笑@会社

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女園秘書室-第40話-



桃子、すごいものを見てしまいました!!!
それで○○送りに?!
新キャラ未来ちゃんも、謎なまま登場し続けています。
桃子が何ともないことを祈りたい第40話です。



第40話

「花木さん、花木さーん」
トイレのドアをドンドンと何回も叩く音が、遠くに聞こえる。
聞こえてる。だから、そんなに大きな音を立てないでくれ。
自分ではそう言っているつもりなのに、たった数センチのドアの向こうにいる
相手には、聞こえていないらしい。
あぁ、あいつなんていったっけ。
榛原未来か。
あの小さい身体で、これほど大きな音を出せるなんて、体当たりでもしているのか。
桃子は、もう吐き出すものがなく、凹んだお腹をさすりながら、何となく
おかしくなって笑っていた。

しばらく静かな時間が続いた。
桃子にとっては、何十分もの長い時間に感じた。
実際にはそれほど時間は経っていなかっただろう。
ドアの向こうから、聞き覚えのある声が響く。
「桃子さん、どうしたんですか?」
樹里だ。
「あぁ」
桃子は、閉じた便座の上に手を置いて、腰を半分だけ持ち上げた。
樹里に話しかけられたのでは、何か返事をしなければならないと思ってしまう。
ドアを開けようと、鍵に手を伸ばす手が震えた。
その間にも、樹里の声は途切れない。

そのうちドアの向こうでガタガタと音がして、今度は上から声がした。
「あぁ、桃子さん。どうしたんですか」
樹里が、トイレの壁をよじ登ったのか、上から桃子を見下ろしていた。
そして、あろうことか、壁に足をかけ、トイレの中にストンと落ちてきた。
スカートの中が丸見えだ。
いや、見たかったわけじゃない。
見えてしまったのだから仕方ない。意外と可愛いピンクの…。

桃子が意識を取り戻したとき、一番最初に目に入ってきたのは、白い壁だった。
それを遮るように覗き込む女が一人。
「あぁ、花木さん。気付いたんですね。先生、花木さん目が覚めました」
未来が、高いけれど透き通る声で誰かに話しかけている。
「ここは、どこなんだ」
桃子は、つぶやいていた。
「花木さん」
見知らぬ女が声をかけてくる。
最近桃子が知り合う人たちは、みんな眼鏡をかけていた。
この女もその例に漏れなかった。
「二、三日仕事は休みなさい。そして、ちゃんと病院に行くこと。ご家族は?」
次々に話しかけられて、桃子は頭が痛くなってきた。
眉根に皺を寄せて、話しかけないで欲しいというアピールをしてみる。
「先生、あとはわたしが」
未来がそう言って、桃子は初めてその人が医者だと分かった。
ここは病院か。

「花木さん、無理していたんでしょうね」
未来がベッドの横に一つだけ置かれていた簡易イスに座った。
「花木さんが、死んだ姉にそっくりで、わたしとても心配でした」
死んだ?桃子は、まじまじと未来の顔を見つめた。
三十も半ばの桃子より、未来は一回りほど年下に見えた。その姉。いくら
年が離れていても、桃子より若いだろう。
「言葉遣いが悪くて、男みたいで、ぶっきらぼうで、体格はわたしの二倍以上
はあって」
未来の顔は真剣そのものだった。
「聞き捨てならないな」
桃子は、口調は悪いが、笑っていた。
「それじゃ、あたしの悪口を言ってるようなもんだ。未来ちゃん」
未来が、サッと顔を上げた。
「そう。そんな感じでした。怖いんだけど、優しくて。よく未来ちゃんって
言ってくれて」
未来は、桃子のベッドにヒシと抱きついてきた。
それと同時に、部屋のドアが開く。
有砂と樹里が、ヒールの音を響かせながら部屋に入ってきたのだった。

-第41話へ続く-

    2007/08/12(日) 08:00:00| 笑@会社 | トラックバック:0
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