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No 504
Date 2007・05・30・Wed
ウィーン第4楽章-果てる-5月11日
ウィーン中央墓地を後にしたわたしたちは、トラムに乗って、ヴェルヴェ デーレ宮殿付近に戻ってきました。 モーツァルトの墓地は、この近くのマルクス墓地。 ガイドブックの地図の方向へ歩いてみました。でも、どこへ歩けども、 墓地らしきものは見当たりません ![]() 道行く心優しそうで、地元っぽい人に話しかけてはみますが、英語NO! だったりして… それでも食らいつくように、地図を見せるのだけど、誰もが口を揃えて、 「知らない」 「分からない」 これ、不親切で言ってるんじゃないことはよく分かるんです。 みんな、地図で必死に見てくれたんです。 でも、でも、え〜〜です。 だって、世界に名だたるモーツァルト。 オーストリア出身のモーツァルト。 その彼が眠っている墓地が、分からないなんて〜。 あ、でも、わたしだって、日本の歴史上の有名人物がどこに眠っている かなんて、知らないか ![]() ものすごい日差し にクラクラ。汗ふきふき ![]() 足はフラフラ。 座りたい〜。 こんなときに頼りになるのは、世界共通の場所 ![]() ファーストフード店。 目に入ってきたのは、バーガーキング。 ここなら、チップの心配もないし、長居できるし ![]() スムージーのようなものを頼んで、ぐったりと座り込みました。 このスムージーらしきもの、梅の味がして、ジャパニーズチックで、ホッ としちゃいましたよ ![]() 30分ほど休んで、再びモーツァルトの墓を探しに出掛けました。 でも、ホント、誰も知らないんです ![]() モーツァルトォォ、あなた、中央墓地でベートーヴェンやシューベルト たちと一緒にいなさいよぉ ![]() 結局、諦めました。 モーツァルトに会うことを… ![]() その墓地に行っても、モーツァルトはどこに埋葬されているのかは、分 からない。ただ、その辺りだろうと思われるところに、石碑らしきもの が建っている。 ガイドブックにそう書いてあったので、まぁ、いいか。わたしたち、彼 には縁がなかったのよねぇ。 2人で納得して、マルクス墓地探しは中止しました。 朝行ったザッハーまで戻った時には、4時くらい。 ここから、別行動で買い物をしようとしていたら、中世の衣装をまとっ たお兄さんに声をかけられました。 「宮殿コンサートのチケットあるんだけど、来ない?」 実は、翌日にモーツァルトコンサート(演奏者が全員モーツァルトの 格好をするコンサート)のチケットを確保していたのですが、この日の 夜の予定はナシ。 真ん中の席を1人48ユーロで購入しました。 シェーンブルン宮殿(世界遺産)は、モーツァルトが幼少の頃デビュー した宮殿なのだそうです。 おぉっ!これは楽しみ ![]() 5時に、朝降りた地下鉄の駅で集合にして、Cちゃんと別れ、お買い物 ![]() ウィーンのほとんどのカフェが使っているというユリウス・マインルの 珈琲や、ザッハーともめたデーメルのお菓子を買いました。 デーメルで買ったお菓子は、店内に山積みされていて、お客さんのほと んどが手にとって買っていくので、買ってみたものです♪ 説明書き読めないし〜。ドイツ語だし〜 ![]() KANDIERTE ROSENBLATTER ![]() ROSENは、多分薔薇でしょう。 うん、色は薔薇の色。 薔薇のチョコかなぁ… ![]() →帰国してから調べました。 KANDIERTE=砂糖漬けにした ROSEN=薔薇 BLATTER=葉 直訳すると、砂糖漬けにした薔薇の葉。 形は、葉っぱの形をしているから、そんなところでしょう。 味は…薔薇味が濃いです ![]() そのまま食べるよりは、紅茶に入れて飲むと美味 ![]() 歩き疲れて、目に入ったスターバックスで一休み。 お店では、英語が通じるので、二重にホッとします ![]() 待ち合わせの5時に、地下鉄入り口に、Cちゃんの姿はありませんでした。 うぉぉ、どこへ行っちゃったんだ?? お互い海外でも普通に使える携帯なので、万が一の時には電話すればと 思っていたのですが、なんとわたしの携帯が圏外に… ![]() ウィーンの中心街でそりゃないよぉ。 微妙に1本電波が戻ってきたところで、逆方向に歩いていくCちゃんを発見 して、人ごみの中を猛ダッシュ ![]() ふぅぅ、ジム並みに疲れました(笑) 買ったものたちを置くため、そして一休みするためにホテルへ戻ること にしましょう ![]() |
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No 506
Date 2007・05・30・Wed
新生活先週から新しい会社に勤め始めて、早いものでもう10日も経ちました。
前の会社のときは、5時半に起きて7時前には家を出るという生活を 5年間続けていましたが、今は、6時半に起きて、8時20分くらいに 家を出る生活になりました。 だいぶ違います ![]() 通勤の疲れからは、開放されました。 でも、違うところで疲れます。 まだ慣れていないせいか、仕事が異様に疲れるのです ![]() 今までやりたくても、やれなかった英語の仕事。久しぶりに英語を使う おかげで、頭はいつもフル回転 ![]() それに加えて、わたしが大の苦手とする絵のお仕事 ![]() 絵といっても、自分の好きなように描くのなら楽しいのですが、絵とい うより図面(商品の設計)のため、ピッチリ描かなければなりません。 いい加減な性格のわたしには耐えられないほどキチキチした製図。 CADやホームページの作成・修正。 今日は初めて、お客さんのオーダーに合わせた商品の設計をしました。 出来上がってくるのは楽しみ ですが、ちゃんとしたものが仕上がってくるのか不安でもあります ![]() とにかく独立するまでは(←え…?なにで独立するんだか)、頑張って みようと思っています。 多忙なため、更新頻度かなり遅め&皆さんのブログに遊びにいく頻度も だいぶ落ちていますが、早く軌道に乗って前のペースに落ち着くといい な〜と思っています ![]() |
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No 505
Date 2007・05・28・Mon
女園秘書室-第20話-久し振りに会った母親は、桃子の突然の変わり様に、驚いています。 それどころか、あらぬ妄想を抱いて、一人ニンマリしています(笑) きっと、彼女の中では、もう未来の孫の顔まで浮かんでいるかも知れ ません…。 桃子は、来週からの仕事に向けて、母がいる間に、なんとかパソコン の知識を増やしたいところでしょうが。 ガンバレ、桃子!! 第20話 彼氏がどうとかいう話は、宙に浮いたままとなった。 ただ、携帯電話が鳴るたびに、桃子が会社からではないかといちいちチェ ックしている様を、桃子の母親は、男からではないかと気にしているよ うだった。 「それで、パソコンは少しは使えるようになったの?」 何かにイラついているかのように、彼女は、キーボードをコツコツとた たいてみせる。 「あぁ、まぁね」 桃子は、曖昧な返事でとどめておいた。 それは、あまりできないと返事をしたのと同じだった。 本当にできるのなら、桃子が自信満々に「できる」と答えることを母は 分かっているだろう。 「分からないことがあったら、どんどん聞きなさい。お母さんにだった ら、恥ずかしくもないでしょ」 恥ずかしいさ。 パソコンを誰でも持つようになって、何年も経っている。 時々、地域で開講しているパソコン初心者の教室は、「高齢者対象」な どとなっていて、若者世代が行くような場所ではない雰囲気に思えた。 本来なら、桃子が母に教えるような立場なのだろうが、これに関して は、まるで逆になっている。 桃子の母は、手持ち無沙汰のようだった。 指は、カチカチとテーブルの上をたたき、まるで桃子にパソコンを教え たがっているようだった。 そうだ、一つ聞いておこう。桃子は、疑問に思っていたことを母に問い かけた。 「そういえば、メールのことなんだけど」 話しかけると、彼女は嬉しそうな顔をした。 「海外も日本も同じ速さで着くのか?」 母は、首をかしげたきり、それを元の位置に戻そうとしなかった。寝違 えて、首を痛くしたかのように見える。 「海外?!」 