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No 695
Date 2008・02・13・Wed
女園秘書室-第125話-桃子は、やっぱり桃子! 迷える女を放ってはおけない?!優しさか、同情か。 そのどちらでもないのか。悲しい性なのか?! 赤城さんはどうするつもりなのか。 いろんな疑問が残る第125話。 第125話 樹里の携帯へ、有砂から二度目の連絡が入ったとき、医務室は再び緊張の雰囲気に包まれ ていた。 というより、赤城という経理の女が桃子の強烈なパンチから目を覚まし、また暴れ始めたの だ。軽く縛った片手のシーツは、すっかり解けてしまい、彼女は自由の身となっていた。 ここは医務室ではあるけれど、幸いここは所詮会社の中。手術用の器具があるわけでもなく、 それほど危ない展開になるとは思えなかった。 ただし、こういうヒステリーにして逆上タイプの女は、何をするか分からない。桃子は、女を部 屋の角に追いやって、とっ捕まえようとしていた。それは、まるで逃げ回る動物を捕獲するか のようだった。 「ほら、桃子さん、右、左」 樹里は、後ろか指示を出す。それはありがたいが、一緒に追い回してくれたらもっとありがた いものである。 残りの秘書二人も、固唾を呑んで見守っているという状況だ。もちろん彼女たちは、桃子一人 で何とかすることができると思っているし、手を出したら返って危ないと思っているのだ。 いよいよ部屋の片隅まで追い詰めて、もう逃げられないというところまでいっておいて、桃子は、 「めんどくせ」 と、大きな声を出した。 「こいつ、結局は誰かにかまって欲しいんだよ。うぜぇ」 ベッドの上に座り込んだ。 「かまうな。かまえば、甘えるんだ」 桃子の呼びかけに、みんなが無視を決め込む。 すると、そろそろと静かに忍び足で、皆のもとへやってきたと思ったら、微妙な笑みを浮かべ て周囲を見回した。 「すみません」 誰も口を開かない。 「本当にごめんなさい」 無視だ。誰も顔を上げないし、言葉に反応しない。 「あの、桃子さん。本当にすみませんでした」 桃子は、顔を真っ赤にして、怒鳴る。 「あんたに桃子さんなんて、なれなれしく呼ばれる筋合いはないよ。それになんだい。無視さ れれば、喚く、暴れる。子供じゃないんだよ。あんたいったい何歳だい?」 「三十五」 「げっ」 桃子は、絶句した。 痩せこけたその顔は、酷くふけていて、自分と二歳しか違わないとはとうてい思えなかった。 「なんだって、そんなに枯れてるんだ」 桃子は、自分の頬に手で触れた。艶々とまでは言わないが、まだ弾力のある肌。血色はよ く、自分で言うのもなんだが、生き生きとしている。生気が失われたこの女の顔は、もう五十を 超えているかのように見えていた。 「かわいそうに」 同情するな。 そう言っておいて、桃子は先頭を切って同情してしまった。 なんと言っても、三十台に入ると、やたらと年齢のことが気になる。加齢とともに、体の不調が 気になり始め、ちょっとしたことが不安になる。 守るべきものが多くなって、性格は保守的になる。 それでも、この女は阿東のために動き、自分のできる範囲のことをしてきたのだろう。そして、 疲れ果て、自殺まで考えてもおかしくはない。 「あぁあ」 桃子は、大きな声でため息をついた。 結局は、放っておけなくなる。自分は恋に溺れて、会社の金を横領するなどということとは、一 生無縁だ。そうしたい気持ちも分からないし、分かりたくもない。でも、やつれすぎたこの顔 が、まだ三十五歳のものと知ったとき、桃子は悲しくなったのだ。 「同情はしない。手助けもしない。でも、話だけは聞いてやる。死ぬ前に話してみな」 桃子は、わざと言ってみる。すると、 「死にません。もう、死にません」 彼女は大声で叫ぶ。 桃子以外の秘書たちが、そのキーンとした高い大きな声に、耳を塞ぐ。 そんな中、樹里は桃子を見て、ウインクしてきた。 「桃子さん、らしいです」 -第126話へ続く- |
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