笑@会社

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No  664

桃子、愛を食べる 第6話

主な登場人物

花木桃子
デーンとした大きな体に、肝っ玉のすっきりあっさりした性格。三十を超えても独身を貫いてい
るが、独身でいたいわけでもなさそう?!体育以外に得意科目はなく、体力勝負で抜擢され
た社長秘書での仕事は四苦八苦。日本語以外は全部英語だと思っている可愛い面も。

福井樹里
才女であり、美人。天から二物以上の物を与えられた女性。生まれも育ちも複雑で、最近ま
ではいい環境に身をおいていなかったものの、桃子と出会い、前向きに進む勇気を与えられ
希望を見出している。

アンドリュー・グリーン
イギリスのグリーンジュエリーの跡取り息子。代々伝わる秘宝の赤く輝く石を狙われ、行方不
明に。
もうすぐ三十路の容姿端麗で、頭もいい男。


[桃子、愛を食べる 第6話 -愛より食べ物-]

「サンキュー、モモコ、ジュリ」
三人は、高層ビルの最上階のフレンチレストランにいた。
クリスマスの夜に、男一人と女二人というシチュエーションは、店員から不思議な目で見られ
ていた。桃子は、樹里とアンドリューを交互に見た。
アンドリューは、俳優になれそうなほど見てくれがいい男だった。背が高く、細身の体型。金
髪のさらさらした髪の毛。細いが凛々しく上がった眉。大きな二重の目。端正な顔立ちをして
いる。
この二人、美男美女でなかなかいいのではないか。樹里は英語も喋れるし。樹里は、三人で
何かを話すたびに、桃子のために日本語に訳し、アンドリューのために英語に訳していた。こ
こは気を遣ってやろう。あたしからのクリスマスプレゼントだ。
桃子は席を立ち、
「帰るよ」
と言った。
宝の石を守ってくれたこと、自分を助け出してくれたことに感謝して、桃子と樹里を食事に招待
してくれた。クリスマスの予約でいっぱいだったろう人気のレストランでこうして食事ができる
のは、グリーン家は、世界でも名の知れた富豪であるからだろう。
自腹ではないこの食事を、最後まで楽しみたい気持ちはあるけれど、自分にはこんな素敵な
場所は似合わない。そう感じていた。
そんなとき、ふと思い浮かぶのは、昨晩も食したラーメン屋の塩ラーメン。
「それがあたしさ」
食事の途中に立ち上がった桃子を、二人は不思議そうな顔で見つめている。
「彼女、どうしたの?気に入らないことがあったのって、アンドリューが心配してるよ」樹里が
座ったままで、桃子の腕を取る。
「いや、あたしにはやっぱり高級料理より、ラーメンのほうがあってるって思ってさ」
樹里とアンドリューがお似合いに見えたから。とは言わなかった。
ちょっと悔しい気分が混じっていたからだ。そんなとき、自分も女なんだなと実感する。
いつもはそんな素振りを見せていなくても、やっぱり彼氏は欲しいし、幸せな結婚も望んでい
ることに気付いて、恥ずかしくなった。

「ラーメン」
急に、アンドリューが叫んだ。
そして、なにやら樹里に早口でまくしたてている。
「あのね、桃子さん」
樹里が苦笑いしながら桃子に耳打ちする。
「さっき、訳さなかったんだけどね」
樹里はもったいぶって、ニヤニヤしている。
「アンドリュー、桃子さんのこと気に入ったみたいなの。どうやったら彼女を口説けるかな?っ
て相談を受けていたのよ。いい男だから、ちょっと悔しさもあって、桃子さんにはすぐに言わな
いでおこうって思っちゃった。わたし、イジワルね」
樹里も、正直な女だ。
先にそう思ってから、いきなり、
「えぇぇぇ?」
と声を上げる。
アンドリューがわたしを口説きたいって?それってどういうことなんだい?あたしのことがスキ
ってことかい?桃子はヘナヘナとその場に座り込んでしまった。
「あたしにも幸せが?あぁ、でも英語なんて喋れないぞ。なんてこった」
桃子はその場を動けずにいた。
「ラーメン、ラーメン」
アンドリューだけが、何かのメロディに乗せて、陽気になっている。
「あのね、桃子さんがラーメンが食べたいなら、僕もラーメンを食べに行くって。ほんっと悔しい
んだけど、樹里も通訳として付いてきてって。桃子さんの頭のよさと勇気と度胸に惚れたみた
いよ」

