「ごめん、もう登録消しちゃったから、誰かと思ったよ」
メグルが平然と明るい声で言うと、たいていの男は、そこで沈んでしまう。
男は、自分が嫌になって別れを切り出しても、その女はいつまでも自分の事を思っていてくれると勘違いしている。
いつでも誰でも受け入れてしまい、相手を傷つけたくないという思いが強いメグルは、そんなときは、まだ想っているような態度を見せてしまう。

まるもり 第2章どん底 第8話へ続く

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

    2008/06/18(水) 12:00:00| 笑@会社 | トラックバック:0
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