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まるもり 第1章追放-第6話-

まるもり 第1章追放-第6話-

 次にメグルに起こったこと。
それは、これまでに経験したことのないような、揺れ。
目を開けると、垂れ下がるアンティーク調のライトが揺れている。
メグルのベッドも揺れている。
「キャッ」
小さな声を上げて、起き上がると、ベッドから放り出されそうになっている。
床に投げ出されないように、必死にシーツにつかまっている。
揺れは途切れることなく、いつまでも一定の力と一定の波で訪れる。

 おかしいなぁ。
メグルは、そっと視線を移した。
ベッドの脇には、泣き出しそうな顔をして立っている真樹子。
そして、腕まくりをしてベッドを揺らす真樹夫。
真樹夫の鬼のような形相に、思わず背筋が寒くなって、メグルは自らベッドから飛び降りていた。
そのとき、左足の小指が内側へと折れ曲がり、悲鳴をあげそうなほどの痛みが襲ったが、何よりも真樹夫から逃げることが第一だと考えていた。

時は週末。状態は寝起き。
そこまで考えられたことに、メグルは、自分を褒めてあげたくなっていた。
嬉しそうに笑うメグル。
その顔を見て、真樹夫の怒りは、一気に爆発する。
これまで真樹夫が怒った顔など一度も見たことがなかったメグルには、衝撃的過ぎる顔だった。

 「出、て、い、けぇー」
一つ一つの言葉を、丁寧に区切って分かりやすく叫ぶ。
まるで、日本語が分からない人に、説明するかのような言い方だった。
最後の「けぇー」など、聞いているほうが息苦しくなるほど、長く伸ばして、さらに顔は赤くなっていた。
真樹子は、相変わらずベッドの傍らに立ちすくみ、眉を八の字にたれ下げて、メグルを見つめている。

何があったの?
メグルはそういいたいのを、何度も我慢する。
普段怒ることのない真樹夫が、これだけ声を大にして、そして顔を真っ赤にして怒るのには、当然だがワケがあるのだ。
そして、それがメグルに向かって発信されているということは、メグルに何か非があったのだ。
自分が怒らせるようなことをしておいて、
「どうして怒っているの?」
などと聞けば、真樹夫はますます怒り出すに違いない。

 だから、メグルは黙っていた。
自分の背丈より少し短めの抱き枕を胸に抱き、あいているほうの手で、寝癖を撫で付ける。
ベッドを部屋の中央に挟んで、窓際にメグル、ドア側に真樹夫、その後ろに真樹子が揃って立ち尽くす。
久しぶりに顔を合わせた三人。
いつも笑いが絶えなかった家族。
まるで、薄っぺらな氷上に乗ったがために、氷がぱきぱきと割れるかのように、三人の関係がひび割れていくのを感じた。
「十二時間、時間をやろう。その間に、出て行くんだ」
真樹夫は、胸の前で腕を組み、鬼の形相を崩さない。
「あのぉ、あのぉ」
メグルは、しり込みしながらも、ようやく口を開いた。

まるもり 第1章追放 第7話へ続く

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

    2008/05/13(火) 12:00:00| 笑@会社 | トラックバック:0
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