すっとんきょうな声を出した。 「海外って、桃子ちゃん。やだわぁ、国際結婚なの?」 また、話が結婚の方向へ向かっていく。 どういう頭をしているんだ? それだけ、桃子の結婚のことを心配しているのだろうが、本人にとって は、ありがた迷惑な話であった。 「何でもそういう話に結びつけるなよなー」 桃子は、少し声を荒げて母親の横に座り、パソコンを立ち上げた。 この古いアパートにいても、今は世界中のありとあらゆる情報が手に入 るのだから、不思議で仕方なかった。パソコンを始めたばかりの桃子に とって、どうしても理解できない世界だった。 いまだに何も理解できていない桃子だったが、電器屋や大家から散々説 明を受けて、簡単にインターネットを始めることができた。アパートで 一括してブロードバンドサービスに加入していたのが幸いした。 「あらっ、この前パソコンの初歩的なことを聞いてきたと思ったら、も うインターネットに接続してるのね」 母親も驚いていた。 「どうしてこんな線だけで、世界中の情報が手に入るのか、不思議で仕 方ないよ」 パソコンにつながった線を、桃子はそっと指でなぞってみる。 桃子の母親は、立ち上がったパソコンで、早速メールソフトを開いている。 どうしても、桃子が世界のどこかにいる誰かと、密かにコンタクトを取 っているかということが気になるらしい。 だが、残念ながら、このパソコンのメールアドレスは、誰にも教えてい なかった。 受信トレイにあるメールはただ一件。 「Outlook Expressへようこそ」 というものだけだ。 母親は、面白くなさそうにため息をついた。 しかし、その直後には笑顔になって、 「メールアドレスの交換しよう」 などと、そこら辺の若者が、話すように言った。 桃子が、イエスともノーとも言う隙も与えることなく、彼女はアドレス 帳に、自分のアドレスを登録した。 そして、自分宛にメールを送って、笑顔になった。 メールは苦手だ。携帯電話のメール機能でさえ、ほとんど使ったことが ない。 用件は、ほとんど電話で済ませている。 「電話」なのだから、「電話」として使えばいいことだ。 時々、同世代で、ずっと携帯電話をいじっている人を見たりしている と、桃子は吐き気を覚えた。 あいつらは、どうして会話をしないのだろう。無機質な文字の羅列で、 何が面白いのだろう。 「相手がどんな状態で、どんな感情で言っているのか分からないなん て、つまらない」 以前、付き合っていた彼氏に、桃子はそう言ったことがある。 「絵文字とか、顔文字とかあるじゃん」 彼氏が横棒やカッコなどを使って、人の顔をメールしてきた。 「これが顔文字かー」 などと、ため息をついたのを思い出した。 「こんなことやってたら、普段だってメールするのが遅いのに、どれだ け時間かかると思ってるんだ?」 そういうと、彼は笑った。 「だから、辞書に登録しちゃえばいいんだよ。登録してやるよ」 などと、桃子の携帯を勝手に取り上げて、一時間くらい無言で登録作業 に取り組んでいた。 使い方を聞くと、「かお」と打てば、いろいろな顔文字が変換候補にな って、現れてくるという。 「登録してあげたんだから、今度から使えよ」 頼んでねぇよ。 心の中で悪態をついてみた。 時々は使ってみたけれど、途中からはアホくさくなって、やめてしまった。 やっぱり、メールで会話をするなんて好きじゃない。 だんだんメールを打つ回数が少なくなった桃子に、彼は文句ばかりいう ようになった。 それが引き金となったわけではないけれど、別れることになって、桃子 はやっと心が穏やかになった。 そして、ますますメール嫌いになっていた。 -第21へ続く- |
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No 503
Date 2007・05・25・Fri
ウィーン第3楽章-思いを馳せる-5月11日
ザッハーを後にし、ヴェルヴェデーレ宮殿へ。 途中、ブラームスの銅像に出会い、記念撮影をしました ![]() ![]() ウィーンは、街の至るところに、銅像がたっています。 ヴェルヴェデーレ宮殿 ![]() 行きたいところがたくさんありすぎて予定がギュウギュウ詰めだったので、 ここはとりあえず、有名なクリムトの絵がある上宮だけ見学することにしました。 内部は1時間ほどで見終わりました。 わたしが好きなモネの絵もあって、ちょっぴり感激 ![]() モネといえば、6年ほど前フランスに行った時、ちょうどオランジュリー 美術館が改装閉鎖中で、モネの絵が見れずに、悔しい思いをしたのを 思い出します。 悔しさのあまり、こうなったらモネの家に行ってしまえ〜と、電車に飛び乗り、 本当の睡蓮の庭を見に行ってしまったわたし。 それはそれは美しい庭でした ![]() こちらの宮殿の庭も、キレイでしたよ。 ヨーロッパのガーデニング技術を学びたいな〜 ![]() その後、トラムに乗って向かった先は、今回わたしの中ではメインと言って いいほど、行きたかった場所です。 それは、ウィーン中央墓地 ![]() 普通だったら、墓地なんて行かないよ〜 って思われるでしょう。でもわたし、フランスの時も行ってるんです。 1番愛する音楽家ショパンのお墓に。 1人旅だったから気楽なもので、1時間もたたずんで涙ぐんでました。 さて、墓地のあるトラムの駅に着きました。 墓地入り口には、お花屋さんが軒を連ねています。 ![]() みんなここでお花を買って行くんですね。 わたしたちも、薔薇の花を買いました ![]() 目指すは、32Aという地区。お墓に地区があるんです。そう、この墓地、 ものすっごく広いんです。 右手に墓地を見ながら、トラムに乗っていたのですが、墓地を横に見ながら 1つ目の駅を通り越し、2つ目の駅で降りたのに、まだ墓地は続いているん ですもの。 32A地区は、ウィーンで活躍した世界的に名声のある音楽家たちが眠って います。 ベートーヴェンのお墓 ![]() 手入れが行き届いていて、いつも花が絶えないようです。 彼は生きている間は、誰からも愛されなかったけれど、100年以上の時を 超えて、たくさんの人に愛されています。 悲しいような気もするけれど… ![]() 去年ピアノを再会してからかなり弾いているヨハンシュトラウス、ブラー ムスなどがほぼ隣り合うような場所で眠っています。 それぞれ、時間をかけて見つめ、お花を手向けましたが、やっぱり浸る はベートーヴェンのお墓です。 曲は、好き嫌いでいうと、それほど好きではない(暗いの多いし)けど、 子供の頃、1番たくさん彼の曲を弾いたので、思い入れがあるからかな。 ピアノが上手くなりますようにと何故か勝手にお願いをしてきました。 そして、やっぱり最近ピアノを再開した親友のEちゃんにベートーヴェン のお墓の写真を写メしました。Eちゃんが今悲愴を習ってるって言って たのを思い出したのです。 ここの墓地、とても静かです。 わたしたちがいる間、ほとんど人が来ませんでした。 来たといえば、ドイツからベートーヴェンのお墓を訪ねてきたと言うお じさん。 ベートーヴェンをこよなく愛しているらしいのですが、英語があまり喋れ ないということで、分からない者同士の英語で会話してました。 でも、音楽は世界共通です。 エリーゼのためにや月光を口ずさむと、 「おぉ〜、それそれ!」 って感じで、ちょびっと盛り上がりました。 盛り上がりついでに、一緒に記念撮影まで ![]() なんでやねん?! かなり離れがたかったのですが、わたしたちは墓地を後にしました。 その後の予定? やっぱり墓地です(笑) モーツァルトが眠る墓。 彼は、ヴェルヴェデーレ宮殿近くと思われるマルクス墓地に埋葬されて いるらしいです。 さぁ、オーストリアを代表する音楽家モーモーの墓地へ参り ましょう ![]() |
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No 502
Date 2007・05・25・Fri
