笑@会社

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No  5

第三話

わたしがいま勤める会社に入社したのは、一年前の四月。
大手の会社での経験を買われてやってきた。
とは言っても、その会社は二年で辞めている。

二年そこらでやめておいて、偉そうなことは言えないけれど、
辞めたのは、その会社では自分が存在している意味を感じら
れなかったことが大きな原因だ。
わたし一人がいなくなっても、代わりは他にいくらでもいる
のだ。

「若井さんがいなければ困る」
入社して一年で、自分が求められる存在になれる会社で働き
たいと思い始めた。
人間関係もくだらなかった。
昇進のためなら、どんな卑怯な手を使ってでも、人を蹴落と
すことなど日常茶飯事だった。
年下の上司から怒鳴られる退職近いおじさんたちも見ていら
れなかった。
お茶をいれることと、社内の噂話を生きがいとする女性たち
にも呆れるだけだ。
「そんなに口を動かすのが好きなら、営業にでも行ってくれば?」
何度心の中でそう思っただろう。
こんな状態だったから、サッパリと辞めることができた。

親にはものすごく反対された。当然といえば、当然だ。
それまで勤めていた会社に比べれば、かなりの高待遇で、
しかも自宅からは自転車でも通える距離だったのだから。
それでも、自分の道は自分で決めたかった。
もう、親に口を出されて事を決める年齢ではない。

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