笑@会社

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No  149

第八十四話

「ダメなんです。好きになりすぎて」
久しぶりに彼女はわたしの目をまっすぐ見た。
「ナオトって、仕事も忙しくて自分の時間もないんです。
たまの休みは、自分の趣味に時間を使いたいらしくて、
会えないんですよね」
テーブルを叩く指の動きがスピードを上げる。

「あんまりわたしのこと好きじゃないのかもしれない。
会いたくない言い訳って感じがする」
「最初のペースはどうだったの?」
夏樹ちゃんの「コツコツ」がわたしにも移る。
「最初は、休みのたびに会ってましたよ」
「でも、最初はみんな頑張るからね。ペースが落ちる
ことはあるよ」
そう言うと、彼女は首を小さく横に振った。
「ペースが落ちるって言うより、もう一ヶ月近く会って
ません」

確か、あの合コンをしたのが七月の初め。
今は九月の半ば。
知り合って二ヶ月。
それで一ヶ月近くあっていないということは、意気投合
して盛り上がったはいいけれど、すぐペースが落ちて
しまったということになる。

始まりが、お互いに軽い気持ちだったのが、「ナオト」
はその調子のままで、夏樹ちゃんが本気になったという
ところだろう。
二人でテーブルを弾いている音は、大きくなる一方だ。
「どうしたいの?」
「会いたいですよ」
「じゃ、そう言えば?」
「言っても言っても、今日はダメ、その日はダメ。
ごめんの一言もないんですよ」
「やめちゃいなよ。そんなの辛いじゃん」
彼女自身も迷っているようだった。

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