グリーン家の者以外が宝の石を持つと不幸が起こるという話は、桃子が昨晩思いついたこと
だった。それがとても上手い理由だと思っているらしい。
桃子が強行突入したこと、アンドリューを助け出したこと。去り際に、男のみぞおちに一発パン
チをして、
「アンドリューが受けた痛みを知れ」
と言ったこと。
この全ての出来事で、アンドリューが桃子を気に入ったというのだから、世の中捨てたもので
はない。

来年のクリスマスはどうなっているか分からないけど、今年はとりあえずラーメンだ。恋よりラ
ーメンを取った桃子だったが、英語を勉強するにはどうしたらいいのか密かに頭の中に思い描
いていたのである。


**完**
走り去るように書いた短編でした…。
読んでいただいて、ありがとうございました♪
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No  663

桃子、愛を食べる 第5話

主な登場人物

花木桃子
デーンとした大きな体に、肝っ玉のすっきりあっさりした性格。三十を超えても独身を貫いてい
るが、独身でいたいわけでもなさそう?!体育以外に得意科目はなく、体力勝負で抜擢され
た社長秘書での仕事は四苦八苦。日本語以外は全部英語だと思っている可愛い面も。

福井樹里
才女であり、美人。天から二物以上の物を与えられた女性。生まれも育ちも複雑で、最近ま
ではいい環境に身をおいていなかったものの、桃子と出会い、前向きに進む勇気を与えられ
希望を見出している。

アンドリュー・グリーン
イギリスのグリーンジュエリーの跡取り息子。代々伝わる秘宝の赤く輝く石を狙われ、行方不
明に。
もうすぐ三十路の容姿端麗で、頭もいい男。


[桃子、愛を食べる 第5話 -熱い戦い-]

樹里の家に戻るよりは、桃子の家のほうが近いという理由で、桃子は初めて樹里を自分のア
パートへ案内することになった。狭苦しく、お世辞にもキレイとは言えない部屋に、樹里を迎え
るのは正直嫌だったのだが、決して笑わないことを条件に、彼女を迎え入れた。
彼女は、笑わなかった。それどころか、桃子の部屋を暖かみのある部屋だと気に入ったのだ
った。桃子は反省した。いったい樹里をどんな人間だと思っていたのか、恥ずかしくもなった。
住んでいる部屋が古いから、狭いからと、そんなことで人を判断するような小さい人間ではな
いと、分かっていたはずだったのにと反省した。
帰りがけに、売れ残っていたケーキをテーブルに並べ、二人でクリスマスを祝った。
クリスマスなんて。
そう思っていたはずなのに、誰かと一緒に過ごすと、なんとなく浮かれて楽しい気分になった。
「アンドリューにも食べさせてあげたいね」
樹里が言って、いまだに赤と緑を点滅させている球体を眺めた。
暖房が効いていない部屋にいるのだろう。寒いと言っていたことを思い出して、自分達が温も
りのある部屋にいることが辛く感じた。
桃子は、球体を二つに割って、アンドリューが言う宝の石を取り出した。
人の血で作られたという伝説を持つ石。
見たこともない透き通るような赤色は、言われてみれば血のように見えなくもない。
「なぁ、これって」
桃子は、残ったケーキを口の中に放り込む。
「例えば、アンドリューの家の人間以外が持っても、幸せになれるものなのかな?」
宝の石を蛍光灯の光に透かしたり、近付けたり遠ざけたり、桃子は石をいろいろな角度から
眺めた。
「まさか、桃子さん。それを盗んで、自分が幸せになろうっていうんじゃないでしょうね。ゲホッ」
樹里が、ケーキを喉に詰まらせ咳き込む。

