笑@会社

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女園秘書室-第22話-



桃子の周りで次々に不可思議なことが?!
それは誰かのたくらみなのか…?
でも、桃子はまだそれに気付くまで、知識が増えていません!!
誰かのたくらみにはまる前に、桃子、いろいろなことを学ぶのです。
幸い、樹里はなにげに桃子に親切にしてくれている様子。
さぁ、今日も張り切っていきましょう♪



第22話

給湯室で熱い珈琲を入れた。熱いものが喉を通ると、身体に電流が入っ
たようにピリッとした。
カフェインの効果は分からなかったけれど、ようやく今になって、桃子
は頭が冴えてきたのを感じた。
あぁ、だからあいつらは、朝珈琲を飲むのか。
有砂と樹里が毎朝珈琲を淹れてくれる。
なるほど、頭がすっきりしてくる。
秘書室へ戻ると、樹里が、一枚の紙を桃子に手渡してくれた。
「まとめておきましたので、これを打って、添付ファイルで今日の出席
者及び出席者の秘書に送っておいてください」
気が効くじゃないか。
「ありがとうございます」
桃子は丁寧にお礼を言ってから、それを有難く受け取った。
心の中では、そんな丁寧な感謝の言葉を思い浮かべていなくても、発せ
られる言葉は少しずつ秘書に近付いてきている。

パソコンに向かう。
こんな仕事は、向いていない。
ずっと腕を後ろに組み、立っているだけの警備員もどうかとは思っていた。
怪しい人が入ってくることもほとんどなかったし、立って、行きかう人
を眺めるだけで、桃子の一日は何日も過ぎていったのだ。けれど、座っ
ていることのほうが過酷だ。桃子は、ため息を一つついた。

wordを立ち上げて、議事録を書き始める。
作成者の名前は、表面上は桃子なのだろう。
「花木」と打って、変換キーを押す。
すると、なんと「筋肉バカ」と出てきたではないか。
おぉ、あたしのことをよく分かってるじゃねーか、このパソコン。
じゃねーだろ。
自分でも頭が悪いことは分かっているし、体力以外に自慢できることな
どないけれど、それでも人にそのことを指摘されると腹が立つ。
ましてや、パソコンだぞ。
おい、いま時代ってのは、そんなに先に進んでいるのか。
機械が使う人の悪口を勝手に言うようになってしまったのか?
コイツ…夜中にこっそり忍び込んで、めちゃめちゃに破壊してやる。
桃子は、くやしさを顔一杯に広げて、パソコンを睨みつける。
当たり前だが、パソコンはうんともすんとも言わない。
それがまた、無性に腹立たしかった。
喋ってみやがれ!!

あまりに苛立たしくなったけれど、皆がいる前ではグッと我慢しなけれ
ばならない。
桃子は、怒りを抑えながら、こそこそとゆっくりキーボードをたたいた。
「五反田」は「PG」と変換された。なんのことだか、桃子には分からな
かった。桃子はこれを無視して、「福井」と打ってみる。樹里に見られないように、画面を少し樹里とは逆側に傾けた。その結果、「才女」と
変換された。
「チッ」
舌打ちすると、室長の阿東が、顔を上げた。
ずり下がったメガネを、クィツと押し上げる。
「阿東」と打ってみる。すると、「不倫中」と出てきた。
アン?なんだこれ?
阿東を見ると、しきりにキーボードを叩いている。
「お前、そんなことまで分かるのか?」
ここにいる女たちを見回した。
テレビドラマの見すぎだろうか。
不倫なんて、だいたい仕事関係者に決まっている。
阿東が関わるとしたら、この中の誰かだ。
「おい、誰か教えてくれよ」
とは言っても、返事があるわけではない。
ただ、パソコンがここまで進化していたことに驚きを隠せなかった。
先ほどまでの怒りはどこへやら、桃子はパソコンに対して尊敬の念さえ
抱き始めたのだった。

仕事を終え、自宅に戻った桃子は、自分のパソコンがどんなものか確か
めてみたくなった。
wordを立ち上げて、「となみ」「あとう」など打ってみたが、「ラ・フ
ランス」とか「不倫中」とは変換されなかった。

そりゃ、そうか。
こいつは、ここにずっといて、彼らを見ているわけではないのだ。
それではと思い、「花木」と打ってみた。
「変だぞ」
「はなき」と打って変換しても、桃子の苗字である「花木」とか、わけ
の分からない「花城」しか出てこない。
「なんだ、コイツ」
会社にあるパソコンとなんら変わりがないように見える。
いやいや、というより、コイツのほうが新しいと思う。
会社のは、前に使っていた秘書が作ったデータが残っていたので、新し
いパソコンではないはずだった。
桃子は、ついこの前買ったばかりだし、最新といわれたパソコンだ。
それなのに、何で普通にしか変換されないのだろう?
「筋肉バカ」でもいいから、変換してみろ!

-第23話へ続く-


テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

    2007/06/18(月) 06:30:57| 笑@会社 | トラックバック:0
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