皆で楽しい飲み会だ!
でも、その前に……
樹里の希望で、桃子をホンモノの秘書にするべく講義が始まった。
真剣に受け止める桃子。果たして、本当の秘書とは?
そして、何故樹里はこんな話をするのでしょう。
桃子がマジな第55話♪
第55話翌日、理子との待ち合わせ時間まで、桃子は樹里からみっちりと秘書について講義を
受けた。あまり眠れなかったせいか、目がうつろになる。
樹里が目ざとくそれを見つけて、珈琲を差し入れてくれた。
「桃子さん、もう一度言いますよ。わたしは、桃子さんには立派な秘書になって
欲しいのです。気を抜かずに、集中して聞いてくださいね」
その言葉に、桃子は背筋をすっと伸ばしてみた。
樹里は、秘書室の本当の一日を教えてくれた。
いま有砂さんがしている仕事のすべてを話します。
秘書室の一日は、皆さんの始業時間の一時間前に始まります。
桃子さん、今のところはいいですけど、ただ社長の体を守るだけではなく、本当の
秘書になりたいのでしたら、来週から一時間前に出勤してください。
最初は、社長室のチェックです。掃除をしてゴミ捨てをして、綺麗にしておきます。
社長は薄めの珈琲が好きですから、お茶ではなく珈琲の準備をします。粉はダメですよ。
社長のお気に入りの豆から挽くんです。こぼすことも考えて、おしぼりも用意して
おきます。
次に新聞に目を通しておいてください。桃子さんは自宅で何新聞を取っていますか?
桃子は、言葉につまった。
新聞などとっていないし、新聞屋の営業マンが来ると、ドアも開けずに追い返す
のが常だ。
読むのは、通勤前のスポーツ紙。それを駅の売店で購入する。
桃子から返事がないのを、取っていないと判断して、樹里は続けた。
ま、いいです。会社に様々な新聞がありますから。
会社の業務に関わること、取引先の記事などが掲載されていたら、社長が分かり
やすいように付箋を付けておくのです。
それと、パソコンを立ち上げて、メールのチェックもします。
関係のないメールを消すわけですが……。
樹里はそこで言葉を切った。
そして、珈琲を一口飲んで、ふぅとため息をつく。
眉は八の字になり、眉間に皴が寄った。
問題はここです。
桃子さん、英語ダメですよね。
はっきりと言い放った。
それは、はっきりしすぎていて、気持ちがいいくらいだった。
桃子は、申し訳なさそうに俯いた。
いいんです。いえ、良くはないんですけど。
例えば、海外から変なメールが来ることがあるんです。ウィルスなどを含んでいる
メールは自動的に削除されてしまうのでいいのですが、中には脅迫まがいのことが
書いてあることが。
そういったものは、社長の耳には直接入れず、阿東さんに報告するのです。
そして、対策を立てます。
あとは…。
桃子さん、社長には愛人がいます。それはご存知ですよね。
桃子は黙って頷いた。
そういった方からも、もしかするとメールが入ってくる可能性があります。
それは、例え見てしまったとしても、見なかったことにしてください。そして、
そのことは決して他言しないこと。当たり前のことですが。
桃子はもう一度コクリと頷く。
それを確認して、樹里は先を続けた。
それから、社長の一日のスケジュールを確認します。そして、社用車管理部の
奈々さんと時間と場所の確認をします。
社長の運転手は奈々さんではないですけど、社用車の管理責任者は奈々さんなので。
あとは奈々さんが運転手と確認してくれます。
これで、社長が来るまでの一通りの仕事が終わります。
こんな風に仕事をしていたのだということを初めて知った。
そして、自分はまだ楽をしていたのだということに気付く。
桃子が楽をしたかったわけではなく、そこまで任されていないからなのだが、桃子は
それを知らなかったことがしゃくだった。
本当の秘書になるということが、どういうものか、少しだけ見えてきていた。
どうして樹里が、ここまで桃子を本気にさせたいのかだけが、分からないだけだ。
-第56話へ続く-
テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学
2007/09/11(火) 12:00:00|
笑@会社
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