女園秘書室-第19話-秘書室生活2日目に突入いたしました。 今日はいったいどんなことが桃子を待ち受けていることでしょう。 今日も多分、分からないことだらけ。そして、口に出せば、馬鹿に されることだらけ。 それでも桃子は進んでいくのです。 そう、白旗の立派な社長秘書になるのです!! どうか、桃子に力を貸してやってください。 何にも出やしませんが、感謝の気持ちだけは忘れないでいること でしょう。 第19話 「パソコン、できるようになった?」 声が弾んでいる。まるで子供が、嬉しいことがあったかのようだ。 「お母さんねぇ、今度の週末ヒマしてるの。そっちに行って、教えてあ げようかと思うんだけど、どうかしら?」 えっ? この十年くらい、母親が桃子のアパートに訪ねてきたことなど一度もない。 来てくれれば助かるけれど、そのためだけにわざわざ上京してくること もないだろう。 「いいよ、来なくても。何とかなるさ」 そうは言っても、母は一度言い出したら聞かない人だった。 案の定、なんだかんだと理由をつけて、桃子のもとへ駆けつけたいよう な話をし始めた。 それならそれでもいい。 基本的に、土日祝日は、仕事は休みになっている。 急な仕事が入ったら仕方ないけれど、彼女は一人で行動することにもま ったく抵抗がない人だから、万が一の時には、放っておこうと、桃子は 思った。 そして、週末はすぐにやってきた。 幸い、それまでの仕事とは専ら社長について外を歩き回ることだけで、 パソコンに触れる機会は殆どなかった。 でも、だからといって、気は抜けなかった。 出社して受信トレイを開くと、恐ろしいほどの数のメールが休むことな く送り続けられてくる。 開封していないメールは、黒い太文字になっていて、いつしか、その数 は500通を超えていた。 日本語以外のタイトルのものは、基本的に開けていない。 開けたところで分からないからだ。 どれが重要なメールで、どれがあまり必要でないものかも検討がつかない。 ただ、送り主が社長だったり、秘書室長の阿東からのものの場合は、開 けるようにしていた。 母親と桃子は、向かい合って座っていた。 せっかく上京してきたのだから、何か旨いものでも食べに連れて行って やろうと思っていたのに、駅についた母親を迎えに行って、桃子は驚いた。 スーパーの袋を3つも抱えていたからだ。 まさか、地元で買ってきて、電車で持ってきたのか? 「違うわよ。そこのね、スーパーで買ったの」 買い物袋を持った手を離しそうになって、桃子は慌ててその1つを掴んだ。 いま、テーブルの上には、桃子が好きな母親の手料理が、所狭しと並ん でいる。 「最近何かあったでしょ」 にんまりした顔で、母親が言う。 「彼氏とかできちゃったりして?」 何のことだ? 彼氏など、この数年いたことはない。 そんなことをいちいち言う必要もないので黙っていると、彼女はさらに 続けた。 「ねぇ、正直に言いなさいよ。結婚するの?パソコンなんて始めちゃって」 「ハァ?」 その時桃子は初めて声を出した。 「何言ってんの?」 パソコンを始めたことと、彼氏や結婚がどうやったら結びつくのだろう。 桃子には、時々母親の言うことや考えていることが分からない時があっ て、それは年を重ねるごとに増えてきている。 「パソコンに詳しかったら、モテるわよ。きっと」 ウインクなどし始めるから、怖い。 「モテるわけないだろ。オタクだよ、オタク」 桃子がしかめっ面をしてみせても、笑顔を続けている。 「ねぇ、彼氏に会わせてよ」 子供のようにせがんでくる。 「いないっつーの」 そう返事をすると、今度は、口をへの字に曲げた。 まるで子供じゃないか。 そういえば、この前51歳になった知り合いが言っていた。 50歳を過ぎると、年齢は減っていくものだと。 「俺は、51歳じゃなくて、49歳なんだ」 と、わけの分からないことを言っていた。 年を取ると、意味不明なことを言い出すのか、それともギャグで言って いるのか分からなくて、笑えもしなかった。 50代とは、みんなこんなものなのか? -第20話へ続く- |
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No 501
Date 2007・05・24・Thu
ウィーン第2楽章-コレー-5月11日
ウィーンといえば…?? これを食べなきゃ始まりません ![]() ザッハー・トルテ(現地語では、サッハーという発音でした) ![]() 1番有名なカフェー、ザッハーは8時から開いてます。 昼過ぎるともう店内は混み混みになるという噂を聞きつけて、朝のうち に行っちゃお〜 ![]() と、ホテルで朝食を食べてすぐに向かいました。 地下鉄U1に乗り、シュテファンスプラッツという駅で降りると、右手に シュテファン寺院が、大きく聳え立っていました。 ![]() ここは是非見たい観光名所の1つですが、それより何より、今はザッハー よ 賑やかな通りを、オペラ座方面に歩きました。ザッハーは、朝早いせいか席が空いていました。 でも、店内はけっこう人がいます。 席に着くと、慣れた感じの店員さんがやってきました。 「どうせ、ザッハートルテでしょ〜?」って感じでしょうか ![]() もちろん、そうなんですけど ![]() それと、アインシュペンナーという珈琲を頼みました。 これは、ブラック珈琲にホイップクリームを乗せたもので、グラスに入 って出てきます。 発音するのも面倒くさく、わたしたちは、ガイドブックを見せながら、 「コレ、コレ」 って。 完全に、おばちゃん化してます ![]() ![]() むかしだったら、絶対に喋ってやる〜って思っていたのに…。 ![]() ザッハートルテには、あっさりしたホイップクリームがついてきます。 これがないと、多分食べきれないでしょう。 だって、ものすっごく甘くて重いんです ![]() 間に挟まっているアプリコットジャムが甘さを抑えてくれると思いきや そんなことはありませんでした。 朝から食べすぎ〜 ![]() 満腹状態で、すっかり動きが鈍くなりました。 写真を撮ってもらったので、チップを弾むと、お兄ちゃん嬉しそう ![]() 次に向かう、ヴェルヴェデーレ宮殿までの道のりも親切に教えてくれて、 わたしたちは、朝のまったりカフェータイムを終えたのでした。 ちなみに、このザッハートルテ。 フランツ・ザッハーという方が考案したものらしいです。 作り方は秘伝だったそうですが、ザッハーの息子とデーメルの娘が結婚 したために、レシピがデーメルに伝わり、デーメルでもザッハートルテ を作るようになったのだとか。 ザッハーは、怒って裁判を起こし、オリジナルの商標を獲得。 でも、それぞれが独自のザッハートルテを作ってもいいことになったの だそうです^^ (出展:ブルーガイドのわがまま歩きより) そんなわけで、ウィーン滞在中は、この2つのザッハートルテを食して 食べ比べをすることが目標の1つになっています ![]() |
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No 499
Date 2007・05・22・Tue
女園秘書室-第18話-秘書室生活2日目に突入いたしました。 今日はいったいどんなことが桃子を待ち受けていることでしょう。 今日も多分、分からないことだらけ。そして、口に出せば、馬鹿に されることだらけ。 それでも桃子は進んでいくのです。 そう、白旗の立派な社長秘書になるのです!! どうか、桃子に力を貸してやってください。 何にも出やしませんが、感謝の気持ちだけは忘れないでいること でしょう。 第18話 だって、どう考えてもおかしくないか? 桃子はパソコンの前で腕を組み、首を横に傾げた。 フランスからのメールが、三分やそこらでパソコンに送られてくるな ど、桃子には考えられないことだった。 そんじょそこらの距離じゃないぞ。 海を渡って、いくつもの国を超えたところにある国だぞ。 どうなっていやがるんだ。 桃子はまぼろしに包まれたような気がしていた。 その謎が解明されないまま、桃子は半日を社長と共に過ごした。昼食 は、社員食堂でトンカツを食べ、午後の仕事に備えた。もちろん、昼食 も社長と一緒だ。 「そうだ、花木さん。きみのパソコンに先ほど会議資料を送っておい た。それを十部プリントアウトしておいてくれ」 午後の会議まで、それほど時間がなかった。 すぐに秘書室に戻り、メールをチェックする。 社長からのメールはなかった。 「送受信」 と書かれたボタンを押しても、いっこうにメールが流れてこない。 社長室に電話をしてみたが、社長はメールを送っていると言い張った。 「なんで、フランスなんてあんな遠い国からのメールがすぐに届いて、 こんなに近くにいる社長のメールが届かないんだ」 「また、何か困ってるんですか?」 かわいらしいお弁当箱の蓋を閉じながら、樹里がパソコンを覗き込んで きた。 「社長からのメールが届かなくて」 辺りを見回してみると、人は少なかった。 