さっきの言葉を撤回するぞ、こら。
冗談半分、本気半分で桃子は苦笑いした。
「あたしをそんな人間だと思っていたのかい」
樹里は大声で笑う。彼女なりの冗談だったとそれで分かった。
「あのさ、こんな単純な手に乗るとは思えないんだけど」
桃子は、自分が思いついたアンドリュー生還、そして宝の石を取られずにいられるプランを樹
里に話して聞かせた。突然思いついたプランの割には、いい手段だと、樹里はすぐに賛成して
くれた。
あとは、上手く行くことを祈るのみ。そして、もしも上手くいかない場合は、強行手段に出るの
みだ。指をボキボキと鳴らしてみた。
久し振りに腕が鳴る。高鳴る胸の鼓動を抑えることができず、桃子は寝付けなかった。それ
は、遠足の前に浮かれて眠れない小学生のそれと似ていた。

明けてクリスマスの日。
今日がクリスマス本番だというのに、世間はもうイベントの後だった。普段の日とあって、半日
前には溢れかえるようにいた人が、ほとんどいない。
桃子と樹里は、真っ直ぐにオーロラジュエリーへ向かった。十時には開店するだろうと、十分
ほど前に店の前に着くと、女性が店のガラス窓を拭いていた。
中には、ショーケースの中のジュエリーを磨く男が一人。あいつか?
愛想のいい女性店員が、開店準備中の店内に招きいれてくれた。
「いま人気がありますのがこちらの」
彼女が薦めようとするジュエリーには目もくれず、桃子は男の元へと歩いていった。

樹里が男に英語で話しかける。
彼は一瞬驚いた顔を見せた。外国から来た人には見えないのに、樹里が英語で話しかけた
からだろう。それでも戸惑いはすぐに消えたようだった。男は、英語で言葉を返す。
桃子にはちんぷんかんぷんだった。
「ピーチ?」
「ジュリアン?」
二人は途中で目を合わせた。
これは、昨夜二人が決めた互いの呼び名だった。桃子は日本人役なので、ピーチと呼ばれる
必要はなかったのだけれど、英語ができる前提でいこうという樹里の提案で、呼び名を決めら
れた。
そして、これは「行くぞ」の合図だった。
話をしても、埒があかないときには、この呼び名を呼んで確認しあうことにしていたのだ。
桃子は、堰を切ったように一気に喋り始める。
「彼女はアンドリュー・グリーンの弁護士です。あなたがたがグリーン家に伝わる家宝を盗もう
としたこと。そしてアンドリュー・グリーンを誘拐したことはすべて分かっています。いま、彼を
引き渡すなら表ざたにしません。ただ、嘘をついたり、隠したりすると話を公にしますよ」
桃子は、秘書室で培った丁寧な言葉遣いで、男に歩み寄って言った。
「なんのことだか?」
男は、口ひげを撫でながら、そ知らぬ顔だ。
「そうですか」
桃子は、さぞ残念そうに俯いた。それも一瞬のこと。素早く男の脇を抜けると、店の奥にある
階段へ駆け寄った。一段飛びで階段を駆け上がる。
男がそれを追いかけ、樹里がそれを追う。そして、最初は愛想が良かった女性店員が樹里の
後を追う。まるで、誰が一番早く階段を駆け上がれるかを競争しているかのようだった。
男が叫ぶ。
「こんなことして、どうなるか分かっているのか。不法侵入で訴えるぞ」
すると、樹里が叫ぶ。
「そっちこそ、アンドリューを誘拐したくせに。国際問題に発展しますよ」
もはや英語で喋ることなどすっかり忘れて、日本語になっていたが、そんなことは誰も気に留
めなかった。
女性店員が続く。
「やめて」
いち早く三階に着いた桃子が叫ぶ。
「アンドリューどこだ?」
もちろん日本語である。が、アンドリューは発音が悪くても、きちんと自分の名前を聞き取った
ようで、扉をガンガンと叩いた。奥の扉からそれは聞こえた。
男が桃子の肩をがっしりと掴む。
「お前たち、生きて返さないぞ」
目が血走っていたが、桃子は少しも恐怖を感じなかった。秘書室に務める前に、警備員をして
いた頃、こんな人間を何度か取り押さえたことがあった。少しも怖くない。
桃子は男の手を振り払った。それはものすごい力だった。男がよろける。
樹里は男の後ろに立った。その後ろに女性店員。そして、女性店員が言った。
「あなた、これを」
女は、どこから持ってきたのか、右手に銃を携えていた。それを男に放る。
桃子の後ろは壁だ。逃げる場所はない。
男が気味悪く笑った。そして、銃口を桃子に向けながら、ゆっくりと樹里のほうを振り返る。
「さぁ、お嬢さん。アンドリューの弁護士さんだそうだが、持っているね。あの石を。弁護士さん
なら信用されているだろうからね。それを渡せば、アンドリューは無事に帰してやる。彼女も助
かるよ」
桃子を顎で指す。

