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No 685
Date 2008・01・31・Thu
女園秘書室-第119話-有砂からの呼び出し。彼女のコードネームはPG?! 何の略??もしかすると、その謎解き明かされぬまま秘書室終了かもしれません(笑) あまりストーリーに関係性もないし…。忘れてください?! さて、いよいよ決戦のとき。 第119話 桃子は、素直に「そっか」と言えずにいた。 いまのところ、秘書室内でも、阿東と有砂の味方と思える者はいない。しいて言うなら、あの 大人しそうな榛原未来がどちらへ転ぶか分からないけれど、他の秘書は、樹里の味方のよう に思える。樹里の味方ということは、桃子の味方でもある。だから、樹里がいなくなったところ で、桃子は一人で戦うわけではない。 それなのに、桃子は寂しいという気持ちを抱いていた。 これまで、三十三年生きてきて、たくさんの別れを経験してきた。そのどれもが、 「んじゃ、またな」 と、実に爽やかなものだった。 もう二度と会わないだろうと思って手を振った友人に対しても、寂しさを深く感じたことはない。 何も言わない桃子に、樹里がからかうように、顔を覗き込んで話しかけてくる。 「あ、もしかして、寂しいですか?」 「別に」 桃子は口を尖らせたまま、空を見上げた。 本当は、俯いてしまいたかったけれど、いったん俯くと、次に顔を上げるのが難しくなってしま う。涙でぐちゃぐちゃになっているかもしれないし、ツンとした態度をとってしまいそうだし、とに かく意味もなく不機嫌な顔を見られたくなかった。だから、あえて上を向く。 明るく、雲ひとつない青空を見つめて、機嫌の悪い顔をしている奴なんていないだろう? 「寂しいって、言って欲しかったなぁ」 樹里は、膝を抱えて、遠くに目をやる。 「そんなこと言ってくれる人、いないから」 悲しい台詞なのに、笑っていた。 「行かないで、とか。寂しくなる、とか。そんなふうに言われたことないの」 近くで携帯電話が震える音がしている。 マナーモードに設定されているのか、音は出ない。バイブ機能で携帯電話が何かと衝突して ガルルル、と音を立てている。 桃子と樹里は、同時にポケットに手をやった。 ニヤッと笑ったのは、樹里だった。 携帯電話の液晶画面を、桃子の顔の前に突き出す。 「着信有。PG」 桃子が首を傾げる。PG?パソコンの略のPCではなく、PGだ。 「なぁ、それって?」 どこかで見たことがある。桃子は額に手をやり、考え込んだ。どこだ?この文字は、見たこと があるぞ。樹里はただ笑うだけだった。 「英語をたくさん勉強してください。そうしたら、いつか分かるかもしれません」 何十年先になることやらだ。その間に、そんなちっぽけなローマ字のことなど忘れてしまうだろう。 「ま、いっか」 無理に知らなくても良い。もしかしたら、いつか、「あ、このことか」と思う日があるかもしれな い。忘れてしまったとしたら、それは自分にとっては重要なことではなかったということだ。 この会社を辞めれば、どうでもよくなっちまうだろうな。 桃子は、自分も会社を辞める決意があることを、樹里には言わなかった。 「これ、有砂さんです」 樹里は、もう一度着信した携帯画面を桃子の目の前に広げた。 PGは、何かの略で、有砂を表している。 「あいつ、いつも人のこと物同然に扱うから、大嫌いです」 樹里が、怒っている。怒っているのに、敬語なので怖くない。可愛い気すらする。 PGは、きっと樹里がつけた最悪にして、最高のニックネームなのだろう。 「行くのか?」 桃子は、立ち上がろうとした樹里の腕を軽くつかんだ。 心配だった。あの有砂相手では、束になってかからない限り、太刀打ちできないだろう。力で ねじ伏せようとすれば、桃子は負けない自信がある。ただ、基本的にそういった戦いは好まな い。暴力でしか、相手を説得できなかったり、力でものを言わせる行為は卑怯だと思ってい る。そう教えられてきたからだ。 しかも。 「あいつは、ちょっとでも触ろうもんなら悲鳴あげそうだし、訴えられたらシャレになんないからな」 樹里は、桃子の唐突なこの台詞も理解をしたのか、二の腕に拳を作ってみせる。 「いえ、あの人、あれでいてなかなかの腕前ですよ」 「じゃ、樹里さんと同じってわけだ」 桃子は、その拳を上から二、三度叩いた後、指をポキポキと鳴らしてみせた。 -第120話へ続く- |
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No 683
Date 2008・01・29・Tue
女園秘書室-第118話-樹里が会社を辞める…。 仲良しの友人が会社を辞めるとなると、なんとなく寂しいもの。 でも、前を向いて歩いていこうとしているから、止められない。 きっと、大丈夫。会社を離れても、友達なんだ。 っと、その前に打倒阿東が課題ですが…。 第118話 「やっぱりか」 理子の第一声は、樹里と同じ感覚を持ったことを意味していた。 「会ったときに、なんとなくあんたには縁を感じたんだ。会うことが決まっていたんだな」 男っぽい理子が、照れて笑う姿は、女だった。 樹里の父親だけが、首を傾げている。 「お前たちは、どうやって知り合ったんだい?」 二人は、顔を見合わせて笑った。 三人は、リビングで意気投合した。 樹里と樹里の父親は、ワインを飲み、理子は焼酎をあおっている。 リビングは酒の匂いが充満して、つまみを作っている家政婦の亜樹は、自分が飲んでいない のに酔っ払いそうだと笑った。 理子と樹里の父親の出会いは、病院だった。 まだ警備員をしていた頃、突然のめまいと吐き気に襲われて、運ばれた病院の急患担当が 樹里の父親だったのだ。数週間入院している間に、理子は自分の生い立ちまで話すほど彼に 信頼をおいていた。理子の話を聞いている途中、樹里の父親は、むかし訪ねたボロボロのア パートを思い出していた。境遇が似ているような気がした。藍子がかつて愛した男と、樹里を 生む前に生んだ女の子。彼女ではないだろうか。 最初は、黙って何度か食事に誘った。 「変な意味で誘っているわけじゃないんだよ」 恋愛感情を抱いていると勘違いされないように、樹里の父は理子に言っておいた。 「当たり前だろ。変なことしたら股間蹴り上げるから」 二人はときどき会って、樹里の父親は、なんとか母親の名前を聞き出すことに成功した。 「わたしにはあまり記憶にないけどね。父ちゃんが酔っ払うと、いつも藍子って言うんだ。だか ら、藍子っていう女だったんだろうよ」 かつて住んでいた場所も、一緒だった。 間違いない。彼女は、藍子の子供なのだ。 確信を持った彼は、理子に全てを打ち明けた。 「うちで一緒に暮らさないか」 とも誘った。 「うちに一人娘がいるんだ。彼女は、誰にも心を開かない。扱いにくい年頃だし、きみが一緒 に住んでくれれば助かるんだけど」 そう言われて、理子は嬉しくないわけではなかった。何年も一人でがんばってきたのだ。誰か に支えてもらいたいという気持ちは、いつも持っていた。 それでも、願うものは手に入らず、一人でやってきた結果、強い女が出来上がっていた。 ただ、何も知らない他人と生活することのほうが、理子を不安にさせた。そして、心を閉ざして しまっているという女の子のことを、どう扱っていいのかも分からない。 父は違えど、突然「姉だ」と言って住み着いて、これまでの生活を変えてはいけないのではな いだろうか。 悩んだ挙句、理子は、一緒に暮らすことを断った。 それでも、そうして誘ってもらったことに感謝し、年に三、四回は病院に顔を出すようになって いた。 「なるほどね」 樹里は、過去の二人の知り合ったいきさつを聞いて、うなづいた。 「そのとき理子さんが来てくれていれば、わたしの青春時代はもっと楽しかったかもしれなか った」 頼もしい姉の存在があれば。 でも、それはいまだから言えることなのかもしれないとも思う。 外も中も荒れていた時期に、母親が同じというだけで見も知らない女が一緒に暮らし始めるの を、当時の自分が許せたかどうかは分からない。 「でもな、人は出会うタイミングで、相手への愛情も違ってくるもんだ」 理子は、焼酎を片手に持ち、口元でゆっくりグラスを傾ける。 理子の言葉に耳を傾けて、樹里はそっと昔を思い返す。もし、あの頃理子がいたら。 「いまは、むかしのことなんか考えるんじゃないよ。出てくるのは、恨み辛みばかりだろう?そ れは、いまあんたが充実していない証拠でもあるんだよ」 理子の声が次第に大きくなる。 「いまが楽しくて、充実していれば、例えばむかしのことを思い出したとしても、それほど苦痛 じゃないのさ。分かるかい?あたしが言っていることが」 「わたしがいまの生活に満足していれば、過去の辛いことを思い出しても、笑い飛ばせるはず だっていうの」 「くぅぅ、いいこと言うなぁ。理子さんは」 桃子は、両手で頬を挟み、唇を尖らせている。 樹里が、こらえきれずに笑い出した。それは、数秒続いた。あまりにも大きなその笑い声は、 空に舞って、遠く彼方に吸い込まれていった。 「こんなふうに笑って生きていきたいんです。だから、この会社を辞めたいのです」 -第119話へ続く- |
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No 682
Date 2008・01・27・Sun