桃子は、一世一代のチャンスとばかりに、肝を据えてもう一度樹里に聞 くことにした。 「メールってどうなってるんですか?フランスからのメールはすぐにや ってきて、どうしてこんなに近くから送っている社長のメールはすぐに 届かないんですか?」 半ば怒ったような口調になる。 分からないことだらけで、イライラしているのが自分でも分かるくらい だった。 「そんなに怒らなくても…」 樹里が、口元を押さえて笑った。 「仕組みは、正直分かりません。でもね、電話だってそうでしょ?近く とか遠くとか、世界中どこでもすぐにつながりますよね?」 世界中かどうかは分からない。 だいたい、海外に電話をしたことがない。 「はぁ」 桃子が放心したように生返事で頷くと、彼女はさらに続けた。 「だからね、場所が遠いとか近いっていうのは、関係ないんです。社長 のメールが届かない原因は分からないけど」 そう言って、彼女は、桃子のパソコンをもう一度覗き込んでマウスを動 かした。 数秒も経たないうちに、樹里は呆れた顔をして言った。 「来てますけど」 パソコンを覗き込むと、本当だ、会議資料と書かれた社長からのメール がある。 「もう開封済みになってますよ」 開封済み?いったいそれは何だ? 「一度見たんじゃないですか?」 あぁ、そういうことか。このメールをあたしが一度開封したということか。 いや、あたしは見ちゃいない。 午前中は、社長につきっきりで、一度もこの部屋に戻ってきていないのだ。 でも、それを言っても始まらないだろう。 「見たんですかね」 曖昧に笑ってごまかすと、樹里はますます表情を険しくした。 「しっかりしてくださいね。社長の秘書なんですから」 「社長の」というところを、ものすごく強調して言う。 それにしても、おかしなことだった。 桃子はメールを見ることなどできないはずなのに、確かに、そのメール は、開封済みになっているようだ。 見ていないメールは、黒い太文字になっていて、見たメールと区別して 表示されているのは、分かる。 桃子は当然自分では見ていないので、黒い太文字から社長のメールを捜 していた。 どうなっていやがる。 思わず舌打ちすると、樹里がまたしても冷ややかな目で桃子を見つめた。 「今日も勉強か」 会社からの帰り道、一人つぶやいてみる。 胸の辺りが、振動した。携帯電話だ。 「もしもし、桃子ちゃん?」 この世で桃子のことを桃子ちゃんと呼ぶ人は、ひとりしかいない。 桃子の母親だ。 -第19話へ続く- |
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No 500
Date 2007・05・19・Sat
ウィーン第1楽章-迷走-5月10日
ウィーンの空港からSバーンという国鉄 に乗って30分。ウィーン北駅に到着して、徒歩 10分でホテル![]() 9時半くらいまでにはホテルに着いて、余力があればどこかのカフェ に行って、美味しい珈琲 とケーキ を堪能する。そんなお気軽プランは、すぐに抹殺されました(笑) まず、そのSバーンという国鉄の乗り場が分からないのです ![]() それらしき場所を発見して、重いスーツケースを持ち上げて階段を 降りていくと、そこはCATという乗り物のホームでした。 CATとは、シティ・エアポート・トレインの略で、30分間隔で運行して いて、ウィーン・ミッテ駅まで16分で走っている電車らしいのですが、 正直、ウィーン・ミッテ駅で乗り換えて、ウィーン北駅まで行く自信 がなく、この電車に乗るのは断念しました。 どうしよ…。 グルグルと歩いて、空港内に戻ろうとすると、もう1つ階段を発見。 降りていくと、Sバーンの電車です ![]() ふらふらしている駅員さんにウィーン北駅まで行くか確認すると、 「英語、ダメ」 と、片言の英語で言われたものの、地図でwien nord(ウィーン北駅) を指差してみました。 「おぉぅ」 理解してくれたようで、横にあった券売機でチケットを買ってもらい (えぇ、もちろんお金は出しましたよ)、電車に乗り込みました。 ようやく一安心です ![]() 電車が走り出して、地下から地上へ出ると、あたりは真っ暗。 飛行機が着いた時には、まだ明るかったのに… ![]() すぐに暗くなるんですね。 ドイツ語のアナウンスは分からないので無視して、ドイツ語表記の停 車駅名をずーっと見つめ、なんとかウィーン北駅に到着です。ホッ ![]() おぉ〜、これでホテルに着いたも同然さ! あとは地図見て歩けばいいんだもん。 右手には、映画「第三の男」で使われたというプラター公園の観覧車。 このあたり、ガイドブックによると治安が悪いらしいのです。 それは、駅から出てすぐに分かりました。 なんとなーく、ガラの悪そうな ニイやんたち がたむろしてます。美女2人と野獣たち…?? 早速プリントアウトしてきた地図を見て方向を定めるのですが。 まったく分かりません!! わたし、決して方向音痴じゃないんですけど、初めての地で暗いとく れば、もう???です。 ふと、こちらをチラチラ見ているおばちゃんと目が合いました。 おぉ〜、この人ならきっと助けてくれそう ![]() 淡い期待を抱いて接近。 「すみません(←英語)」 ベラベラベラーー(←ドイツ語) 多分、英語は分からないのでしょう。 うぉ〜〜。何言ってるか分からない〜 ![]() 地図を見せてみると、ふむふむ頷いて、またベラベラベラー。 指をさして、なんちゃらスターシオンって言ってます。 「あっちってことじゃない?」 「行ってみるか〜」 おばちゃんにお礼を言って、おばちゃんが指さした方に歩いてみる。 すると、後ろのほうでおばちゃんが叫んだのです。 振り返ると、またおばちゃんが指さしてます。 どうやらトラム(路面電車)に乗れって言ってるみたい。 そっか〜、スターシオンって聞こえたのは、電車のことだったのかな? ドイツ語、むかし独学したけど、忘れちゃったんだよねぇ ![]() ちょうどやってきたトラムに乗って、トラム内でチケットを購入。 この国って、すごいんです。 電車もそうだけど、切符買っても改札がないんです。 入るときも出るときも。 切符買ったら、刻印機で日時を刻印するだけ。 悪い人がいないのかしら?だって、これじゃぁキセルしてる人がいて も、ぜんっぜん分かりません。 でも、しないんでしょうね〜。 トラムは、普通に車と同じ道路を走るので、赤信号で止まります。 1つ目の駅で降りる。おばちゃんが1と指で教えてくれていました。 わたしなんて、電車が止まるのは駅だと思っているので、止まった から降りようとしちゃいました。 おばちゃんの方を振り返ると、首を横に振ってなにやら言ってます。 突然またトラムが動き出しました。 あ、降り遅れた?でも扉開いてないから、駅じゃなかった? そうなんです。ただ赤信号で停車していただけなんです。 ようやく1つ目の停留所について、降りると、おばちゃんも降りてきま した。 「ヤーパン?」 それなら分かる!! ウン、ウン。日本人だよ! うなづく。 「英語は分からないのよ〜」 らしきことを言っている。 「大丈夫よ、大丈夫」 ドイツ語と英語のコミュニケーション。 しばらく歩いてホテルに着きました ![]() おばちゃんが手を振って去っていきます。 もしかして、わたしたちのために降りてくれたのかなぁ。 わたしたちは去っていくおばちゃんに、 「ダンケ」を繰り返したのでした。 う〜ん、いい人に出会って良かったー ![]() 個人旅行ってこういうのがいいな。 ホテルでチェックインを済ませ、最上階(といっても、5階建ての5階) の1番奥のリザーブされた部屋に入る。 思っていたより、広い。屋根裏部屋みたいな感じで、小さい出窓が ついていました。 もー、ぐったりです。 このときすでに時は夜10時。 「今日はもう出かけるのやめない?」 Cちゃんの提案にうなづくわたし。 いつもセカセカと動き回るわたしでも、さすがに今日は限界です。 持参したバスクリンを入れた大きなバスタブでゆったりとくつろいで、 明日の予定だけ立てておやすみです ![]() HOTEL AM AUGARTEN ![]() 510号室 ![]() 屋根裏のような部屋で熱がこもっていて暑いです。 到着した日は、曇り だったのに…。そして、細かい雨が少し降っていたのにです。 扇風機はありましたが、窓を開けて寝ました。 ソフトバンク携帯情報 ![]() ウィーンの空港ではバッチリだった電波も、このホテル付近では弱く、 かろうじて1本たつか圏外かでした。 どこの携帯会社の電波を拾っているのか分からないけれど、eメールが 使えないときも多々あります。 手動で3Gに設定したほうがいいかも?! |