短い沈黙があった。
「あははは」
桃子は、大声で笑い始めた。それは、本当におかしくて仕方がないというような笑いだった。
銃で狙われているのに、こんな風に笑えるのは桃子だけだろう。それが例え演技だとしても。
「あんたさぁ」
桃子は笑うのをやめて、真剣な顔に戻った。そして、もういつもの荒っぽい口調に戻っていた。
「あの石の歴史を知らないんだね。かわいそうなヤツだよ。そんなに欲しけりゃやるけどね。何
が起こってもあたしたちのせいにしないでおくれよ」
桃子は、ポケットからアンドリューの宝の石を取り出した。
男の目の色が変わる。
「アンドリューの父親から、この石を盗んだやつがいたんだ。その男の結末を知りたいかい?
翌日、地下鉄の爆弾テロに遭遇し、足を失ったんだ。その後、経営していた会社は倒産し、家
族は離散した。怖くなった男は、アンドリューの父親にその石を返しに来た。すると、家族がも
う一度皆で頑張ろうと、彼の元に戻ってきて、小さいながらも商売を始めることができたんだ。
足は戻らなかったけどね」
「そんなのは嘘だ」
男は、銃口を桃子に突きつけながら叫んだ。
「だから、いいよって。それが嘘だと思うんなら、やるからさ。その代わり、悪いことがあった
ら、ちゃんとアンドリューに返しに来いよ」
桃子は、グリーン家に伝わる大切な宝の石を男に向かって放り投げた。
男は…。男はそれが自分にあたりそうになると、避けた。
桃子が言った話を嘘だといいながら、すっかり信じきってしまっていたのだ。
ガクガクと膝から崩れ落ちる男。呆然と立ち尽くす女。
「おい、開けろ」
男の前にデーンと立って、桃子は彼を見下ろした。
男がスーツの内側から鍵を取り出した。


**第6話更新はこのあと30秒後!!続けてお楽しみ下さい**
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No  666

桃子、愛を食べる 第4話

主な登場人物

花木桃子
デーンとした大きな体に、肝っ玉のすっきりあっさりした性格。三十を超えても独身を貫いてい
るが、独身でいたいわけでもなさそう?!体育以外に得意科目はなく、体力勝負で抜擢され
た社長秘書での仕事は四苦八苦。日本語以外は全部英語だと思っている可愛い面も。

福井樹里
才女であり、美人。天から二物以上の物を与えられた女性。生まれも育ちも複雑で、最近ま
ではいい環境に身をおいていなかったものの、桃子と出会い、前向きに進む勇気を与えられ
希望を見出している。

アンドリュー・グリーン
イギリスのグリーンジュエリーの跡取り息子。代々伝わる秘宝の赤く輝く石を狙われ、行方不
明に。
もうすぐ三十路の容姿端麗で、頭もいい男。


[桃子、愛を食べる 第4話 出会い]