女園秘書室-第117話-女のわたしが言うのもなんですが、女の勘って怖いです。 十中八九当たってるんですもの…。 桃子には、それがないようですが、彼女には野生の勘が働いているので、 それで我慢していただきましょう^^大丈夫よ、桃子、ちゃんと女だから。 第117話 樹里と別れたのは、日曜日の夕方。つまり昨日の夕方だ。別れ際は、弱っていた。それもそ のはずだ。流産したばかりだったのだから。辛かったに違いない。できれば近くにいてやりた い。そう思っても、しなかったのは、一人になって悲しみを爆発させたほうが良いだろうと思っ たからだった。誰かがいると、樹里は気を遣ってしまう。そういう女だ。 ようやく他人に対して心を開き始めたばかりの彼女が、心から感情をさらけ出すようになるのは、 当分先の話だろう。 樹里と別れてまだ一日も経っていない。にも関わらず、先ほど医務室に入ってきた樹里は、か なり晴れ晴れとした顔つきだった。それが何故だか分からないまま、阿東の話になり、樹里は また気分を害してしまうこととなったが、それもつかの間だった。 「わたし、なんとなく感じていたんです。理子さんと食事している最中に。この人、わたしとつな がっているって。どうして?と聞かれると答えられないのですが」 そんな曖昧な話があるのか? 桃子は、首をカクカクと何段階かに分けて、肩に近づけるように傾けた。 それとも、やはり彼女は何かしら普通の人間にはない特殊な能力を持っているのだろうか。 桃子は、数日前に自分の身に起こった出来事を思い出していた。 知りもしない樹里の過去が、頭の中にパッと広がったこと。そしてそれが真実として彼女の口 から語られたこと。テレパシーというのだろうか。強い思念が桃子に送られてきたのだろうか。 「本当に…なんとなく感じたんです」 もう一度樹里は繰り返した。 昨日、夕方から一人になった樹里の元へ、父親が帰ってきた。 疲れ果て、酷く老け込んでしまったような樹里の顔を見て、父親は、 「何があったんだい?話してごらん」 優しく問いかけたと言う。これまで、樹里の話に耳を傾けることなど一度もしなかった父が、初 めて親らしく接してきた。 樹里は、何もかも話してしまいたくなっていた。隠し事や嘘は、うんざりだという気持ちでいっ ぱいになっていた。 阿東のこと、会社でのこと、赤ちゃんのこと。 何を言われても、平手打ちをもらったとしてもかまわなかった。とにかく、胸に引っかかる何か を全て吐き出してしまいたかった。 心の動くまま、始めはポツポツと。次第に早口になって、これまで起こったことを順に話してい った。その中で、桃子にだいぶ救われていることや、桃子の先輩でもある理子にも励ましても らったこと。そして、何か感じていた理子とのつながりまで話していた。 「父がね、理子さんの名前を出した瞬間に、息を呑んだの。ものすごい大きな音でね。呼吸困 難にでもなったのかと思ったわ」 そのときのことを思い出したのか、樹里は背中を震わせて笑った。 「安藤理子」 そうつぶやいて、彼はため息をついたという。 そして、上着のポケットから携帯電話を取り出すと、ボタンを押し、耳につけた。 「あぁ、実は話したいことがあってね。いまから住所を言うから、そこまで来てくれないか?」 話はすぐにまとまったようで、電話の相手は、すぐに福井邸にやってくると約束したという。 それから一時間後。 外で車が止まる音が聞こえてきた。閑静な住宅街のため、重厚な造りのこの家でも外の音が 微かに響く。 よく通る女性の声。まだ暑さが残っていたこの日、リビングのドアが僅かに開いていたせいも あるだろう。 「ありがとねー」 明るくテンションの高い声に、樹里は思わず立ち上がった。 聞いたことのある声。すぐに理子の顔が浮かんできた。 そっと父親の顔を見つめると、彼は照れながら微笑んでいた。 「そ、その顔は…?もしやって思ったの」 樹里が、頬を赤く染めて桃子に視線を投げかけてきた。 「もしやって、なにかい?理子さんがお父さんの恋愛相手って思ったとか?」 「そう。だって、父が照れる顔なんて、今まで見たことなかったですし。父が浮気しているかも しれないということより、理子さんとわたしが父親違いの姉妹かもしれないという自分の感覚 が外れたかもと、最初はがっかりしたんです」 不思議な感覚を持つものなのだな。 女の勘は鋭いというが、それなのだろうか。 あたしには、それがない。あたしは、男なのか? 「理子さんが玄関に立っていて、向かい合った瞬間、やっぱり思いました。わたしたち、姉妹 だって。それは、理子さんも同じだったようです」 樹里の顔は、この青空のように晴れ晴れとしている。 -第118話へ続く- |
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No 681
Date 2008・01・25・Fri
女園秘書室-第116話-さらに狭まる人間関係。世間は狭いです。 例え家族ではなくても、心のどこかでつながっていると感じる相手もいれば、家族でも プツンと糸がきれていたり…。世の中何が大事かって、血のつながりを超えたところに あるのかもしれません。 第116話 何かを手に入れようとするとき、何かを失うかもしれないということを頭においておくべきだ。 自分が欲しているものを全て手に入れられるほど、世の中うまいこと回っていくものではない。 「失うものは、何もないな」 桃子はポツンとつぶやいた。 会社の屋上は、本来は立ち入り禁止の場所である。普段鍵がかかっているが、樹里はいとも 簡単に総務部から鍵を借りてきて、扉を開けてしまった。 「いいコネ持ってるんだな」 「そりゃ、時々はそういう特権もないと、秘書などやっていられません」 樹里が笑う。 二人は、屋上のアスファルトの上に寝転んでいた。 阿東が社長を、社長職から引き摺り下ろし、自分が社長になろうとしている。そのため、社長 の周囲をかぎまわっている。阿東は直接手を下していないだろうが、阿東から頼まれて動い ている社員もいるようだった。 阿東の妻は、自分が社長宅に出入りしているのを知らないだろうと言っていたが、皆の話をま とめると、阿東はそんなこと充分承知しているに過ぎなかった。そして、それをネタにするの か、いつかのときのために、温存しているに違いない。 いつかのときというのは、自分が確実に有利に立つことができるときだ。 なんとか阿東の首根っこを捕まえることはできないだろうか。 それは、桃子が考えるより、樹里が考えたほうが手っ取り早かった。ただ、阿東の弱みを表ざ たにするということは、結果的には樹里も傷つくことになる。それに、不倫をしていたからという だけでは、社長になれない大きな理由にならないような気がした。 「何を考えているんですか?」 「いや、別に」 桃子は、アスファルトの上に直接寝転がり、樹里は頭の部分だけハンカチを広げていた。 自分はこの職を失ってもいいと思っていた。これがなくなったからといって、自分の生活に大き な変化が起こるわけではないだろう。それより、秘書などやめてしまったほうが、生活が楽しく なるかもしれない。それなら、そのほうがいい人生を送れる。 だが、樹里はどうだろう。 桃子は首を少し横に動かして、樹里を見つめた。 太陽の光が眩しいのか、樹里は目を閉じていた。 長くカールしたまつげ。細く整えられた眉。きれいな顔立ちだ。 樹里も、例えこの職を失ったとしても、どこかでうまいことやっていけるに違いない。 ただ、その力があるかどうかが心配だった。 不倫の果ての破局、流産、そんな経験をしたばかりの彼女に、新しいことに向かって力いっぱ い進んでいける余力が残っているとは思えなかった。 それに、彼女はまだ人間不信なところがある。新しい環境に馴染むのは難しいだろう。 「あぁ」 樹里が大きな口をあけて、欠伸をした。 桃子は、横でその顔を捉えていた。 「見ましたね?」 「見たよ」 ケラケラと笑った後、樹里は真剣な顔になった。 「桃子さん、わたしね、もう何もいらないです。何もかも…」 上半身を起こして、乱れた髪を整える。桃子は、樹里の背中についた石灰のような白い粉を、 力を込めて振りはたいた。 「イタタタ、桃子さんの力じゃ痛い」 「あ、ごめ」 もう一度、今度はかなり控えめに、さするように背中を叩く。 太陽の暖かい日差しが、体を包み込む。それと同時に、時折少しひんやりとした空気が肩を 撫でていく。季節が夏から秋に移り変わっている瞬間だろう。 「正確に言うと、父と桃子さんと、亜紀さん。そして理子さん以外はもういらないです」 これまで毛嫌いしていた父親を、大切な人と思った。そして自分のこと、福井家の家政婦の亜 樹のこと。 「んあ?なぜそこに理子さんが?」 桃子は、起き上がって樹里と同じように足を抱えて座った。 一度しか会ったことがない、桃子のかつての職場の先輩である理子のことを、樹里が気に入って いたことは確かだったが。 桃子は首をかしげて、樹里の答えを待つ。 「何から話したらいいか。桃子さんが秘書室に来てから、毎日がお祭りです。いろんなことが めまぐるしく起こって、悪いことが起こったけれど、それは悪を断ち切るというふうに考えれば、 結局は良かったんだと」 樹里は、桃子の質問にすぐには答えなかった。 「信じられます?桃子さん。理子さんは、わたしの異父姉妹だったんです。あの口の悪い理子 さんが、わたしの姉ですよ。世の中、間違ってます」 そういうと、大声で笑い始めた。 桃子は、顎が外れたかのように、口を大きくあんぐりと開けて、呆然としていた。 なにゆえ? 「姉妹?嘘だろ?」 どう見たって似てないぞ。 -第117話へ続く- |
