笑@会社

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女園秘書室-第74話-


脱暗い雰囲気しましたー!!夜、お父さんと交わるまでは、女3人で明るく楽しく
いきましょう♪
雰囲気に、一人飲まれている桃子ですが、樹里が楽しくしてくれていれば、
それだけで良い!!と……なんと優しい子なのでしょう。
心暖まって欲しい第74話です☆


第74話

着いたところは、桃子の知らない場所だった。
都心から少し離れた静かな場所。風に吹かれて緑がさわさわと音を立てて揺れる。
木々に囲まれた大きなスーパーは、先ほど賑わっていたスーパーと同じ規模だったが、空気の
流れが違った。
穏やかだ。
桃子はそう感じていた。自分には似合わない空気。似合わないけれど、心地よさを覚えた。
駐車場には、高級車がずらりと並んでいる。降り立つ人々は、優雅な物腰で落ち着いている。

「あたしは、どんな風に見えるんだろう」
桃子はこれまで、人目などあまり気にしたことがなかった。自分の生きたいように生きて、言い
たいことを言って、人がどう思うかというよりは、自分がどうありたいかを第一に考えていた。
他人から見た自分を想像してみる。それも、理子や警備員仲間といった同人種からの目線
ではなく、樹里や亜樹、阿東や有砂の目線だ。
どんな人間に見えているのだろう。負けん気が強くて、女らしくなくて、頭が悪くて、筋肉バカ。
「あぁ、筋肉バカね」
否が応でも、パソコンの変換事件を思い出す。
そう思っている誰かが、確実にあの秘書室にいて、そして、それをわざわざ、桃子のパソコンに
登録している。
最初は、「コノヤロウ、絶対に犯人を見つけてやる」と意気込んでいたが、いまは半分ほどは
どうでもいいと思うようになってきた。
腹立たしくはあるけれど、自分があの秘書室で、これからは一人ではないと思うと、気が楽に
なったのだ。それに、犯人の目星はついている。
犯人は、有砂。桃子はそう決めていた。
あいつ……。

桃子は、樹里と亜樹の二人とは距離をあけて、一人後ろを歩いていた。
空に描いた有砂に向かって、シャドーボクシングで襲い掛かる。いったん止まって、右ストレートの
パンチを繰り出したところで、キィィという音が右方向から聞こえてきた。
右腕を前に突き出したまま、視線だけを動かす。
運転席と助手席に座っている初老の夫婦が、目を丸くして桃子を見ている。日の光で白髪が
きれいに輝き、いかにも上品な顔つきの女性が、口も開け放している。
桃子は、出したその腕のやり場を探しながら、車に向かって微笑みかけ、前へ足を踏み出した。

樹里と亜樹は、ほとんど話したことがないと言いながら、車内でも会話は弾んでいた。亜樹も
育ちがいいのか、二人の話し言葉は上品で、桃子は自分の口調で口を挟むことはできなかった。
それでも良かった。樹里が楽しければ、それが一番いいのだ。
買い物中も、桃子はあえて口を挟まなかった。
自分がいつも食しているものと、あまりにもかけ離れた食材ばかりを購入するので、ついて
いくだけで精一杯だ。
桃子がいつも行くスーパーは、肉も野菜も魚もすべて一括してスーパーが管理しているが、
いま来ているスーパーは、肉のコーナーには精肉屋、魚のコーナーには魚屋と、専門の店が
入っている。
それぞれが、自負する最高の食材を取り扱っているのである。
魚のコーナーでは、鮭児や伊勢えび、クエなど、一般人では、ほいほいとかごに放り込むことが
できない食材を、いとも簡単に手に取っていく。それらは、丁寧にかごに収まっていく。
食材も、こういう人に取り扱って欲しいと願っていることだろう。

肉のコーナーでは、松坂牛のステーキ用サーロインを人数分調達する。
亜樹は、三人分だと言い張ったが、樹里は、四人分だと訂正した。樹里のほうが顔が利くようで、
精肉屋の主人は、樹里の言うとおり、四枚のサーロインを用意した。
「桃子さんが、二枚食べるのですよね?」
亜樹が言うので、にやけていると、樹里がすかさず口を挟む。
「桃子さんは、ダメ。一枚ですよ。今日からダイエットです。あ、残念。こんな美味しいものを
食べることができないなんて」
桃子の顔が引きつるのと同時に、樹里が顔をにやつかせる。
「明日からにしてくれないかな?」
桃子は、たったいま追加されたばかりの松坂牛に目を向ける。
亜樹と樹里が顔を見合わせて笑った。
それは、とてつもなく大きい笑い声で、客の数は多いのに閑静なフロアに響き渡るほどだった。

-第75話へ続く-

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

    2007/10/19(金) 12:00:00| 笑@会社 | トラックバック:0
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