大通りに出てタクシーを拾う。ジュエリーショップは相変わらず、ショーウィンドウが明るく、華や
かな印象を与えていた。桃子はコートのポケットから静かに球体を取り出した。メインの通りから
脇に入ったこの道で赤と緑に光るそれは、寂しそうにも見える。
ガー、ガッ、ガー。
調子の悪いスピーカーのような音が聞こえ始めた。
「ほら、やっぱりそうだよ」
桃子は球体を樹里に渡す。樹里は、そっと耳に近づけた。
「戻ってきてくれたんだね。きみは、いまオーロラジュエリーの前にいるんだね?」
聞こえてくる言葉は、英語なので、桃子は何も分からない。唯一分かるのは、ジュエリーだけだ
った。悔しいな。そんな風に思いながら、こればかりはどうしようもなかった。
樹里は、「イエス」とだけ返事をした。そして、
「何者なのか、聞いてみるね」
と、桃子に向かって小さな声で言った。
「あなたはいったい誰なの?」
「僕は、アンドリュー。アンドリュー・グリーン。イギリスから来たんだ。きみは、誰?一人なの?さ
っきは何故答えてくれなかったの?レンズに向かって話してくれるかい?」
樹里は、レンズを自分の顔に向けた。そして、名前を名乗り、桃子という友人が一緒にいること。
この球体は桃子が拾ったもので、さっき答えられなかったのは、桃子が英語を理解しないことを
告げる。
そして、それを桃子に訳して話す。
「そう、分かった。きみは英語は大丈夫なんだね」
ホッとしたような声が聞こえてくる。
「僕を助けてくれないか?」
ヘルプという単語は、桃子にも理解できる。助けてほしいということは分かっている。でも、何故
なのか。それが分からない。
樹里がその理由を問いただすと、アンドリューは黙ってしまった。
「それは、助けてくれたら話すよ」
随分時間をかけていった言葉はそれだけだった。
「どう思う?」
樹里は、桃子に問いかける。怪しい気がしないでもなかった。助けてほしい理由が分からない。
何をどう助けるのかも分からない。だいたいこんな球体を作って、細かく配線をしたりレンズをつ
けたりしていることも理解できない。
「こいつ、怪しいんじゃないか?」
それが桃子の出した結論だった。
それに、樹里も頷く。アンドリューと名乗る男は、じっと息を潜めているのか、時折呼吸する音だ
けが球体から漏れてくる。
シンと静まり返った暗い道。少し遠くに目をやると、通りを賑やかに歩いている人たちが見える。
「助けてほしい」
球体から、絞り出したような苦しそうな声が聞こえてきた。
いったいこの男に何が起こっているというのか。
「理由を話すよ」
そう言って、アンドリューは話を始めた。

二人が持っている球体には、グリーン家に伝わる家宝の宝石が入っているということ。その宝石
とは、数百年前に、国を統治していたグリーン家の先祖が、戦いで流した血でできたものだとい
うこと。圧倒的不利な状況でも、その戦いに勝利したこと。それから、その石は宝の石としてグリ
ーン家で大切に守られてきたのだということ。グリーン家は、いつも安泰で、安泰どころか、いつ
の時代も栄え、悪いことは一つも起こっていないということ。その話は、グリーン家だけで語り継
がれていた話だったのに、取り引きを始めたこのオーロラジュエリーの社長にこの話をしてしまっ
たこと。商売が傾き始めていたこの社長が、宝の石を狙い始めたこと。
日本に招待されて、監禁されてしまったこと。
自分は、この上の階にある部屋に閉じ込められている。ドアは中からは開けられない。高い位置
に窓があり、よじ登ってみたが、とても体を通せるほど大きなスペースはない。桃子たちが手にし
ている球体を外に放り投げた。それは、もしその球体が盗まれたとき、どの場所にあるか分かる
ように、レンズが取り付けられていること。周りの音や声などを確認できるように受発信機能が取
り付けられていること。宝の石を取り出さなかったのは、身体検査をされて、それを見つけられる
のを恐れたからだと言った。幸い閉じ込められてまだ半日。オーロラジュエリーの社長は、明日
になれば必ず身体検査をするだろうと予想している。

「それにしてもなぁ。そんな大事なものが入ったものを落とすかね」
桃子は、半分はまだ疑っていたが、
「半日、何も口にしていないんだ。喉は渇くし、お腹がすいた。寒いし」
という言葉を聞いて、可愛そうに思い始めた。
食べれないことほど不幸なことはない。食べることに生きがいを見出している桃子は、こんな理
由で、アンドリューを助けようと思ったのだった。
そして、神に向かって、
「あたしは、この可愛そうな男を、キリスト生誕のイブの日に助けてあげるという大仕事をしての
ける。あたしにも幸せくれるよな?」
なんとも恩着せがましい願いを、しかもタメ口でつぶやいたのだった。

二人はいったんその場を離れた。暗く人通りもない道。しかもジュエリーショップの前に立ってい
ては、泥棒と間違えられるだろうという樹里の判断だった。
賑やかな通りに出ると、相変わらず、人気のある観光地であるかのように人が歩いている。
「いいね」
樹里がつぶやく。
夜更けるにつれて、歩いているのはカップルばかりになっていた。
「あぁ」
桃子は、関心がない振りをした。本当は、本当のところは羨ましく、いいなと思っていたのだけれ
ど。それは樹里には言わなかった。