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No 679
Date 2008・01・23・Wed
女園秘書室-第115話-人間関係を語る渚。 何かを決心した樹里。 憤る桃子。 女性たちが熱くなっています^^ 第115話 医務室にいる秘書たちは、持っている情報をすべて出し合った。その中でも、桃子が提供した 情報は、他の秘書たちにとても衝撃を与えるものだったようだ。樹里は、ある程度のことを社 長から聞いていたものの、阿東の妻が社長宅に出入りしていることなど、まったく知らなかっ たのだ。 桃子が驚いたのは、渚の話だった。 渚は、樹里と同じく副社長の秘書である。 「わたしが秘書をしている副社長は、わたしの実の父なのです」 桃子は、もともと丸い目をさらに丸くした。決して笑える話ではないのに、そこにいた他の秘書は、 桃子の驚愕の顔を見て笑った。 「父は、会社にすべてを注ぎ込みたいって、それだけの理由で、わたしが小学生の頃、母とわ たしを捨てたのです。母は泣く泣く離婚を認めたのですが、父のことが気がかりで。それに、 心から愛しているんでしょうね。近くにいたいといって、会社の裏に喫茶店をオープンさせたの です。そんなこと、父は気付いていないでしょうけどね。これだけ近くにいたって、わたしのこと すら気付きやしないんだから」 渚はいつの間にか、涙目になっていて、丁寧な口調はどこかへ消えてしまっていた。話の内 容は、それだけ興奮するものだったのだ。 なぜそれほどまで、会社に執着する必要があるのだろう。この会社が、それだけ素晴らしい会 社なのか?それとも、会社のどこかに埋蔵金でもあって、それを狙っているのか? 社長になって会社を動かすって、大変だぞ。神経磨り減るぞ。それでも、社長になりたいのか…。 桃子は、腕を組んで悩んでいた。 「男の人には魅力的なんですよ。仕事に没頭するということ。会社を動かすということ。それ が、大きい会社ならなおさらです。そして、その立場を手に入れられるほど近くの地位にいる 人ほど、そういった欲望はあるはずです」 樹里にはいつも考えていることが手に取るように読まれているような気がする。口に出さずとも、 樹里は明確に答えを出してくれるのだ。 頭の中に、阿東の顔がポッと浮かんだ。 樹里の遠い目が気になる。彼女もまた、阿東の顔を思い浮かべただろうか。 「それが、努力以外のことで達成させようとしたとき間違いが起こるのです。今回のように…」 樹里は、息苦しそうになっていた。悲しみをこらえているのだろうか。それとも流産したことで どこかが痛むのだろうか。 「うちの副社長だって、隙あればって思っているもの」 樹里が言うと、渚も続く、 「あら、うちの副社長だってそうよ」 あっけらかんとして言うので、空気は少しだけ柔らかくなった。 「こんなところで、張り合っても仕方ないわ。わたしはもう秘書じゃないし」 「営業部なんて行くことないぞ」 桃子は、樹里の肩をがっちりと掴んだ。 「あたしが、あんたを秘書室に戻してみせる」 あ、あたしは何て勇敢な女なのだろう。一人酔いしれる桃子であった。 しかし、せっかくの勇気を、桃子は数秒と経たないうちに、打ち砕かれていた。 「もういいんです」 樹里は、まだ左腕にさげていたバッグから一枚の封筒を取り出した。 「朝、わたしが営業部へ異動させられていると、渚さんから連絡をもらいました。わたしは、秘 書でなければ嫌だというわけではないのです。ただ、このまま阿東さんの言いなりになるのだ けは避けたかったのです。わたしだって、意志もあるし、感情もあるんだってわかって欲しい」 樹里は、ベッドの上に伏せてしまった。肩が大きく震えている。 ベッド脇に落ちた封筒。桃子は、近づいてそれを拾い上げた。 ゆっくりと裏を返す。 黒いしっかりとした字で、「退職願」と書かれていた。 渚をはじめ、そこにいたもう二人の秘書が、桃子の肩越しにそれを覗き込み、息を飲む。 「あとぅー」 桃子は、思い切り叫んだ。それは、轟音だった。地が響くほどの大声に、皆が耳をふさぐ。樹 里は泣くのを止め、耳に手を当てながら、桃子を振り返る。 「ぎょっ」 らしからぬ声を上げる。 下から見上げた桃子の顔は、鼻がピクピクと大きくなったり小さくなったりと激しく動き、眉は 釣りあがり、目玉が飛び出しそうなほど大きく目を開け、まるで秋田のナマハゲのように見えた。 「桃子さん、だめぇ。その顔は…」 樹里に抱きつかれた桃子は、鼻をフンと鳴らす。 「女じゃなくなっていましたから」 樹里は、エステのマッサージのように、正面から桃子の頬を伸ばしたり、縮めたりほぐすのだった。 -第116話へ続く- |
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No 680
Date 2008・01・22・Tue
おまけ付きバトゥン聞いて聞いて、聞いて。のらんららさんより、バトンいただきました♪
罰ゲーム付らしいですよ。いいですよ、受けて立ちましょう!! 【カラーバトン】 ☆注意☆(強制的に) 以下のルールを守って下さい ☆回ってきた人は3日以内に回答すること ☆嘘偽りなく答えること ☆アンカーは禁止 ☆回した人は回された人がルールを守っているか確認に回ること ☆守ってない場合は罰ゲームを考えてやらせてやること うわ〜、絶対ルール守れないから、罰ね…罰。 最近やらかした恥ずかしい話…。 そうねぇ、最近ではないけれど、去年の11月のある土曜日の出来事を話そう。 その日、相方さんと19時に待ち合わせ。 待ち合わせ場所まで距離にして10km強だが、土曜日の夕方〜夜にかけては国道が混み 合うために、わたしはいつも1時間以上前に家を出るようにしている。 この日も、18時前に支度を完了し、階段脇に置いたバッグの中身を、座り込んで確認する。 忘れ物が多い、わたしならではの光景である。 財布、携帯、デジカメ、ハンカチ、家の鍵、車の鍵。 よし、OK!いざ、行かん。 勢い良く立ち上がった瞬間だった。 ガツン!! うぎゃぁ、いったーぃ。 立ち上がったときに、階段の手すりの角の出っ張りに、思い切り頭を打ち付けたのだ。 「ん、もぅ」 ジンジンする頭にそっと手をやろうとしたとき、手が頭を触るよりも早く、頭から額に向かって 何かが勢い良く流れ出してきた。 それは、左目をかするように通り過ぎ、頬まで落ちてくる。 タラーッ 途切れることなく流れ落ちてくる。 頭に手をやると、左手の手のひらに血がベットリとついた。 急いで洗面所に向かうと、試合中、瞼を切って流血しているボクサーのような顔になって いる。 「うわぉ」 最初に出た言葉がこれ(笑) 痛いより、怖いより、自分がこんな風貌になっていることに驚いたのだ。 しばらく眺めていたけれど、その間にも血はとめどなく流れてくる。 自宅には誰もいない。 出血多量になったら、やばいな〜。 さぁ、どうする?救急車なんて大げさなものではないだろう。しかも、こうなってしまった理由 を話したら、鼻で笑われそうだ。 結局救急医療センターで、自宅から車で10分ほどの救急病院を紹介してもらう。 頭にタオルを乗せ、それを左手で抑える。 みるみるうちに、タオルは赤く染まっていく。 途中、喉が渇いて、コンビニに立ち寄った。ウーロン茶のペットボトルを買うわたし。 アホか?頭にタオル。それは赤く染まっている。喉を潤すなら、自販でよかっただろうに…。 目についたコンビニに入っちゃったのね。店員さんのチラチラ視線は今でもはっきりと思い 出せる。 病院付近に到着したのは、18時。 救急車用の車両出入り口はあるのに、患者用の出入り口が見つからない。 何度か病院の周りを旋回している間に、タオルはもともとの色が白だったことも忘れそうな くらいになってくる。 仕方なしに、近所の会社の駐車場に止めさせてもらい、病院に入ると、駐車場は病院の 少し先にある一般有料駐車場だと言われた。また、そこまで止めに行く。 ようやく受付を済ませ、待合室に行くと、診察をいまや遅しと待っている患者がワンサカいる。 待っている間にも、救急車が次々にけたたましいサイレンとともに、もっと急を要する患者を 運んでくる。 隣に座った子供は、犬に噛まれたそうだ。 わたしの頭の出血が気になるらしく、ずーっとこちらを見ていたので、ニカーッと笑ってみせる と、そっぽを向いてしまった。怖かったんだろう。 お母さんにしがみついて、二度とわたしのほうを見ることはなかった。 ようやく診察室に案内されたのは、受付から40分以上経ってから。 傷口は圧迫止血という方法で、40分くらいだっただろうか、傷口部分を圧迫し続けて血を止め るというものだった。 「吐き気とかなければ、帰っていいですよ」 そう言われて、緊急医療費5000円を支払って帰る(これ、後ほどきちんと計算されて半分以 上戻ってきた)。 待ち合わせ場所に着いたのは、21時。 「頭から流血で、遅れそうなの」 と連絡をしていたものの、それでも待っていてくれた相方さんも相方さんだが、そんな騒動の 後でも、平然と遊びに行くわたしもわたしである。 さて、話はバトンへ移りますよ〜♪ ★罰ゲーム じゃ、わたしも同じく最近あった恥ずかしいお話で行きましょうかね〜! ★まずはバトンを回す人を5人教えて下さい(名前を挙げられた人はドキドキしながら見ましょう) それでは、このバトンは妃垣俊吾さんに回します〜。 ★貴方の名前は? 真壁ユミ♪あ、でも近々ペンネームは変わります! ブログで使うかどうかは微妙なところ。 ★年はいくつ? 今年ぞろ目。ミミ年。 ★好きなものはなぁに? 青空と太陽。夏の熱い日差し。 ★恋人はいる? いる。 ★(いる人は)その人との出会いは? 飲み会だったなぁ。その頃、まだ酒豪っぷり全開中。 予想では、わたしの飲みっぷりにひいたと思われる。 ★好きなタイプは? 俺について来いタイプ。 正義感が強くて、意思が強い人。 生命力の強い人って言い方変だけど、窮地に陥っても這い上がる根性がある逞しい人。 ★嫌いなタイプは? 優柔不断な人。自分で責任を取れない人。 人の痛みが分からない人。 ★好きな漫画・ゲーム・小説・映像は? 小説は、鷺沢萠さんの「大統領のクリスマスツリー」 映像?映画は「ギルバート・グレープ」 漫画は、「ときめきトゥナイト」 ゲームは興味なし。 ★好きな食べ物は? メロンパンとチーズケーキ。 海老とレタス(食材だ^^;) ★好きな音楽は? R&B、JAZZ、ブリティッシュ&スウェディッシュポップ。 1番好きなのは、レニークラヴィッツ。 ★好きなブランドは? ブランドか〜。 しいていうなら、バーバリー。 小物類は、アルベロ。 休日のスタイルは、アディダス&アバクロ。 ★回してくれた人はどんな人? 誰に対しても優しい人。素直で純粋。そして人の気持ちを察することのできる繊細な人。 ★回してくれた人の心の色は? きっと優しいピンク色。ほのかな暖かみのある色。 彼女の心は、温もりがあると思う。 ★貴方の心の色は? いまは無色。本当はらんららさんのイメージどおりピンク色でいたい。 ★最後に貴方が回す人のイメージカラーをつけて下さい。 妃垣俊吾さんは、白のイメージ。爽やかで、裏表がなさそう。文章からして一生懸命な人 と思う。 で、バトンはここまでなのですが、わたしはいったい何故罰ゲームを受けたのだろう?! ルール守っているような…(笑) 恥ずかしい話、書かなくても良かったんじゃ? でも、5人にまわさなかったってことで、よしとしましょう。 |
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No 678
Date 2008・01・21・Mon
女園秘書室-第114話-桃子を連れ出した秘書2人。敵か味方かも分からない。 沈黙の三人の医務室で、思い起こすは、阿東の妻に起こった出来事。 考える桃子の元に、久々のアノ人登場!! これから何が起こるのか?! 第114話 三人のうち一人は、秘書室に残った。 どの部署でもそうかもしれないが、秘書室に誰もいなくなるというのはご法度だというわけだ。 どこからか電話がかかってきたとき、対応ができるようにということだろう。 廊下へ出たのは、桃子と二人の秘書の三人。桃子はこの二人の名前さえ知らないが、とにか く後についていった。 行き着いた場所は、桃子も知っている場所だった。医務室。ここへ来たのは、先週だというの に、その間にいろいろなことがありすぎて、たったの一週間前だと思えなかった。 ドアを開ける。 「まだみたい」 一人が言って、数台並ぶベッドの仕切りのカーテンを全て開け放つ。 「花木さん」 もう一人に呼ばれて、桃子は振り返る。 「わたし、厚木と言います。彼女は、梅原さん」 梅原と呼ばれた女性も、桃子の顔を見て会釈する。 「そんなことより」 桃子は、二人の顔を見比べて言った。 「ここで、何が始まるんだい?」 医務室で、何かが始まるのを待つ間、三人は俯いていた。話すことが何もなかった。 桃子は、社長の家でのことを思い出していた。 阿東の妻。 社長秘書という役割からおろされた阿東は、家にいても常に何かを思い悩んでいたという。 徐々に自分に対する態度も変化してきて、優しかった夫は、暴力まで振るうようになってい た。自分は、親のいない環境で育ったから、子供には寂しい思いをさせたくないという優しか った気持ちも、それ以降どこかへ消えていったように、彼女には見えていた。帰宅は、社長秘 書をしていた頃より遅くなり、まちまちになり、そして戻ってこない日もあったという。 社長秘書をおろされてから、夫は変わった。社長の責任だ、とまでは思わなかったものの、家 庭が崩壊していく様を、見ているのは辛かった。 いろいろ調べて、社長の家を見つけ、訪問した。 最初は渋っていた社長も、自分と近しい関係の阿東のことである。その妻には、隠しておくよ りも、真実を知っておいてもらったほうがよいと思ったのだろう。 阿東の出生の秘密が包み隠さず語られたとのことだった。 「社長さんは、困ったことがあったら小さなことでも、いつでも相談に乗るから、ここへ来なさい と。そう言ってくださいました」 阿東の妻が、照れるように笑って、俯いていたのが印象的だった。その顔つきに、何か女の 匂いを感じ取っていたが、桃子は態度には出さなかった。 それから彼女は、すっかり冷え切った夫婦生活には愛想をつかし、足しげく社長宅に通うよう になったのだという。そのうち、一人家政婦がやめることになり、代わりに彼女が働くようにな ったとのことだった。 阿東は、妻には関心がないようで、特に何を聞かれることもなかったとのことだった。 どうしてこんなに複雑なのだろう。 さっぱりした関係を築くことが、それほど難しいことなのだろうか。 男女の深い関係を築いて、一時の快楽に溺れて、何を得ているのだろう。それが終わったと き、いったい何が残るのだろう。 桃子が顔をあげ、天を仰いだときだった。 医務室のドアが勢い良く開いた。 「桃子さん」 入り口に立っていたのは、樹里だった。 まだ樹里の家から離れて一日と経っていないのに、ずいぶん久しぶりに会ったように感じられ た。それは、会社で会うのが久しぶりだったのかもしれない。 樹里は相変わらず、隙のないメイクや服装で、完璧な女だ。なぜかいきいきした顔つきで、頬 は高潮している。 その後ろには、沢渡渚が立っていた。 樹里とは反対に妙にしんみりした顔つきだ。 「あぁ、福井さん」 桃子と一緒に秘書室を飛び出した二人が立ち上がり、樹里と渚を迎える。 そんな二人を脇に制して、樹里は桃子の前まで歩いてきて、頭を深く下げた。 「ごめんなさいね、桃子さん。変なことに巻き込んでしまいましたね」 樹里が謝る必要などどこにあるというのだろう。 確かに、おかしな渦の中に立っている。それは認識している。けれど、それに樹里が巻き込ん だことが悪いのではなく、そもそもそんな状況を作り出した諸悪の根源がいるはずなのだ。そ の元が悪いのである。 「なーに、気にするな」 ガハハハ。 豪快に笑う。樹里だけが、それにつられてクスクスと笑っていた。 -第115話へ続く- |
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No 677
Date 2008・01・19・Sat
女園秘書室-第113話-ほとんど仕事をしていない桃子。 会社に戻っても、今度はどこへ引っ張り出されるやら。 大忙しの第113話です。 第113話 秘書室のフロアに降り立った 殺人未遂を犯すような男には、堂々と立ち向かっていけるのに、相手が狡賢い女となるとやけ に緊張する。心臓は高鳴り、今にも喉を通って飛び出してきそうだ。 一歩ずつ歩を進めて、ドアの前に立った。 中からは、時折、パチパチというパソコンのキーボードを弾く音だけが聞こえる。 中にいるのは誰だろう。 桃子の頭の中には、もう阿東と有砂しか思い浮かんでこない。 社長が出かけているとあれば、阿東はともかく、有砂など用事がない。デスクにいるしかない のだ。 「奴はいるか」 桃子は、自分の想像が当たらないように祈ってみたが、それはうまくいきそうにもなかった。 ドアを開けると、入り口付近に三人が座っていた。 一番入り口近くに座っていた榛原未来の机の上は、塵一つないほどきれいに片付けられてい る。有砂の視線を遠くから感じながら、自分の席へ近づく。 桃子の隣は、榛原未来の物で埋め尽くされていた。まだ片付けていない数々の持ち物に、彼 女の名前が記してあった。持ち物に名前を書くなど、小学生のようだ。小さい未来を思い、自 然と笑みがこぼれた。 あいつは、多分大丈夫だ。あのダークな色には染まらないだろう。染まりそうになったとして も、あたしが阻止してやる。 椅子に座る直前に、向かいの席に目をやった。 そ知らぬ顔で、キーボードを打ち続けている有砂がそこにはいる。 今にも口笛を吹きだしそうな、軽快な雰囲気があった。何を思ってか、時折笑みを浮かべてい る。パソコンのモニターに向かって、眉をピクッと吊り上げて笑う様は、まるで悪魔のように見 えた。 何が楽しいのだろう。 人が嫌がることをし、人を平気で陥れる。 桃子はゆっくりと席についた。 会社の椅子は、社長の庭の石のもののように頑丈ではない。 パソコンの電源を入れると、ブーンと音が鳴る。この音を聞いていると、頭が痛くなってくる。じ んじんと頭の中に嫌に響く音。 それが終わると、画面いっぱいに青空が広がる。桃子の画面の壁紙は、最初の設定時のま まだ。それを自分好みのものに変更できるなど、まだ知らない。 まずは、メールソフトを立ち上げてみた。休みを取っている間だけでも、だいぶ溜まっているに 違いない。パソコンが勝手にメールを次々と受信してくれるのを、ぼんやりと眺めていた。 サッ。 目の前で、有砂が動いた。桃子のほうをチラリと見やると、ドアへ向かって歩いていく。そし て、最後にもう一度目が合った。 ニヤリと笑って、有砂は部屋を出て行った。 出入り口付近に座る三人の女が、一斉に桃子を見つめる。 そこにいる全員が、困った顔をしているように見えた。