笑@会社

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女園秘書室-第41話-



しばらく会社を休めることになった桃子。
きっとこれまでの疲れが溜まっていることでしょう。
ここはシッカリ休んで、その間に自分がどうするのか考えてみましょう。
有砂と樹里も、意外に優しくしてくれて、社長も心配してくれて…
意外と悪くないなと思える第41話です♪



第41話

「花木さん」
話しかけてきたのは、有砂だった。
未来が慌ててベッドから離れる。
「今週いっぱいお休みしてください。今日は会社の車で送らせます。社長も
心配していますよ。明日は病院に行くようにと」
樹里の肩には、桃子のバッグがさがっていた。
「起き上がれますか?それとも、もう少し休んでいかれますか?」
樹里が、肩からバッグをはずし、両手で持ち変えた。
「いや、あの。帰れます。自分で、電車で」
何とか上半身をベッドから起こす。
ここはいったいどこなんだ?
明日病院へ行くようにということは、病院ではないということか。
樹里からバッグを受け取る。
あぁ、この女の下着を見て、あたしは倒れたんだ。
それが理由ではないけれど。
目の前にピンクの下着がちらつく。あたしは、男か?
わけもわからず、笑ってしまう。
「行きますよ」
二人が身を翻し、ドアへ向かって歩いていく。妙に耳に残る、カツカツ
とした冷たい音。
未来が、靴を履くのを手伝ってくれる。
「悪いな」
桃子は、先を行く二人に聞こえないように、未来に耳打ちした。
未来がとても嬉しそうな笑顔を見せ、頬を高潮させていたことを桃子は
知らない。

部屋を出ると、ここが会社の中だということが分かった。
同じような造りの廊下。見覚えのあるような景色が、そこには広がっていた。
後ろを振り返ると、ドアには、医務室というプレートがついていた。
会社にはこういう場所があるのだということを初めて知った。
いい会社に入れば、それなりにいい待遇が受けられる。
多分、医務室などという、学校でいうところの保健室がある会社など、
そう多くはないはずだ。
これも格差なのだろうか?
もし、警備員のままこのような事態になったら。桃子は、そんなことを
考えていた。
具合が悪くなったら、自分で病院にいくしかないだろう。
休憩室はあったけれど、そこには苦痛をやわらげてくれる薬はないし、
症状を診断してくれる先生もいない。
ただ、体調が回復するのを待って自力で帰るしかない。

普段は苦痛が多いけれど、いざというときには守られるほうがいいのか。
それとも、自分の身は自分で守りながら、自分らしく生きていくほうが
いいのか。
今の桃子には、どちらも選ぶことができなかった。
どちらもいい面もあり、悪い面もある。
自分がどちらに重点を置くか。それが最終的に、物事を決める判断につながる。
そして、確実に自分らしく生きたいと思いつつも、いざというときには
守られたい。
いいとこ取りの選択肢を、桃子は、どこかに探し始めていた。

会社の外へ出ると、ようやく息を吸えたような気がした。
重苦しい雰囲気から開放されて、頭の重い感じも取れてくる。
車道には、一台の黒塗りの車が待っていた。
声だけは優しい、社用車係りの、大井奈々が扉を開いてくれる。
桃子はおとなしく後部座席に乗り込んだ。しばらくして、運転席のドアが開く。
乗ってきたのは、樹里だった。

-第42話へ続く-

    2007/08/14(火) 08:00:00| 笑@会社 | トラックバック:0
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