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No 498
Date 2007・05・18・Fri
ウィーン&プラハ序曲-渡航- 甲府→成田空港第1ターミナル![]() 今回はKLMオランダ航空利用のため、成田空港第1ターミナルからの出 発でした ![]() 乗換えとか、東京のごちゃごちゃには慣れていないので、甲府→成田空 港へは、直通バスを利用しました。 朝5時15分甲府駅発。 乗客3人(Cちゃん、わたし、おばちゃん1人)。 この路線、採算取れているのか心配です ![]() そんなに利用しませんが、どうか廃線になりませんように ![]() KLMオランダ航空![]() いざ機内に乗り込むと、古い機体なのか、エコノミークラスには、1人 1人に専用のテレビがありませんでした。 あぁん、映画館で観れなかった映画を観る絶好のチャンスなのに〜。 しかも、アメニティもありません ![]() ![]() 歯ブラシはスーツケースの中だし、スリッパは機内のアメニティを期待 して持ってこなかったわたし…。イタイです。イタ過ぎです。 そして何よりも苦痛だったのが、座席間が狭いこと。いろんな飛行機に 乗りましたが、1番狭いような気が…。 大型人間には辛いところです(笑) Cちゃんもわたしも170cm弱の長身だけど、唯一の救いは、小さくなって 寝るのが好きなこと。 これって、小さくなりたい願望から来てるのかしら? わたしなんて、突付かれたダンゴ虫みたいに丸まって寝るのが大好き なので、寝てしまえばこっちのものです ![]() 機内食の外装は、いままで乗った航空会社の中で1番お洒落でした。 なので、初めて飛行機に乗ったかのように、機内食をパチリ^^ ランチ ![]() 軽食 ![]() で、中身もいけます!美味しくペロリといただけました ![]() 牛肉のランチ ![]() スキポール空港(アムステルダム)![]() 今回は、アムスでトランジットでした。 わたしたちは、この先、オーストリアに向ったのですが…。 シェンゲン条約というものがあり、それに加盟している国(フランス、 イタリア、スペイン、ドイツ、オーストリア、ポルトガル、オランダ、 ベルギー、ルクセンブルグ、ギリシャ、スウェーデン、フィンランド、 デンマーク、ノルウェー、アイスランド)へ向かう場合、ここで入国 審査となります。 それ以降、シェンゲン条約国へ入国する場合は、入国審査はありま せん。 なんと便利なんでしょう! シェンゲン条約万歳 ![]() 空港は、かなーり広いです。 どこまで行っても果てがない感じ。 まぁ、乗り場が分からずに、果てまで行ってしまいましたが ![]() ![]() ヘロヘロと歩き回ってしまいました〜! 掃除のおばちゃんに聞くと、わたしたちの乗り場は、1階にくだらな ければならないとのこと。 1階部分は、かなり狭くて、立って待っている人もいました。 シュベヒァート空港(ウィーン)![]() 現地時間の19時半着予定が、1時間ほど遅れました。 入国審査はいらないし、荷物はあっという間にターンテーブルを旋回し 始め、あっけなく空港をあとにすることができ…でき…できたのでしょ うか…?! さてさて、いよいよ旅が始まります ![]() ![]() |
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No 492
Date 2007・05・17・Thu
女園秘書室-第17話-秘書室生活2日目に突入いたしました。 今日はいったいどんなことが桃子を待ち受けていることでしょう。 今日も多分、分からないことだらけ。そして、口に出せば、馬鹿に されることだらけ。 それでも桃子は進んでいくのです。 そう、白旗の立派な社長秘書になるのです!! どうか、桃子に力を貸してやってください。 何にも出やしませんが、感謝の気持ちだけは忘れないでいること でしょう。 第17話 翌日会社のパソコンがすごいことになっていた。 メールソフトを開けると、一晩のうちに100通以上のメールが来ている。 受信しっぱなしになっていた。 ふと一通のメールに目が留まった。 それは、海外からのもので、送信者の名前やタイトルなど読めなかった けれど、送信日時が気になった。 現在時刻は、八時二十八分。 受信時間は、八時二十五分。 おい、これは、どこからだ? 読めるわけがないのに、桃子はメールを開いてみた。 一番下までたどり着くと、住所が書いてある。 Paris Franceと書かれている。 パリスフランセ。 桃子は、一度口に出して、ハッと口元を押さえた。 樹里に聞かれたら、それこそまた、馬鹿にされたところだ。 一度口に出してみると、自分の読み方が間違えていることに気付く。そ れも経験だ。 パリスフランセは、フランスのパリだろう。 そんなことがあるのか?パリからのメールが、こんなに早く日本までや ってくるのか? 時差だってあるというのに。 それとも、パリスフランセという地名が日本のどこかにあるのだろうか。 先ほどから、無心になってキーボードを打ち続けている樹里をまじまじ と眺めた。 「あの…」 まだ、樹里以外に誰も来ていない今がチャンスだった。 手を止めることなく彼女が桃子のほうを向いた。 怖い…。 こっちを向いているのに、どうして、手はキーボードを普通に叩いてい られるのだろう。 「なんですか?」 相変わらず、目は桃子と合っている。 「えっと、すみません。何でもないです」 彼女が一瞬だけ化け物に見えた。 「何ですか?分からないことがあったら、聞くのが一番ですよ」 ようやく手を止めて、イスごと桃子のほうへ向いた。 そうだな。 「聞くは一瞬の恥、聞かぬは一生の恥」という言葉もあるじゃないか。 いつか、たくさんの人の前で恥をかくよりは、樹里だけのほうが気が楽 だと思った。 「海外からたくさんメールが来てるんですよ」 桃子は、樹里の顔色を伺いながら、言ってみた。 「それは仕方ないですね。社長の秘書なんですから」 彼女は、ニコリともしないで続けて言う。 「分かっていますよ。花木さん、英語ニガテなんでしょ?」 そして、少しだけ笑った。 見下されたような気がして、桃子は腹立たしかった。 一言いわせてもらうと、「英語がニガテ」なのではなく、「英語が全く 分からない」の間違いだ。 そう言ったら、樹里は桃子を「見下す」どころではなく、呆れて何も言 わなくなるかもしれない。 そんなことより、そんなことを言うために声をかけたわけではない。 「フランスのパリからメールが来てるんです」 それを言うだけなのに、なんだか吐き出しそうな気分になった。 「メールって、そんなに早く着くものなんですか?」 樹里は、桃子の言葉が理解できないようだった。 首を傾げたきり、戻そうとしない。 「だから、日本とフランスって、けっこう離れてますよね。なのに、メ ールがもう着てるんですよ」 樹里は、目を大きく見開いた。 「この受信時間が、八時二十五分ですよね。あたしがパソコンを開け て、このメールが流れてきたのが、八時二十八分なんです。三分しか経 っていないんですよ?」 樹里は、まるで桃子が言葉の通じない人であるかのように、一言一言、 言葉を区切るように発した。 「は、な、き、さ、ん。あなた、パ、ソ、コ、ン、も、できないわけ?」 ここが会社でなく、飲み会の場なら、桃子は、 「それが、どうした?」 と開き直っていただろう。 しかし、ここは会社。声を荒げるような場所ではない。 「あ、ちょっと、メールのことは良く分からなくて」 と言い訳をしてみても、樹里の驚いた顔は戻らなかった。 -第18話へ続く- |
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No 496
Date 2007・05・17・Thu
ウィーン&プラハ序曲-旅をする-これまで10ヶ国以上旅をし、1人旅などお手の物。