なにか、助けを求めるような、そんな空 気が流れてくる。 「大丈夫」 彼女たちに向かって、ニヤッと白い歯を見せてみた。 すると、一人が立ち上がって、ドアを数センチ開けた。廊下の様子を伺い、右手の親指と人差 し指で丸印を作る。残りの二人が立ち上がり、桃子を手招きする。 「なにやってんだ?」 普通の声を出していたつもりなのに、女三人は一斉に口元に手を当てて、「シーッ」と言った。 まるで、躾けられている最中の犬のようである。 「あいつに内緒なのか」 桃子は、やれやれといったような顔をして、三人に近づく。 最初に廊下を覗いていた女と一緒に、廊下の様子を見てみる。 誰もいないようだ。 「大丈夫です。さっき、エレベーターが下がっていきましたから。有砂さん、どこかへ行ったの だと思います」 一旦顔を引っ込める。三人プラス桃子は、円陣を組むような形で立っていた。三人が顔を見合 わせて、頷く。 桃子は、わけも分からないのに、分かったような振りをして、大きく頷いた。 「ぷっ」 一人が桃子の真剣そうな目を見て笑う。 「なんだよ」 まだ会話も交わしたことがない女に笑われて、桃子はふてくされた顔をみせた。 「いえ。樹里さんの言うとおりの方だと思って」 そうつぶやいてから、 「行きますよ」 桃子の手を取った。 三人を真似て頷いた割には、どこへ連れ出されるのか分からずに、目を白黒させながら秘書 室を飛び出していた。 -第114話へ続く- |
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No 676
Date 2008・01・17・Thu
女園秘書室-第112話-初登場の阿東の嫁。 彼女と社長の関係は?複雑に絡み合う人間関係に、桃子ならずとも… 作者もパニック?! 第112話 阿東が社長を攻撃したいのは、本心ではないだろう。桃子は、いまさらながらの発言をしなが らも、心の奥ではきちんと考えていた。 自分の突かれたくない部分を守るために、先に攻撃してきているという社長の言い分も分から なくはない。ただ、桃子はもう少し違う視点で、阿東の攻撃性を見ていた。 彼はやはり、「寂しい」のだと思う。 せっかく生まれてきても、両親のどちらにも可愛がってもらえずに育ち、物心ついて親を訪ね ると、父親はもう死ぬ寸前だった。 母親を頼って、何とか大企業に勤めることになったが、またいつ捨てられるか分からない。 愛情をかけてもらえずに育った者は、時として、本当の愛がどのようなものか分からずに、攻 撃的になる。 愛しているから許されるだろう。自分の気持ちをわかって欲しい。深い暗闇に吸い込まれるほ どの恐怖に駆られる。 誰でもいい。心から阿東のことを愛し、安らぎを与えてくれている人がいれば、阿東はこれほ どまで社長を攻撃しなかったのではないだろうか。 有砂や樹里まで巻き込んで…。 桃子は、自分も巻き込まれているにも関わらず、やはり樹里のことを心配してしまうのだった。 そして、憎いと思っていた有砂に対しても、同情する気持ちが出てきた。 阿東の妻がどのような人か知りたかった。 樹里が言っていた阿東の二人の子供は、きちんと愛されて育っているのだろうか。 「阿東の奥さんって?」 社長が顔を強張らせる。一瞬頬が引きつったのを、桃子は見逃さなかった。 それでも社長が話を切り出すまで待っていようと思った。 しばらく沈黙が続いた。きまずかった。唾を飲み込むのでさえためらわれる。 獲物に狙いを定めて、敵の出方を伺っている瞬間のような緊張感に溢れた。 ガタン。 椅子を鳴らしたのは、社長だった。 すくっと立ち上がり、ドアを開ける。 「待っていてくれ」 社長は、ドアを開け放したまま部屋を出て行き、ほどなく戻ってきた。 後ろに立っていた女性を、自分の前に押し出す。 「阿東くんの奥さんだ」 桃子は、椅子ごと後ろへひっくり返りそうになっていた。 阿東の奥さんという女性は、先ほど桃子のスカートのボタンを丁寧に縫いつけてくれた女性だ ったのだ。 なんだって、これほどごちゃごちゃした人間関係を形成できるのであろう。 社長と阿東が「実の」ではないにしても、近しい親子関係にあるというだけでも、非日常的で あるのに、その阿東は社長の座を奪おうとしていて、その奥さんは社長の家にいる。 ここで、ハタと気付く。 彼女は、人質? それにしては、穏やかな顔をしている。 「初めまして。阿東の妻です」 彼女は、桃子に向かって深々と頭を下げる。 テーブルの上には、犬が舐めたか、最初から何も乗っていなかったかのようにきれいになった 皿が何枚も並べられている。桃子が、皿についたソースなどを舐めるようにしていたからだ。 社長は、その様子を見ても咎めることはなかった。 「食べた後なのに、きれいな皿があるなど、落ち着かない」 社長の一言で、それは阿東の妻によりきれいに片付けられる。 少しだけ嫌味を言っても、桃子が動じないことはすでに分かっている。 呑気な表情でお腹をさすっている。ご満悦という雰囲気だ。恰幅といい態度といい、桃子の方 が社長のような態度である。 そして、改めて三人が席に着いた。 「ったく、面倒くさい奴らだ」 桃子は、一人で会社へ向かっていた。 社長は、一人で仕事をこなすことになっていて、実際は家にいる。 近くまで車で送ってくれると言う申し出を断って、桃子は電車を乗り継いで、会社の最寄り駅 で降りた。 会社はどうなっているのだろう。 樹里はいない。阿東と有砂の最強タッグプラス榛原未来が、怖い顔をして待ち受けていそうな 気がした。 沢渡渚はどうなったのだろう。母親が会社の真裏に喫茶店など開いていて、何か都合が良す ぎないか?そして、彼女は大丈夫なのだろうか。 崩壊する。もう駄目になる。そう言って泣き崩れそうになっていたのを思い出す。 会社はもう目の前だ。 建物を見上げる。 感情を持たないこの建物が、大きな敵に見えて仕方なかった。 -第113話へ続く- |
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No 675
Date 2008・01・16・Wed
モーツァルトになった日わたしの髪は、異常に早く伸びる。
ここ1年半くらい行きつけにしていた美容院は、基本的に「髪を切る」ということで髪をキレイに するのではなく(えぇい、何のための美容院じゃ?!と言いたし)、トリートメントなどで、ロング をキレイに保つということを売りにしているので、「切りたい」と言っても、切ってくれるのは痛ん でいるところ数センチのみなのである。 なので、もう肩甲骨どころではなく胸も超えるほど伸びてしまった髪を、どうにかしたくても切っ てもらえない。 なので、思い切って美容院を変えてみた。 そして、初デジタルパーマに挑戦。 半個室みたいな仕切られた空間での施術は、自分の部屋にいるみたいで、とても寛げる。 寛ぎすぎて、スヤスヤ寝ていたら、時間はあっという間に過ぎていった。 デジタルパーマ終了直後、鏡の中のわたしは、中世のオンナだった。 分かりやすく言うならば、音楽室に飾られている有名な音楽家のようだった。 そう、モーツァルトのような。 グルングルンになった髪が、耳の辺りで幾重にも重なっているのだ。 「ぎょ〜〜」 ナニコレ、ナニコレ。 「わたしの髪、音楽室なんですけど〜」 何かを訴えるかのようなわたしの声に、美容師さんはゲラゲラ笑う。 「大丈夫。これ、まだ施術の途中ですから。皆さんこうなるんですよ」 わたしは、裾のほうだけのパーマなのでまだマシなのだという。 耳の上辺りまでパーマをかけると、この段階で、「サザエさん」になるそうだ。 「写メ撮ります?面白い〜って写メ撮ってくださいって言うお客さん多いんですよ」 そういわれて、あ、どうしよう…。 一瞬迷う。 20代だったら、迷わず「撮って〜」と携帯を渡していただろう。 そして、友人やらに、「見てみて〜」と写メを送っていただろう。 でも、年齢がそうさせない。 これ、送って喜ぶ友達がいるか? などと、冷静になってしまう。 むかしは、友達から(特に大阪時代の友人)変顔の写メが何通も送られてきた。 それももうなくなって、いまや送ってくるのは自分の子供だったり、風景だったり、落ち着いた ものに変わっている。 「いいです〜」 何となく、シュンとなった瞬間だった。 それから最終工程に入って、結局は、ゴージャス巻きのパーマになった。 自分のドライヤーの使い次第で、ゆる巻きにできたり、セレブ巻きにできたりという、自由自在 の髪型になった。 なんか、気持ちいい。 髪型を変えるだけで、気分が変わる。 外は雨だったけれど、心は晴れていた。 それにしても、良かった、モーツァルトのまんまじゃなくて。 もしもあのままだったら、心は集中豪雨を食らっていただろう。 いま、ピアノでモーツァルトのソナタを習っているから、なりきるためにはそれでも良かったかも しれないけれど…。 |
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No 674
Date 2008・01・15・Tue
