笑@会社

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女園秘書室-第136話-


相棒だったはずなのに?!まさか…社長は桃子の敵?!
悪党3人の行方を、桃子一人が追う羽目に!!


第136話

「ちぇっ」
桃子は舌打ちをしていた。社長の目の前で堂々としたので、もしこの場所に樹里がいたら、たしなめら
れていたことだろう。
あたしは、損な役回り。でも、仕方ないさ。社長の秘書なんだから。そう思って行動する自分がちょっと
だけカッコいいと思ってしまう。
守られるより、守る。桃子は、いつもそういう立場だった。頼られて、張り切るタイプの人間だ。
舌打ちしたのは、形だけで、本当は頼られていることに、妙な快感を覚えている。
じゃ、行くか。
意を決して、鍵を開け、ドアを開ける。
すぐに中に入るのは、危険だ。ドアの横に立ち尽くして、様子を伺ってみる。どこかで息をひそめてい
るのか、声は聞こえてこない。それどころか、人の動く気配がないのだ。どうしたことか。
誰かが入るのを、じっと待っていて、部屋に入ったとたんにどこからか襲ってくるのではないか。そう考
えると、なかなか足を踏み入れられずにいる。

いったんどこかへ引き上げていた社長が戻ってくる。
「逃げたかと思った」
いくら強気な桃子でも、やはり、一人より二人のほうが心強い。
社長は、懐中電灯を持ってきてくれていた。蛍光灯も、日が差す窓もないこの部屋は、本当に真っ暗
なのだ。
意を決して、一歩前へ踏み出して、部屋と廊下の境目に立った。それほど広い部屋ではない。ぐるっ
と一周光を当ててみたが、人は見当たらない。もしや。
桃子は、ハイスピードで、天井へライトを当てる。忍者ではあるまいし、天井にくっついているなんてこ
とはありえないと思ってはいたが、念のためである。
社長も首をかしげて、部屋の中を覗きこんだ。
「おい、この部屋はどこか開いてるぞ」
桃子は、一歩中へ足を踏み入れた。どこからか、スーッと足を撫でるように風が吹いてくる。
桃子は、床を踏みしめるように、部屋中を歩き回った。一ヶ所だけ、床がミシッと音を立てる場所があ
る。ここだな。
膝をついた瞬間、ドアが派手な音を立ててしまった。反応が遅れて、鍵がかけられる前にドアにたどり
着くことができなかった。
「おい」
自分の大声が、部屋中に響き渡って、耳が痛い。桃子は、顔をしかめて目を瞑る。

おかしいじゃないか?社長があたしを閉じ込めた?いったい、何のために?
そんな素振り少しも見せなかったのに。桃子は、微妙に風が吹き込むその場所を、足でコンコンと鳴ら
してみた。空洞であるかのように、軽い音。
ライトで照らしてみると、その部分だけ、人一人の幅くらいに、床に切れ込みが入っていた。それを持
ち上げたら、床の下に三人が隠れている?
桃子は、その切れ込みの隙間に手を入れようとしたが、とてもじゃない。人の手などはいるほど大きな
隙間ではない。手に持っていた鍵がちょうど入るくらいだが、鍵のような短いものでは、とうてい床を持
ち上げられやしない。
部屋の中を歩き回り、部屋の片隅にスコップがあるのを見つけた。
なぜに、スコップ?
スコップの先を、床の隙間に差し込んでみる。ぐいっと板をあげると、床の下は空洞だった。
ライトを照らしてみる。
あたしでも入れるか。
桃子は、穴の中に入ってみた。

穴は、樹里と小夜子なら二人で入れそうな大きさだった。つまりは、桃子では一人分というわけだ。そ
の穴は、ただの穴ではなかった。ハイハイをして通るのがやっとの道が掘られている。桃子は、穴を進
んでいった。
誰かが、手作業で掘ったのだろう。その穴はいびつで、時折、お尻がひっかかりもしたが、順調おおむ
ね順調だ。
「おい、後戻りできないから、どこかにつながっていてくれよ」
祈りが通じたのか、行き止まりになった場所は、また、人が一人座っていられるくらいのぽっかりと開
いた空間があった。
頭上が、何で蓋が閉められていて、どこにでるのか不安だったが、桃子は力を込めて一気に頭の上
の蓋を持ち上げた。
そこは、蒸れたような草の緑の匂いがした。

-第137話へ続く-

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

    2008/03/06(木) 12:00:00| 笑@会社 | トラックバック:0
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