突然思い立ち、準備もあまりすることなく、パスポートと航空券を握り 締め、数日分だけの衣類をリュックに詰め込み、日本を飛び立つ。 英語圏以外の国?何とか通じるでしょ。 ホテル?捜せばあるでしょ。 下着や着るもの?足りなきゃ現地調達さ。 これがわたしの旅の基本だったのでした。 なのに、なのに〜。 今回旅をして、それができなくなってきている自分に気付いてしまった のです ![]() なんとも寂しいことですが、これが現状。 言葉の不安を感じるのです ![]() 荷物は確実に多くなってます ![]() 飛行機落ちないか心配です ![]() ちゃんとご飯食べれるのか(1番大事!)不安です ![]() そんな不安を抱えつつも、海外に飛び出したい気持ちは常にあって、 今回も、「行きたいね〜」と言っていただけの話を、急遽まとめて ウィーン&プラハに飛び立ちました。 ツアーに入ろうと思っていたのですが、突然のため、どのツアーに も断られ、結局は自由旅行となったわけです。 今回一緒に行った友達は、前の会社で同僚だったCちゃん。 ポンポンと面白いことを言い、突然毒舌になり、あっさりさっぱり で、のんびりやさん。わたしより2つ年下の女の子です。 渡航先をウィーン&プラハに決めたのは、2人ともピアノを習って いて、音楽が好きだから。 ただそれだけの理由です。 現地の音楽に触れ、優雅な気分に浸りたい ![]() ちょっとセレブにコンサートを鑑賞したい ![]() さてさて、どんな旅になったのでしょうか… ![]() |
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No 494
Date 2007・05・14・Mon
こんばんはチェコからこんばんは(笑)
こちらはもう少しで6時になるところです! ホテルまで坂道でぐったり…。 少し休んで、プラハ城を見に行ってきます(^o^)v 暑い〜!! |
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No 491
Date 2007・05・09・Wed
女園秘書室-第16話-次々に桃子に起こる試練。 有砂も樹里も、強敵な予感。 何か一発逆転劇が起こって、桃子が働きやすい環境になってくれたら いいのですが…。それも、まだまだ先の話でしょう。 とりあえずは、パソコン!!これをきっちり覚えて、仕事をスムーズ にできるようにすることにしましょう。 第16話 昼食会が終了し、その足で駅へ向かう。 技術の提携先である、海外の企業から偉い方々がやってくるという話だ。 堂々と構えていよう。 あたしだって、海外くらい行ったことはある。喋れなくても、ナントカ なるものだ。 そう、心があれば充分なのだ。 桃子は、意気込んで出迎えに望んだ。 ドイツからの使者は、ドイツ語なのだろうか? そうすると、社長も有砂も、ドイツ語を喋るのだろうか。 例えそれが何語であっても日本語以外なら桃子にはサッパリだけれど。 ドイツからの使者が、日本語を喋ってくれると助かるのだが、そんなわけはないだろう。 「ハーイ」 二人のうち、男性のほうが片手を挙げた。女性はニッコリと微笑んでい る。そして、こちら側の二人も相手に倣っていた。 桃子は、手を挙げるのも恥ずかしくて、少しだけ頭を下げた。 向かい合った桃子たち。 桃子以外の四人は、話が弾んでいる。 社長が桃子を前に押し出して、分からない言葉で何か言っている。 多分、紹介してくれたのだろう。 相手が手を差し出してきた。 「ナイス・トゥー・ミーチュー」 あぁ、何か聞き覚えのあるフレーズだ。 確か、始めましての挨拶だったような気がする。 英語風の発音を真似て、挨拶を返してみた。 どうだ?いけてるだろ? 桃子がニヤリと有砂に顔を向けても、有砂は、にこりともしないで、彼 らに話しかける。 きっと、今の一言で、桃子が英語を喋れないことを察知して、相手が桃 子に話しかけることを遮ったのだろう。 コノヤロウ…。 そうは思っても、何の反撃もできないことがむなしい。 パソコンも英語もダメ。 今世の中で必要とされていることが何一つできないなど、これまで考え もしなかった。 どうしたらいいのだろう。 桃子は、迷子になった子供のように急に不安になってきた。 絶対頑張ってやろうという決意と、本当にやっていけるのかという不安 が入り混じった一日だった。 桃子は、ドイツからの使者との夕食会に招かれなかった。 「今日は初日でしたから、疲れたでしょう。ゆっくり休んでください」 有砂が、微笑んだ。 その通りにとっていいのか、分からなかった。 桃子が英語を操れないことで、楽しい夕食に水をさされないようにと思 ったと推測している。 でも、招かれなくて良かったのだ。 初めてのことでも、すぐに慣れることが多かった中、この仕事は、そう はいかなかった。 有砂が優しさで、休ませてくれたと思って、今日はゆっくりすることに した。 あぁ、馬鹿だ。そんなにゆっくりしている暇などない。 駅からアパートに向かう途中、桃子は急に方向転換して本屋にかけこん だのだった。 テーブルの上に積まれた本の数々。 もともと勉強はニガテで、本などマンガ本でさえ、ここ何年も読んでい ない。 それでも、有砂の顔を思い浮かべると、猛烈に「勉強心」が湧き上がっ てくる。 「あいつに負けてられるか」 一人の部屋で叫んでもむなしいだけだったけれど、彼女の驚く顔を思い 浮かべると、嬉しくてたまらなかった。 就寝前、翌日の社長のスケジュールを何度も確認する。 まぁ、よくもこんなに動き回るものだ。 「外国、外国…。よしっ、明日は海外からは誰も来ないな」 横文字の名前がないのを見て一安心した。 買ってきた本は、むなしくテーブルの上につまれたまま、桃子はぐった りと横になったのだった。 -第17話へ続く- |
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No 489
Date 2007・05・09・Wed
see u soonいまの会社での生活も、残すところあとわずかとなりました…。
辞める と初めて思ってから、だいぶ年月が過ぎ…。 ようやく5月20日付けで退職することとなったわけです。 いろいろありました。 ちょうど前作を書いている最中のことでしたので、わたしも 新天地を捜して彷徨っていました。 朝子に頑張らせたのは、多分、自分が頑張りたかったから。 迷いなく、渡英させたのは、自分の迷いを消し去りたかったから。 そして、5月21日からは新しい職場で、新しいお仕事。 自分がずっと勉強してきた英語の分野で、海外の会社とのやりとり の一連の仕事を任されることになりました ![]() そればかりではなく、総務関係や経理関係なんかも一通り経験する ことになり、一から勉強です。 そんなわけで、またしばらく忙しい日々になる前に、海外へ行って リフレッシュしてきます ![]() 行き先は、ウィーン&プラハ。 約1年ぶりの海外です♪♪♪ ですので、今日のお昼に「女園秘書室第16話」をupしますが、それ 以降は、帰国までブログupの予定はありません…☆ 明日5月10日に出発し、5月16日には帰ってまいりますので、また 宜しくお願いします ![]() See U ![]() |
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No 490
Date 2007・05・07・Mon
女園秘書室-第15話-次々に桃子に起こる試練。 有砂も樹里も、強敵な予感。 何か一発逆転劇が起こって、桃子が働きやすい環境になってくれたら いいのですが…。それも、まだまだ先の話でしょう。 とりあえずは、パソコン!!これをきっちり覚えて、仕事をスムーズ にできるようにすることにしましょう。 第15話 桃子の行動や言動を逐一チェックしているのか、それとも次に何をすべ きかを熟知しているのか、桃子が電話を切ると、樹里が、 「車は、内線の7777に電話をしてください」 と言った。 怖い女だと思う。 こんな人の隣に座っていると思うと、気が気ではなく疲れきってしまい そうだ。 7777へ電話をすると、女性が出る。 「花木といいますけど」 かけたほうが名乗るべき。桃子は丁寧に名前を告げる。 「あぁ、新しく社長秘書になられた方ですね。わたし、社用車管理部の 大井といいます。時間と行き先をお願いします」 丁寧で優しい話し方だ。 会社に来て、初めてホッとしたような気がする。 車に乗り込んでから、桃子のお腹は、重々しく何度も鳴った。 有砂が、笑いを噛み殺している。 社長を挟んで反対側に座っている有砂に聞こえるのだから、もちろん社 長にも聞こえているのだろうが、目を瞑ったまま、微動だにしなかった。 有砂は離れて座っているのに、狭い空間にいるせいか、微かな香水の匂 いは、桃子のところまで漂ってきた。 