女園秘書室-第111話-予約タイマーでの記事up。 これまでもずーっと利用してきて便利だなぁと思っていたのですが、1つ間違えると 下書きのままで残ってしまいます…。 お昼のup確認したら、されてない><1日ずれておりました。 第111話 「わたしがきみを秘書にしたのは、その…そういう関係を目的としていたわけではない」 社長は、桃子の下着姿に目を覆った。 桃子は、ようやく自分に何が起こったか分かり、地面に落ちたスカートを慌てて持ち上げた。 案の定、ボタンはどこかへはじけ飛んでいて、スカートの布には、か弱く風に舞う糸くずだけが 残っていた。 「あははは」 力なく笑う桃子と、苦しそうに笑う社長。 社長は、テーブルの上のボタンを押した。 「縫い物だ。お嬢さんを部屋に」 すると、どこからともなくお手伝いの女性がやってきて、桃子を両側から挟む。 「あ、あのさ。スカートのボタンが……」 説明したいのだが、両脇の女性の足が速すぎて、息切れをしそうになる。あっという間に庭か ら邸宅に案内される。大き目のバスタオルにくるまれている間に、一人がささっとボタンを縫い 上げて、桃子のスカートは無事元通り帰ってきた。 頃合を見計らったかのように社長も庭から戻る。 「さて、続きは食事でもしながら話そうか」 朝ご飯を食べて出勤し、その直後に社長とカフェで軽食を取ったばかりだ。 いくらあたしでも、そう胃は受け付けてくれまい。 という思いとは裏腹に、桃子の胃はいつまでも食べ物を受け付けてくれた。 「きみを秘書室に呼びたいと言ったのは、福井さんだよ」 社長はサラダをつまみながら、またポツリと昔話を始める。 「彼女は、以前からきみのことを、とても礼儀正しく、勇ましい人だと思っていたらしい。わたし がエレベーターで襲われ、きみが助けてくれたとき。福井さんは言ったんだ」 「有砂さんを社長秘書の座からおろすのは難しいけれど、あと一人用心棒役として、彼女を雇 ったらどうでしょう。多分、彼女はこういった会社の裏の部分、黒い部分を嫌うでしょう。最初は 分からなくても、長くいれば、現状が陰湿なことに気付くはず。そこで何とか会社がまっとうな 道へ進めるよう協力してもらえれば」 そうやって、樹里が桃子を秘書室に引き上げてくれたのだ。 最初は、有砂と同じように、賢い怖い秘書だと思っていた。近づきにくくて、裏がありそうな雰 囲気でいっぱいだった。 まさか、自分の事を前々から知っていて、しかも、礼儀正しい人間だと評価してくれていると は夢にも思わなかった。 桃子は、感動していた。涙腺が緩んで流れてきそうな涙を、目に力を入れて押さえ込む。自分 を買ってくれた樹里のために、もう人肌脱がねば。律儀な桃子がそう思ったのは言うまでもない。 樹里を思って涙しながらも、桃子は社長宅で出された昼食を全て平らげた。 お腹は風船のように膨れ、先ほど縫ってもらったばかりのボタンは、弾ける準備万端の様子 だ。呼吸をするだけで、わき腹がミシッと軽く音を立てる。横っ腹の皮膚には、ボタンの丸い後 がくっきりとついていることだろう。 「あいつら、社長を追いやって、自分たちが…。というより、阿東が実権を握ろうとしているって わけだろ?社長はそれでもいいっていうけど、悔しくないのかい?正式に阿東が引き継ぐ、阿 東に引き継がせるっていうのならいいと思う。でも、横取りじゃ悔しいじゃないか」 誰もが路頭に迷わない経営など、できるわけはない。 景気が悪くなれば、デキナイ者のクビを切る。本人が希望しない部署へ送り込む。 そんなことは、どの会社でも平然とおこなわれているのだろう。 そして、上司、若しくは経営陣に恨みを持つものも出てくる。社長を刺しに来た男のように。 「阿東くんは人を信じていない。わたしは、彼をこの会社から追い出すつもりなど毛頭なかっ た。今だって、ない。女房と知らない男との間にできた子であれ、わたしにも関わりがある彼 を、見捨てるなどできない。それに、彼は仕事ができないわけではない。ああやって威嚇しな がらも、仕事は日々こなしている」 社長は、つらつらと阿東を話題にあげる。 「人を威嚇するのはね。自分が触れられたくない部分を持っているからなんだよ。その弱点を 相手に悟られている場合、先に攻撃されないように自ら攻撃的になるパターンが多い。阿東く んは、自分の出生をネタにわたしの立場を脅かそうとしているが、それは自分の身をも脅かす ものなんだ。だから、一気にわたしを攻撃できないのではないのかな」 言ってることがよく分からねぇや。 桃子は、それでも分かった振りをして、ブンブンと首を縦に振る。 どうせ、社長にはお見通しなのだろうけど、それでもいまの話は繰り返して話してもらわなけ ればならないほどのものではないだろう。 「つまり、あれだろ。阿東は、社長を攻撃したいんだ?」 そんな、とっくに分かっていることを、いまさらながらに言う桃子だった。 -第112話へ続く- |
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No 673
Date 2008・01・14・Mon
イーブンで満足転職してから、土曜日出勤DAYができたため、3連休が久し振りだったわたし。
いやいや、正月に9連休していて、何を言う?という感じだけど。 寒い一日となると予想された今日(厳密には昨日…日付越えちゃったし)、仕事で忙しい 相方さんを引っ張り出して遊ぶ。 風が吹く中、わたしたちは、近所の公園に行き、サッカーやキャッチボールを楽しんだ。 ![]() わたしは、大学時代に体育の授業でサッカーをした程度。 相方さんは、社会人チームでもプレーする経験者。 もちろん、本格的にするわけではないけれど、ときどきドリブル突破されたり、動きに翻弄 されて、大酒を食らったかのようにヘロヘロになってしまう。 サッカーの次は、キャッチボール。 投げることはできるのだけど、取るのが苦手。 直球だったり、フライのように高く放ったり、ゴロを転がしてきたり…。 まるで、子供が特訓されているかのように、あちこち飛び回るわたし。 時々股の間をボールが転がっていき、全速力で小さなボールを追いかける。 こちらも、ヘロヘロ(笑) ちなみに写真に写ったわたしのグローブは、子供用である。 わたしは身長が167cmちょっとあるにも関わらず、意外にも手足が小さい。 これくらいの身長の女性は、だいたい24〜25cmの靴を履いているが、わたしは23.5cmで ある(靴によっては、24cmの時もあり)。 よくこの背を支えているなぁと思う。 手も小さい。 小さい頃からピアノを習っていたので、横には広がる(ド〜上のミまで押さえられる)が、どう にも、指が短い。 なので、子供用のグローブで充分なのである。 1時間強、子供のようにあちこち動き回っていると、寒かったはずの体は、少し汗ばむくらいに 温かくなった。 続いて向かった場所は、映画館。 前週、「アイ・アム・レジェンド」を観て、今週は「earth」 温暖化によって、地球にどのような影響が出ているのか。 これは、ただの動植物の食物連鎖の話ではない。 わたし達は、自分達の生活が便利になり「進化する」ということを取ったかもしれないけれど、 それは、地球を「後退させている」ということを、目の当たりにしたような気がした。 普段から叫ばれ続けている地球の危機。 環境のために、自分ができることはやっておこうと思ってはいるが、これをしたことで果たして 効果があるのだろうか?といつも疑問に思う。 例えば、スーパーで買い物袋をもらわずに、エコバッグを使うこと。 近所のスーパーで、エコバッグを使っている人を見たことがない。 袋が有料化になれば、エコバッグ派が増えるのだろうか。 そういえば、今朝ニュースで衝撃的な映像を観た。 あの、美しい街と言われているイタリアのナポリ。 ゴミの集積場が飽和状態で、ゴミが回収されず、街の至るところでゴミの山ができていた。 そして、どうにもならないゴミを市民が燃やす映像も流れていた。 分別されているのかどうか分からないけれど、ものすごい有害であることをニュースは伝え ていた。 地球はどうなっていくのだろう。 自分が生きている間にどうこうなってしまうとは思えないし、その後のことを考えても答えは でないけれど、このままでいいはずがないと、ついつい頭を重くしてしまう。 環境に良いと思えて、自分でもできることは、積極的にやっていきたいものである。 なんて、ちょっとスケールの大きい(大きすぎる?)ことを考えつつ、夕飯へ向かう。 今日の夕飯は、多分、7年振りくらいに訪ねた「上海食堂」さん。 とっても美味しい日本人向け中華食堂である。 さっぱり、あっさり、量があり、安い。 そのむかしは、まったりとお酒を呑みながら、いろんな味を試し、最後にラーメンで締める。 という、恐ろしい食欲を見せていた。 けれど、30代に突入すると、目が欲していても、悲しいかなお腹はNo thanksである。 今日も車は相方さんで、わたしは送ってもらう身だったけれど、先日焼酎1杯でフラフラに なった件もあり、今日は本当にご飯だけをいただいた。 「海老とホタテと季節の野菜炒め」+ライス ![]() 「カニ炒飯」 ![]() かなり量が多かったけれど、どちらも気持ちよく完食。 大丈夫。こういう時のために、朝1番でジムに行き5km走ったし、公園でサッカーやキャッチ ボールしたもん! 体には、イーブンなはず。 帰宅後、日課である体重測定。 今日も許容範囲内で一日を終える。 体もそうだけれど、楽しい、悲しい、嬉しい、悲しいも、すべてイーブンで終わればいいと思う 今日この頃である。 |
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No 671
Date 2008・01・13・Sun
