世間はクリスマス一色なのでしょうか…?
最近自宅と会社の徒歩4分圏内と、自宅とジムの徒歩7分圏内しか移動していないわたしに
とって、街がイルミネーションに彩られているかどうかすら分かりません(笑)
なんとか、クリスマスオーナメントを並べて気分を高め、クリスマス企画?!として小説をかい
てみました。
こちら、本編が終わってもいないのに「女園秘書室」の番外編となっております。
突飛な出会い。
戦う女。
恋する異性。
そして別れ。
「桃子、愛を食べる」は、12月23日から25日の3日間、毎晩21時に更新します。
なお、女園秘書室本編は、12月26日正午より再開します。
それでは、皆様、楽しいクリスマスを
テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学
2007/12/22(土) 21:00:00|
笑@会社
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樹里邸の次には、社長宅。
ここ最近の桃子は、豪邸づいています♪
行く先々で困難が待っているけれど、いつもの生活では体験し得ない世界を、
彼女は自分なりに楽しんでいる様子。
ここからは、社長宅での切ないお話が始まります。
第106話長い距離を同行し、着いたところは、樹里の家に負けず劣らずの大豪邸だった。こういう家を
実際に目にする機会は少なく、家の中や事情は、テレビから入ってきたもので満たされること
になる。
父は仕事はやり手。常に家には帰ってこない。寿退社以降仕事はしたことがなく、いつも父の
言いなりの美人母。反抗期の息子や娘。細く長いテーブルの食卓はいつも会話がない。とい
うより、母一人の場合が多い。
ドラマの見すぎだろうか。
桃子は、もう一度邸宅を見上げた。
樹里の自宅が洋館だったのに対し、社長の家は日本家屋だ。どこまでも続く屋根瓦を見てい
ると、忍者や侍を想像してしまう。お金を払って見学する庭にあるような、灯篭があり、池があ
る贅沢な庭園。一つも乱れることがなくきれいに敷き詰められた小石が、太陽の光に反射して
眩しかった。
家政婦らしき女性が出迎えてくれる。
豪邸にはつきものだ。
一人は、神経質そうな年配の女性。あと一人は、桃子と同じくらいの年齢の大人しそうな女
性。桃子と目が合うと、おどおどしたように目を躍らせて、そっぽを向いてしまう。
「んだよ、コイツ」
桃子は目に力を入れて、同年代らしき女性を見つめるが、反応はまったくなかった。
年配の女性に、リビングに送ってもらい、ソファ席で待っているように言われる。
社長は自室へでも戻ったのか、なかなか姿を現さない。
そのうち珈琲が運ばれてきて、桃子はうんざりした。カフェで珈琲をたらふく飲み、朝ご飯を食
べた上に、クッキーなどもお腹に入れたため、吐きそうな感覚に襲われていたのだ。
目を瞑ってみても、いつものような異国の町へ飛んでいくことはなく、その代わりに眠気に襲
われる。
座っていると、そのうち記憶が遠くなっていきそうな感覚に捉われて、桃子は立ち上がった。
部屋の中をぐるりと一周する。美術の本でしか見たことがないような調度品が並んでいる。触
れてみようとしては、手を引く。何か間違えがあってはいけない。傷つける。落とす。割る。何
か起こるのが目に見えている。後ろに手を組み、部屋を歩き回る。それでも、たいした時間は
かからない。
待っているのは退屈だ。桃子は静かにドアを開け、廊下の様子を伺った。南に面した廊下は、
前面ガラス張りで、先ほど目にした日本庭園がよく見える。
目にも鮮やかな色とりどりの鯉たちが、涼しげに泳いでいる。
なんと晴れやかな気持ちになれる場所でありながら、樹里の自宅と同様に、人の気配はな
く、楽しいや嬉しいという気分にはなれない。ポツンと一人取り残されたようで寂しくなってき
て、桃子はその場に座り込んだ。
陽が少ししか差し込まないリビングではなく、直接日光が当たるほうが、暑さという煩わしさを
超えて、健康的で好きだ。壁に背を当て、目を閉じた。
体中がぞわぞわした感覚に襲われる。
それは次第に、ふわふわとやわらかい感触に生まれ変わった。
目を開けると、そこは廊下ではなかった。見えるのは天井。厚いカーテンがひかれているせい
か、部屋は暗い。
いつの間にか、眠ってしまい、知らぬ間にここに連れてこられたのだろう。誰が運んだというの
か。家政婦二人には運べないだろう。社長か。
まどろんでいる間に感じたぞわぞわ感は、そのときのものだろうか。特に何があったというわ
けではないのに、桃子は体のあちこちを触ってみた。異常はなさそうだ。
体をうつぶせにして、枕に顔をうずめる。
「うー」
少しだけ声を出してみた。
「あー、ダルっ」
自分はどうしてこの家に連れてこられたのだろう。社長はいったい何を話したいのだろう。
またうとうととしそうな自分に渇を入れるように、頭を軽く叩いてみる。
キィ。
微かな音が遠くに聞こえた。
どこからか新しい空気が入ってきた。
桃子は、音のしたほうへ目をやった。
社長が立っている。
スーツを脱いだラフなティーシャツとパンツ姿は、社長には見えなかった。
その辺のオヤジとなんら変わりがない。
桃子は、おかしくなって吹きだした。
どんな重い話が待っているかもしれなかったけれど、いまは、確かに面白かったのだ。
-第107話へ続く-
テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学
2007/12/22(土) 08:00:00|
笑@会社
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