普通、偉い人と車に乗る場合、誰がどこに乗るべきか決まっているらしい。 高級車だから、車内は広いし、どこへ座っても乗り心地は悪くはないけ れど、社長はあえて、一番窮屈な場所を自ら選んだ。 「車が止まった時、誰かが襲ってきたらどうする?真ん中に乗っていれ ば、それが防げる可能性は充分高い」 というものだった。 その通りだ。 そして、裏を返せば、桃子や有砂に万が一のことがあっても、それは仕 方のないことだと思っているのだということも分かった。 初めての会席料理は、箸が進むものではなかった。 こんなところでのマナーなど知らないし、会話は難しいものばかりで、 何も良い事はなかった。 有砂や相手の秘書は、しきりに相槌を打ったり、時々は、賢そうなとこ ろをアピールするかのように、景気がなんとやらという話をしていた。 あたしも何か言わなければイケナイ。 桃子は、必死に考える。 今朝のニュースで話題になっていた殺人事件の話なんかどうだろうか。 いやいや、食事中にそんな暗い話題はないだろう。 先ほどから、桃子を除いた四人は、株の話で盛り上がっている。 「かぶ」といったら、食べるカブのことしか知らない。 でも、食べるカブのことだって、語れるほど何を知っているわけではない。 美味しいご飯を食べているというのに、味など全くしない。 いつもの場所で、いつもの仲間と、バカな話をしながら食べるコンビニ 弁当のほうがよほど旨い。 「花木さんは、株はやらんのか」 社長が、急に話を振ってきた。 桃子は、箸で掴んでいた見たこともない食べ物を、危うく落としそうに なる。 「今はどこのが買いかな」 取引先の社長も話しかけてくる。 四人の好奇心いっぱいの目が、刺さるように痛い。 「自社株を買って、大いに頑張ってもらえるといいな」 社長がフォローとも言うべき台詞を吐いて、和やかな空気が流れた。 まったく、難しい話を振ってきやがる。 ただ、ここにいる桃子以外には、難しくもなんともないし、楽しい話な のだろう。 今や、パソコンの前に一日中座って、株の取引をしている若者も増えて いるようだ。 本屋に行けば、「株」という字がやたらと目に付く。 働かなくてもお金が入ってくるという仕組みが桃子には分からなかった。 人間は、汗水流して働いてこそ、お金をもらう意味があるというのに。 でも、自分が頭がキレるヤツになったらどうだろう。 桃子は、デキル女になった自分の姿を思い描いた。 こうして、これから長い間社長について回れば、嫌でもいろいろなこと を覚えていくに違いない。 そうしたら、今は難しいと思える話題でも楽しく語れるようになるのだ ろうか。いや、単に話しについていけるようになるだけであって、決し て楽しくはないだろう。 あぐらをかいて、ガハハと笑えるのが本当の「楽しい」だ。 -第16話へ続く- |
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No 488
Date 2007・05・05・Sat
女園秘書室-第14話-次々に桃子に起こる試練。 有砂も樹里も、強敵な予感。 何か一発逆転劇が起こって、桃子が働きやすい環境になってくれたら いいのですが…。それも、まだまだ先の話でしょう。 とりあえずは、パソコン!!これをきっちり覚えて、仕事をスムーズ にできるようにすることにしましょう。 第14話 キーボードは何とか無事だったようだ。 ただ、桃子のほうは、あまり無事ではない。 生身の人間なので、珈琲をこぼした太ももの辺りが少しヒリヒリする。 スカートは黒だから、少しのシミは目立たない。 つまみ洗いをして、今は変色しているが、やがて乾くだろう。 気を取り直して、パソコンに向かう。 画面が真っ黒だ。どうしたというのだろう。電源は切っていないはず。 それとも、省エネとして、いない間に誰か切ったのだろうか。 キーボードを軽く触ると、いきなり画面が明るくなった。 少し驚いて、イスごと後ずさりする。 立ち上げた時の画面に、先ほど開いたメールBoxがあった。 いったいどうなっているんだ? マウスにおそるおそる触れてみる。 メールBoxの下の方に、「107通のメッセージ、106通は未開封」と書いて ある。 一晩の間に、107通もメールが来る?! あたしの携帯など、一日も来ない日があるというのに。 面倒だとは思いつつ、一番上にあるメールから開いてみる。 いきなり横文字だった。 桃子は今日ここへ来て、一つ学習したことがある。 横文字を見ても、即座に「英語」と言わないことだ。 日本国内の流れとしては、日本語の次は英語だと思っていた。 義務教育中に習う外国語は英語だけなのだから、当然だろう。 ただ、「横文字だから英語」とは限らないと分かったので、恥の上塗り をしないためにも、何も言わないのが賢明だ。 こんなメールを見る必要はないだろう。どうせ読めないのだから。 タイトルが横文字のものは、見ないことに決めたけれど、半分以上が横 文字だったので、さすがに慌てた。 パソコンの次は、外国語か…。 初日で何も分からないとはいえ、これでは仕事以前の問題だ。 何日かして慣れればできる仕事ではない。 そして、中途半端な気持ちでは、決してできない。 時間を追うごとに、こなせない仕事の量と比例するように、どんどん決 意がみなぎっていった。 とは言っても、できないものはできない。 現状でできないものは、とりあえず無視だ。 日本語のメールをすべてチェックし終わる頃に、電話が鳴った。 電話は、一人一人の机の上に置いてあり、桃子の電話だけ、赤いランプ を点滅させながら鳴り響いている。 「内線ですから」 樹里が言う。 内線?内線ということは、会社内から誰かが桃子だけに用事があって、 かけてきているということだ。 電話は正直苦手だ。携帯電話は、誰からかかってきているか分かるから 安心して取れるが、一般電話は、ついついぶっきらぼうになってしまう。 「はい」 緊張しながら受話器を耳にあてた。 「花木さんか?」 「はい。そうですが」 「名前くらい名乗って出るべきだ」 相手は、少し不機嫌そうだ。 チェッ、偉そうに。かけてきたお前が先に名前を名乗れ。 もちろんそんなことは口には出さない。 「戸波だ」 桃子の心の声が聞こえたかのように、電話の相手が言った。 「戸波」といえば、社長じゃないか。 桃子は、社長の秘書なんだし、今日来たばかりで他に係っている仕事も ないのだから、かけてくる人は、社長くらいしかいない。 「はい、社長」 「はい、社長か…。まぁいい。十一時四十五分から、客と昼食を取るの は、分かっているな?」 「はい」 返事をしながら、桃子はスーツのポケットを探って、社長のスケジュー ルの紙を出した。 いつも、「早い、安い、多い」をモットーにご飯を食べている桃子でも 知っている名前の会席料理の店。 会社から歩いて五分とかからないところにある。立派な店構えで、入店 していく客も、立派な服装だ。 今まで、桃子には縁のない場所だと思っていた。 「車を呼んでおくように」 あの距離を車で行くのか?社長ってのは、いったいどんな生き物なん だ。車になんか乗ったら、渋滞で返って時間がかかってしまう。 よほど意見をしてやろうと思ったけれど、やめておいた。 まだ初日だ。くだらないことでクビにでもなったら困る。 社長の性格をよく観察して、そうして徐々に自分を出していくことにし よう。 -第15話へ続く- |
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No 487
Date 2007・05・03・Thu