女園秘書室-第110話-社長泡吹く1話前。何が起こっても、桃子はGoing my way♪ そんな二人の行く末は…? 第110話 どうなってもいい。 他人が傷つこうが、どういう人生に至ってしまおうが、わが道を行く。 社長は、そういう人間だと思っていた。 実際にそうじゃなかっただろうか。 有砂や樹里を利用し情報を得ようとしたり、お金を使って何か企んだこともあるだろう。 朝カフェで会った西井という男に対しても、冷たい態度だった。 死にそうだ。 そう分かっていても、「勝手にどうぞ」という態度だった。 「疲れたよ」 社長は苦笑いをしながら、桃子をちらりと見上げた。 桃子の頭上遥か彼方から放たれる太陽の光がまぶしかったのか、目を細める。 「あ?」 どういう意味なんだ? 桃子は、そういう意味を込めて、たったの一言だけ発した。 「きみと話すのは、実に楽しい。その言葉遣いも腹立たしい反面、言っていることは的を得て いて理解できる。でもね、疲れたんだ」 社長は、水っぽくなった珈琲を口に入れる。それは、もはや味を楽しむためのものではなく、 のどの渇きを潤すためだけのものに変わっていた。 「さっきも言ったが、わたしはこれまで人の気持ちという部分に入っていくことはしなかった。慈 悲もかけない、同情もしない。自分に利益があり、自分が豊かになれば、関わった人たちがど うなろうが知ったことではないと。人間的な部分を無視してきた」 ぶら下げた手が、ちょうど石のテーブルに触り、桃子は角の部分を何度も指で弾いた。 「きみと話をしていると、時々おかしくなるんだ」 社長は、頭を抱えた。 「きみのその真っ直ぐな瞳。物の言い方。目上の者に対しても、物怖じしない態度。きみと接 していると、自分はずいぶんと歪んだ考え方で、自分の生き方が間違っていたのではないか と混乱する」 桃子は、再び冷えた石の椅子に座る。 どっしりと力を込めて座っても、木やパイプの椅子のようにキィキィした音を立てることはない。 それに気付いたとき、桃子はこれを、「冷たくて嫌な椅子」から「丈夫で安心、好きな椅子」と、 頭の中で勝手に名付けていた。ものすごい勢いで腰を下ろしても、何の音もしないので、顔を 伏せている社長は、桃子の顔が目の前にあることを知らない。 桃子は思い切って、声をかけてみる。 「あのさ」 社長は、身動き一つしない。 ふぅぅぅ。 ものすごい大きなため息を一つつき、桃子は言った。 「あたしは、誰の生き方も否定しないよ。だいたい、人のことどうこう言えるほど、自分ができ ちゃいないしね。ただ、一つ言いたいのは、人をおとしめるなってことさ。あたしは、そんな人 間が嫌いなんだ。自分勝手で、人の気持ちを考えないことがね。ついでに言っておくと…」 今度は大きく息を吸う。お腹が膨らんで、スカートのボタンが弾けそうになる。ミシッという不吉 な音が、耳に届いた。一瞬、腰回りが緩んだような気がして、腰のあたりに手を当てる。スカ ートが落ちるかもしれない。それでも、話したいことはあるんだ。桃子は、正義の味方にでもな ったような気分で、続けた。 「人を使って、こそこそするのはもっと嫌いだ。知りたきゃ、自分でやる。人にリスクを背負わせ るなら、自分も覚悟を決めることだ」 今の台詞、決まったな。 ビシッと言い終わると同時に、桃子はまた立ち上がっていた。わけも分からず、興奮してい た。そして、桃子は、自分に酔いしれていた。 鼓動が高鳴る。スカートを抑えていた左手を、胸にそっと当てた。 桃子に諭された格好となった社長は、テーブルの上に視線を這わせて、一向に顔を上げよう としない。軽いため息を何度もついているさまは、まるで病気にでもかかって、苦しんでいるか のように見えた。 それでも、数秒後、社長が頭をかきむしりながら、顔を上げる。 そこには、下半身下着一枚の桃子が、得意げな顔で立っていた。 「うぁぁぁ」 社長の悲鳴にも近い声が、庭全体に響き渡る。 -第111話へ続く- |
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No 672
Date 2008・01・12・Sat
ユミシュランの三ツ星店わたしは、基本的にいろんな店に行きたがる。
特定の店の常連になるよりは、いろんな店の味を堪能したい派なのである。 だから、例え美味しい店があったとしても、次にその店を訪れる可能性は限りなくゼロに 近い。 そんな中、わたしにしては珍しく、何度も行くお店がある。 地元の居酒屋、「長州」さん。 ここは、本当に何を食べても美味しい。 いい素材を使って、素材の美味しさを手間隙かけて最大限に引き出している。 こだわりが感じられるお店である。 一つ物申すなら、日曜日が定休であるところが難である。 今年1回目の長州さんでご飯のために、ダイエットも頑張り、今にも雨が降り出しそうな 夜道を40分弱かけてテクテクと歩いたのも、全ては美味しい料理をたくさん胃に納める ため。 こちらのお店は、焼酎の種類も多く、「呑む」を目的の方が多いのか、割とスロースタート 気味なので、7時前に着いたわたしたちは1番乗り。 カウンターの奥を陣取り、まずは烏龍茶で乾杯。 真っ先に注文したのは、ここの看板料理である「角煮」。 今日は最大の目的があるので、「ちょっぴり角煮」を注文。 ![]() こちらは普通のよりワンサイズ小さいバージョン。 とろけるようなお肉といい具合にとろける煮タマゴが絶品。 次は本日の最大の目的だった、モツ鍋。 わたしの好きな塩味を選ぶ。 わたしの塩好きは、友人の間ではよく知られていて、旅行の土産には必ずといっていい ほど、塩をもらう。 (そういえば、友人がインドで買ってきてくれたヒマラヤの塩。まだ使ってないなぁ) ![]() こちら、2人前を相方さんと競うように食べる。 キャベツの芯の部分が好きなわたしと、葉の部分が好きな相方さん。 この辺は、うまく分け合って食す。 実はこの鍋には、サイドメニューがあり、追加で野菜や豆腐を注文することもできた。 それに、ラーメンや雑炊にすることもできた。 それを知ったのは、具の中身を全て食し、スープもかなり飲みきってしまった後だった。 このスープでラーメン食べたかったなぁ。塩ラーメン、最高だったろうなぁと後悔しきり。 これだけでかなりお腹が膨れていたのに、その後も串カツやら卵焼きやら軟骨揚げなど を食べた。 しかも、もうほとんど食べ物が残っていないのに、突然アルコールを頼むわたし。 いまさら?!と自分でも思うほどのタイミングだった。 大好きな焼酎のお湯割りをいただく。 車で来なかったのは、正解だった。 呑んだら乗らない。 だから、電車やバスといった公共の交通手段がないに等しい地元では外で呑む機会は ない。 むかし初めて代行を頼んだときに、数々の、赤っ恥体験をして…それ以来代行を頼むの は避けているし、初乗り運賃が上がったタクシーなど、お金がもったいなくて乗れない。 タクシー呼ぶくらいなら、食後のスイーツを堪能したい。 自宅では正月以外は、意外にも酒は飲まないわたし。 それは、時間さえあればジムに行きたいからである。 むかしは焼酎+日本酒をこよなく愛し、飲兵衛だったわたしが、お湯割り1杯にノックダウン。 ヘロヘロになりながらも、「たくさん食べたから歩いて帰る!」発言を繰り返す。 しかも、お酒を呑むと、どうしても甘いものが食べたくなるので、「帰りはコンビニスイーツ」 と言い張る。 が…外は雨。まだ寒い季節。夜も更けた。危ない。アルコールが抜けないなどの理由で、 お店を挟んでまったく逆の地に住む相方さんの車に先に乗り込んだ(しかも、明らかに相方 さんのほうが遠い…)。 「コンビニ寄るの?甘いもの食べるの?」 降り際に聞かれて、「食いすぎだぞ」と忠告されているような気がして、「ううん、食べない」 と言ったわたしが、本当にコンビニに寄らなかったかどうかは、ここでは伏せておくことにし よう(笑) ちなみに…自宅から1番近いコンビには徒歩で1分とかからない距離にある。 そこからの足取りは、想像にお任せだ。 東京のミシュランに選ばれたお店には食べに行く機会がないけれど、わたしには、わたしの お気に入りのお店がある。 自分の名前にちなんで、「ユミシュラン」と勝手に名付けることにした。 「長州」さんは、そんな「ユミシュラン」の三ツ星店である。 |
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No 670
Date 2008・01・11・Fri
