桃子の周りで次々に不可思議なことが?!
それは誰かのたくらみなのか…?
でも、桃子はまだそれに気付くまで、知識が増えていません!!
誰かのたくらみにはまる前に、桃子、いろいろなことを学ぶのです。
幸い、樹里はなにげに桃子に親切にしてくれている様子。
さぁ、張り切っていきましょう♪
第24話「例えば、どんな感じなんですかね」
等々力が、もう一度同じことを言った。
桃子は、ナイ頭を一生懸命フル回転させたけれど、何も思い浮かばなか
ったので、本当にあったことを言ってみることにした。
等々力は桃子の名前を知らない。
けれど、「はなき」と打ったら「筋肉バカ」と変換されたことは言わな
かった。
そうじゃなくても、彼は軽く鼻で笑ったのだ。
バカにされたような気がして、桃子がムッとした顔を見せると、彼は慌
てて顔を引き締めた。
「お客さん、それは多分ですね…」
目の前にあるパソコンのワードを立ち上げて、彼は説明し始めた。
画面の右下に出ている何かをクリックしている。
「あ」とか「般」とか書いてあって、あとは意味の判らない絵が描いて
あるものだ。
「これが、言語バーと言って、この中のツールをクリックしてみると…」
一つ一つ確認しながら、丁寧に説明を続けてくれる。
「ここに、単語/用例登録ってありますよね」
パソコンを覗き込むと、確かにそう書いてある。
等々力は、桃子が頷くのを確認して、先を続けた。
桃子は、無性に喉が渇いてくるのを感じていた。
「例えば、[よみ]のところに、[ふくい]と入力して、[語句]のと
ころに[才女]と入れてみましょう」
等々力が、声を出しながらキーボードを打つ。
そして登録をしてから、ワードで[ふくい]と打って、変換キーを押す。
すると、どうだろう。
[福井]ではなく、一発で[才女]と出てきたのだ。
「多分、お客さんのパソコンを誰かがいたずらして、登録したんでしょ
うね」
そういうことだったのか。桃子はため息をついた。
会社のパソコンに仕掛けがあったわけで、桃子の買ったパソコンが普通
なのだ。
誰かが知らないうちに自分のパソコンをいたずらしたと思うと、桃子は
無性に腹が立った。等々力のことを怒っているわけではなかった。けれ
ど、桃子の顔が相当険しかったのか、
「すみません」
と、彼は一言だけ言った。
自宅へ帰ると、自分のパソコンを立ち上げた。
「良かったよ。お前が古くてバカじゃないってことが分かって」
青白く光る画面に向かって呟いた。
「それにしても、誰なんだ。あたしのパソコンにいたずらしたヤツは!」
桃子は、夜の闇に向かって犬の遠吠えより大きな声で唸った。
済ました顔をして、この中の誰かが、あたしに嫌がらせをしようとして
いる。
翌日出勤した桃子は、秘書室の全員を見回した。
今日は、全員と目を合わせて挨拶してみた。
容疑者を割り出すためだ。
容疑者などとは、大げさな言い方だけれど、ここで突き止めておかない
と、もっと悪いことが起こるかもしれないから、仕方がない。
全員が普通だった。
挙動不審なヤツなど一人もいなかった。
樹里など、
「今日はやけに丁寧ですけど、何かいいことでもあったんですか?」
と笑みを浮かべた。
この中に、犯人がいるとしたら、そいつは相当したたかなヤツだ。
それにしても、どうなんだ、あたしは。
誰が犯人か突き止めることも大事かもしれないが、こんな簡単なことも
分からなかった自分も責めなければならない。
昨日のことが、走馬灯のように蘇る。
このオンボロパソコンが、名前を入力しただけで、人の見てくれや行動
を判断するわけがないのだ。
仕事中も、全員の様子が気になって仕方なかった。
桃子はこの中では割と、早く出社して遅くまで残業をしている。
このパソコンに触れることができる人間は少ない。
桃子より遅くまで仕事をしているのは阿東や有砂、樹里だ。
ただ、阿東は、わざわざ桃子に、自分が「不倫中」などと言うわけがな
いので、容疑者リストからは除名されるだろう。
とすると、有砂か樹里が残る。
でもいったい、何のためにこんなことを。
子供じみて馬鹿げている。
-第25話へ続く-
テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学
2007/06/29(金) 21:33:55|
笑@会社
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