女園秘書室-第13話-次々に桃子に起こる試練。 有砂も樹里も、強敵な予感。 何か一発逆転劇が起こって、桃子が働きやすい環境になってくれたら いいのですが…。それも、まだまだ先の話でしょう。 とりあえずは、パソコン!!これをきっちり覚えて、仕事をスムーズ にできるようにすることにしましょう。 第13話 コピー機に走っていった女性も、樹里と同じく、副社長の秘書だ。 彼女は、明らかに、樹里より年上に見えた。 それでも、樹里が指示を出すということは、立場的には、樹里のほうが 上なのだろう。 女性ばかりの職場は、何があるか分からない。 しばらくは、様子を伺うことにしよう。 コピー機の女性、名前は「羽田みちる」といった。 彼女がコピーを終えると、他の秘書たちが一斉に一枚ずつ用紙を取り、 会議資料の一番上の紙を差し替えた。 「いってらっしゃい」 会議に出向くのは、社長、副社長の秘書だけ。つまり、桃子、有砂、樹 里、みちるの四人だけである。 桃子たちが出て行くのを、他の秘書たちは頭を下げて送り出す。 社長、副社長の秘書と、他の取締役の秘書とはこうも差があるのか。 自分が偉くなったような気になってはイケナイと思いつつ、顔はニヤけ てしまう。 会議は、滞りなく、予定通り十時半に終了した。 会議終了後の社長のスケジュールは、一時間「業務」と書かれているだ けだった。 もう一度、ポケットに突っ込んだ紙を確認する。 「社長」 会議室の一番奥に座った社長のところへ向かおうとすると、有砂に肩を 掴まれた。 「花木さん、ごめんなさい。ちょっと」 社長は、一瞬だけ顔を上げたが、またすぐに資料に手をかけている。 桃子は、有砂に摘み出されるようにして会議室を出た。 「言っておかなくては」 有砂は、高い声で一つ咳払いをした。 「社長のスケジュールの中で、業務とあるものは、実は社長の休息時間 なんです。ですから…一時間、秘書室で待機してください。そして」 一息つくと、彼女は続けて言った。 「このことは、阿東室長とわたししか知らないことですから、他言しな いように」 有砂が、軽い笑みを浮かべる。 それは、普通の女の子のもので、「可愛い」笑顔だった。 秘書室に戻ると、珈琲の香りがする。 樹里が立ち上がり、 「ちょっと待っててくださいね」 と言い残し、秘書室を出て行く。 珈琲を手に戻ってきた。 だから、あたしは熱い飲み物は飲まないんだよ。 と、心の中では毒づいても、口にも顔にも出さない。 「いただきます」 そう言って、桃子は席に着いた。 どうも調子が狂う。 「いただきます」など、最近は食事前にも言わなくなった。 今までなら、警備員仲間が自販で買ってきてくれた飲み物を投げてもら い、片手でキャッチして、「わりぃな」とか「もらうぜ」などと男のような 口調でお礼を言っていたあたしが、「いただきます」だって? これが、一流への第一歩なのか? 珈琲を一口すする。 なかなかいいじゃないか。目を瞑ると、どこかの高級ホテルのラウンジ にでもいるような気分になってくる。 「花木さん、外国語はともかく、パソコンは大丈夫でしょうね」 誰だい、あたしの休日をジャマするヤツは。 ゆっくり目を開けると、そこは、秘書室だった。 当たり前だ。桃子は、珈琲の香りに酔いしれて、いつの間にか別世界へ 飛んでしまっていたようだ。 「あぁ、ハイ」 ビクッとした瞬間、紙コップに手が当たった。 一口しか飲んでいない珈琲は、デスクの上に瞬く間に広がっていく。 「アツッ」 パソコンのキーボードの上にも飛んでいる。桃子の太ももの辺りにも飛 び散った。 「あぁ、キーボードが」 樹里が慌てふためく。自分のデスクの中から、布巾を取り出して、桃子 の足より先に、キーボードを拭きはじめた。 幸い、いまデスクの上にあるのはパソコンだけで、書類などが汚れるこ とはなかったが、樹里は、 「昔、キーボードに珈琲をこぼして、使えなくした人がいたんです」 と、呆れ顔で言った。 「その後、クビになりましたよ」 イジワルそうな顔で笑う。 「ま、それだけが理由ではなかったですけどね」 もう一人の副社長秘書、沢渡渚が顔を上げた。 -第14話へ続く- |
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No 486
Date 2007・05・01・Tue
女園秘書室-第12話-桃子には珍しく、落ち込んでいますが、 会社へ行けば、もっとたくさんの難関があるはず…。 秘書室で一緒に働く女性たちも次々と登場してきます。 どんな人と働くのだろう…。うまくやっていけるだろうか…。 そんな悩みより、いまはパソコンの悩みが優先的です。 桃子、しっかり!! 桃子秘書いよいよ出陣です。 第12話 社長室へ入った。 小学校の時悪さをして、校長室に呼び出された時の記憶が蘇った。 桃子はそれほど萎縮していた。 それでも、部屋がシンプルで、高価そうなものが何も置かれていないの が唯一の救いだった。 阿東は、秘書室へ戻り、有砂はお茶を淹れに行った。 部屋には桃子と社長の二人だけだ。 「さて、花木さん」 名前を呼ばれて、桃子は、直立不動の姿勢で社長と向き合った。 「今日の会議の資料を、きみのパソコンに送ってあるんだけど、その資 料の会議開始時間を、九時二十四分に訂正しておいてくれ」 「はい」 勢いよく返事をしたものの、桃子の心臓は猛スピードで爆音を立てている。 「パソコンに資料を送った」とは、多分メールを使ったのだろう。メー ルなら、携帯電話でもやり取りをしているし分かるだろう。 社長室を飛び出すと、お茶を淹れた有砂が静かに立っていた。 「頑張ってくださいね」 有砂は、秘書室へ向かう桃子の背中に向かって言った。 振り返ると、意味ありげに笑っている。不気味だ。 桃子は逃げるように、秘書室へ駆け出した。 パソコンを開く。だいたい、桃子のパソコンと同じ画面が立ち上がった。 さて、一体メールはどこを見ればいいのだろう。 画面の左端に、小さな絵がいくつも並んでいる。その下には言葉が書い てあるが、正直、「ごみ箱」しか分からない。 それ以外のものを、全部開けてみることにしよう。 昨日のうちに、ウインドウの消し方が分かっていて良かったと胸をなで おろす。 この部屋で、パソコンの画面を指で押さえていたら、それこそ笑いもの になってしまうところだった。 ごみ箱の下には、Internet Explorerと書いてあり青で英語のeの絵が描 かれている。 「インテーネット」 おぉ、口に出さなくて良かった。「インテー」じゃなく、「インター」 で、「インターネット」だ。 これもメールではない。 次に、桃子でも名前だけは知っているwordやexcelがあるが、いちいち一 度心の中でつぶやくのを忘れない。 「ワード」は、「ウォード」。「エクセル」は、「イクセエル」と読ん でいた。英語で書かれている文字に関しては、一度目は、口に出さない ほうが懸命だ。間違えている可能性が大きい。 これもメールとは関係ない。桃子は、一つずつ丁寧に右上のバツ印を、 マウスでクリックしていく。 「Outlook Express」 excelの次にあった絵をクリックすると、受信トレイと書いてあるウイン ドウが開いた。 そして、何も触っていないのに、受信トレイというところが動く。 隣の席の樹里が、パソコンを覗き込み、 「あぁあぁ、すごいメールの数。昨日から使えるようにしておいたか ら、社長や阿東室長が、あなた宛にもメールを送ったのね」 ため息をつきながら、ニヤッと笑った。それが何を意味しているのか分 からなかったけれど、桃子は、彼女に感謝した。 福井さん、ありがとう! 彼女のお陰で、これがメールのソフトだということが分かったのだ。 「秘書室でパソコン関係のことだったらわたしに聞いてくれればいいか ら。それでね」 彼女は、続ける。 「メールは一分ごとに送受信するようにしておいたから」 一分ごとに送受信?なんのことか分からなかったが、今はとりあえず、 社長から来ているはずの会議資料が添付されたメールを探すのが優先だ った。 受信トレイに次々とメールが送られてくる。 送信者の名前を追う。 「戸波京介」が社長の名前だ。 送信者の名前は、全てローマ字だった。 これは、探すのに一苦労だ。普段、日本語しか見慣れていない桃子にと っては、迷惑な話だ。ローマ字は読めないわけではないのだけれど、日 本語より、少し時間がかかる。 「会議資料」 ようやく、そのタイトルのメールを発見したとき、すでに時間は、会議 の十分前。 秘書室の面々が、いっせいに動き出した。 「花木さん、行かなきゃ」 樹里に声をかけられる。 「いや、会議資料の時間を訂正しないと」 ようやく、メールを開いたところで、樹里が桃子のパソコンのキーボー ドに手を乗せた。 メールからファイルを開き、パチパチっと時間を訂正する。 まるで魔法でも見ているかのようだった。 次の瞬間には、プリンターから一枚の紙が出てきて、樹里は、自分の前 の席に座っている女性に紙を手渡す。 「二十部コピー」 手渡された女性は、すぐさまコピー機に向かった。 -第13話へ続く- |



にクラクラ。















ですが、ちゃんとしたものが仕上がって

















に乗って30分。
10分でホテル
とケーキ

ニイやんたち


だったのに…。
甲府→成田空港第1ターミナル