女園秘書室-第109話-社長と阿東と有砂と樹里。 複雑に絡み合う関係と、交錯する思い。 これをどう決着していくのか…。 桃子はどう関わっていくつもりなのか。 エンディングに向かっていく予感の第109話です。 第109話 「多分、阿東くんは、わたしを社長の座から引き摺り下ろして、自分が実権を握ろうとしている」 「どうして分かるんだい?」 桃子は、完全に目の前のこの人を、社長として見ていなかった。 そして、社長もその桃子の態度に、何を思うでもなく、返答をしていた。 「阿東くんは、わたしに直接働きかけるのではなく、有砂に近寄った。わたしたちの周りを始終 嗅ぎまわっていたから、関係に気付いたのかもしれないね。有砂は、次第にわたしの身の回 りを探るようになった。他の女の匂いにも敏感になった。最初は、まったく気付かなかったけれど」 社長は、言葉を濁した。 阿東と有砂は埃を叩いて、何か大きな事柄が出てくるのを待っていたのだろう。 「わたしは、気付かない振りをした。態度を変えることなく、こちらからも彼らの様子を探らなけ ればいけないと思った。そのため、彼女を巻き込んでしまった」 太陽の光に照らされたグラス。 黒色の珈琲の中に沈んだいくつかの氷は、その形を小さくしていく。その代わりに、グラスの 外側は、大量の汗をかいたかのように、水滴がたくさんついていた。 それを撫でては落としていく。石のテーブル上に、小さな水溜りが出来て、それを指で広げて いく。社長は、その一連の動作を、何度も繰り返していた。 目はどこかうつろげで、歪んでいた。 社長の言う彼女とは、いったい誰なのだろうか。桃子は、社長の指を視線で追っていた。 そして、その指が何かの文字を書いていることに気付いた。 桃子は、テーブルに肘をつき、片方の手を額に当て、視線を遮った。どこを見ているか、社長 に気付かれないようにするためだった。 「福井」 社長の指は、確かにそうなぞっていた。 巻き込んだ?社長が樹里を? そうすると、阿東と樹里が付き合っていたのは、社長の差し金なのか。 いや、ただの差し金なら、樹里は子供まで産もうとしなかっただろう。刺客として送られておき ながら、好きになってしまったのだろうか。 樹里の顔を思い出すと、涙が出そうになる。桃子は、額を押さえた手で、目の辺りを拭った。 涙が出ていたわけではなかったけれど、ついそういう行動に出てしまった。 社長の指が止まる。顔を上げた。 「いい目をしている」 社長が微笑む。桃子は、笑っていなかった。むしろ、目に力を込めて、社長をにらみつけてい た。その目を褒めたのだろうか。 「樹里さんに何をしたんだ?」 聞くまでもないことだったかもしれない。社長の口から出た言葉は、情報収集のために、樹里 を阿東の元へ送ったということだった。 樹里が以前言っていた言葉を思い出す。 「最初は、心を許さなかった阿東に対して、次第に何でも話せるようになっていった」 最初は、社長の命令に従順にしていたのだろう。そのうち、情が沸いたのか、阿東のほうが 一枚上手だったのか、樹里が心惹かれていった。それは、樹里の複雑な家庭環境も影響した だろう。 もし、普通に愛情を注がれて育った者ならば、阿東に心惹かれることなく、社長の命に従うこ とができたかもしれない。樹里のように、人からの愛情に飢えていた者にとって、少しでも自 分の話を聞いてくれる人は、有難い存在なのだ。 「バカヤロウ」 自然と言葉が出た。 それは、多数の者に向けられた言葉だった。 阿東に樹里を差し向けた社長。 自己保身のために動く阿東。 どちらにもいい顔をして、何を企んでいるのか分からない有砂。 そして、行き場を失くした樹里。 桃子は、すくっと立ち上がった。 「どうするんだ、これから」 社長を見下ろす。 グラスに手を添えて、親指を上下に動かし、水滴を弾いていた。 それが、何とももどかしくて、桃子はテーブルをノックする。 社長が顔を上げた。 「もう、いいと思っているんだ」 その真意が分からず、桃子は首を傾げる。 「阿東くんに会社を渡してもいいかと思ってるんだ」 突然の弱気な発言に、桃子は握り締めたこぶしを力なく下におろしたのだった。 -第110話へ続く- |
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No 669
Date 2008・01・09・Wed
女園秘書室-第108話-いろいろあって、だいぶご無沙汰となってしまいました>< 今日から再スタート♪ 定期的な更新ができるようがんばります☆ 第108話 阿東は、会社を乗っ取るつもりなのだろう。 それをうすうす感じてきた頃、有砂が会社に入社してきた。阿東が英語をあまり理解しなかっ たのを理由に、彼には室長という立場に立ってもらうことにした。 阿東の動揺は激しいものだったという。自分は、社長にとって特別な存在だったはずなのに、 手元から手放されるのではないかと恐怖を感じていた。 一方社長は、新たに秘書に迎えた有砂を、自分の意のままに操ることができるように、自分 の手元へ置いた。それは、女として傍に置くと言うことも意味していた。お金を少し余計に渡して、 社内の不穏な動きを調査させた。 「彼女は、まぁ、ずる賢くてね」 社長は、有砂の話になると、自分の娘のことを話すかのように笑顔になった。 「社内の面白そうな話を、小出しにするんだ。そして、わたしが興味がある内容か、ないものか、 様子を見ていたんだよ。そのうち、わたしの関心ごとも、聞かずとも分かるようになり、本当に わたしが必要としている情報だけを持ってくるようになった」 社長は、有砂の働きぶりに満足していた。秘書という点では、至らないところもあったが、何よ り自分が欲しい情報を着実に集めてきてくれた。スケジュール管理など、通常なら秘書が行う べき仕事は、自分でこなすことにし、有砂にはあまり負担をかけないようにとまで思っていた。 女としても、有砂は社長を充分満たしてくれていた。 「わたしは、それ以上を何も望んではいなかった。今でもそうだ。会社が存続して、有砂が近く にいてくれれば、特に何もなくてもいいとね」 社長の顔は、穏やかだったが、それも間もなく曇っていく。 「あるときから、急に有砂の態度が変わった」 阿東は、自分が社長秘書をおろされたことで、会社にいられるかどうか不安になったのではな いか。そして、何とかしようと思いついたのが、社長と自分の関係をちらつかせることで、半ば 社長を脅かすような形で、会社に居座ろうと思ったのではないか。 社長は、そう推測していた。 「ちょっと外に出てみるか」 社長が立ち上がる。恐ろしく空気が薄いように感じた部屋に、新しい風が吹き込んでくる。ドア を開けただけでそう感じた。 桃子は、お腹を凹ませるように息を吐き出し、そして、廊下へ出るとこれでもかというくらい大 きく息を吸った。 ゴーっと音がして、まるで掃除機が、とてつもないバキューム力でゴミを吸っているかのようだ。 気持ちが閉塞するような話を、閉鎖された空間で聞く。それは一種の拷問に近い。 話の内容に似つかわしくなくても、開放され、新鮮な空気を吸っているほうが、前向きに事を 進めることができるような気分になるので、外に出たほうがいいだろう。 社長は、桃子を促して、庭に出た。テレビや花札でしか見たことがないような立派な松が何本 も立っている。手入れが行き届いているのだろう。花や木々などに関心のない桃子でも、ため 息をつくほどの美しさだった。 散歩道には、砂利が敷かれ、歩くたびにジャッ、ジャッと音が聞こえてくる。そしてその感触は、 足の裏を刺激し、頭をすっきりさせてくれるのだった。 ほんの少し傾斜のついた砂利道の先には、石のテーブルと椅子がセットされている休憩スペ ースがあった。 先に社長が腰を下ろし、テーブルの隅っこに取り付けられているボタンを押した。それは、一 見すると、まったくわからないようにテーブルと同化した色をしている。社長が押したテーブル の一部が少し沈むのを、目を凝らして見ていた。 「外に珈琲を二つ頼む」 短く用件だけ言うと、ボタンから手を離した。テーブルの凹んだ部分は何事もなかったかのよ うに、元に戻っていた。 「うーん」 桃子が唸る。感心しているのと、呆れているのと両方だった。 便利とはいいものだが、便利に慣れると怖いものである。何もかも人任せとなるし、面倒なこ とから遠のくようになる。 便利は人を駄目にするような気がした。 桃子はどっしりと石の椅子に腰をおろした。 お尻がひやっとして、一瞬腰を浮かして、石の上に手を置いた。 そして、ゆっくりとその手の上にもう一度腰をおろしていく。 石とお尻の間に挟まれた手を、徐々にずらして、少しでも暖まったであろう石の上にお尻をお こうという作戦だ。 桃子の動作に、社長が口元を歪めつつ、笑っている。 「いや、あたしだって女だから。お尻や下半身の冷えは、良くないんだ」 社長に向かって言う言葉ではなかったが、この開放的な空気が、社長を社長と認識させてくれない。 つい同僚や友達が相手であるかのような口調になっていた。 社長が声を上げて笑い出す。 家政婦が、薄いピンク色のトレーにアイス珈琲を乗せてやってきた。 心が和む瞬間が、確かにここにある。 -第109話へ続く- |
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No 668
Date 2008・01・01・Tue
2008年明けました明けましておめでとうございます。
去年同様、相方さんとガキの使いを見ながらの年越しとなりました。 VTR放送のため、カウントダウン的なことはやらないテレビ番組。 そのため、去年は、知らないうちに年が明けるという間の抜けた新年を迎えたのですが…。 今年は、2分前にジャニーズカウントダウンライブにチャンネルを変え、なんとか新年を認識 することができました。 新年になったと分かったと同時に、チャンネルをガキに戻すと…。 電流が流れるまで、○秒。 というカウントダウンをしていたので、一瞬こちらでもカウントダウンをしているのかと勘違い。 とりあえず、 「今年もよろしく」 の挨拶をふざけて(しかも酔っ払って)していたら、頭をぶつけベッド脇に転落。 ちょうど人一人分のスペースにはまってしまい、身動きが取れなくなる始末。 今年もまた締まりのない始まりになってしまいました(笑) こんなわたくしですが^^; 今年もどうぞ宜しくお願いします♪ なお、「女園秘書室」連載再開は、来週からとさせていただきます。 それまでは、私的日記にお付き合いくださいませ。 |
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| 笑@会社 |
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