近くの喫茶店に入って、コーヒーを飲みながら、対策を練る。しかし、良い案は浮かんでこない。
どう考えても、あのジュエリーショップに今から入るのは不可能だ。高価なものが置いてあるだけ
に、扉を破れば警報機が作動するだろう。警備会社か警察かに通報され、どんな理由があれ、
捕まるのがおちだ。三階建てのその建物の三階に、アンドリューが言っていた小さな窓を確認し
ていた。彼は三階にいるのだろう。外からよじ登れそうなところもなかった。
二人は同時に唸った。結論は出た。

再びオーロラジュエリーの前にやってきた。
樹里に結論を話してもらう。
「アンドリュー、聞いて」
アンドリューは返事をしなかったが、聞いているだろう事は分かっていた。息遣いが微かに聞こえ
てきたからだった。
「明日来るわ。今夜だけ我慢してくれない?桃子さんはね、犯罪者を取り押さえたことがある人
なの。力と勇気は誰にも負けないわ。必ずあなたを助けると言っている。安心してちょうだい」
アンドリューは、数分かかって、「オーケー」とだけ言った。きっとすぐにでも助け出してくれると期
待していたのだろう。可愛そうだが、自分達が犯罪者になるわけにはいかない。
と言っても、翌日オーロラジュエリーが開店したら、乗り込んでいって、店主の許可なく上がりこ
んでアンドリューを助けるという手段も犯罪に近いような気はするけれど。


**第5話更新は明日25日夜9時です。お楽しみに**
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No  662

桃子、愛を食べる 第3話

主な登場人物

花木桃子
デーンとした大きな体に、肝っ玉のすっきりあっさりした性格。三十を超えても独身を貫いてい
るが、独身でいたいわけでもなさそう?!体育以外に得意科目はなく、体力勝負で抜擢され
た社長秘書での仕事は四苦八苦。日本語以外は全部英語だと思っている可愛い面も。

福井樹里
才女であり、美人。天から二物以上の物を与えられた女性。生まれも育ちも複雑で、最近ま
ではいい環境に身をおいていなかったものの、桃子と出会い、前向きに進む勇気を与えられ
希望を見出している。

アンドリュー・グリーン
イギリスのグリーンジュエリーの跡取り息子。代々伝わる秘宝の赤く輝く石を狙われ、行方不
明に。
もうすぐ三十路の容姿端麗で、頭もいい男。


[桃子、愛を食べる 第3話 澄んだ赤色]

樹里はレストランで父親と食事をした直後だったという。
運転手つきの高級外車が、割合下町の要素が多い場所に、桃子をピックアップしにやってきた。
車は、程よい温度調整がされていて、体が徐々に温かさに馴染んでいく。その間、じわじわと痺
れるような感覚に囚われながら、桃子は樹里の父親に話しかける。
「よくお休みが取れましたね」
彼は、総合病院の内科医で、常に多忙を極めていて、始終家にいない。それによって、実の娘で
ある樹里とも、つい最近まで仲は冷え切っていた。
熊のように大きい彼が、
「樹里のためならと思ってね。あいにく、まだ一緒にクリスマスを過ごす相手はいないようだし」
豪快に笑うと、車が左右に触れたような気がして緊張した。
その後は、揺れることなく、滑らかに通りを抜け、樹里の家にたどり着いた。

仲良くなってから、何度も通っている樹里の家は、もう自分の家であるかのように勝手が分かっ
ている。
熊の父は、自宅へ帰るや否や風呂場に直行した。この後、夜勤が控えているという。最近は、医
師不足が進み、一日休むという日は少ないのだという。以前は、それが原因でほとんど顔を合わ
せることがなく、樹里はゆがんだ性格になっていた。それでも、それを素直に「申し訳なかった」と
認め、樹里のことを心から思っていたことを知った樹里は、今はそのことについて、何も文句は言
わない。むしろ、人の命を助ける仕事をしている父を誇らしく思っているようだった。

二人は樹里の部屋へ直行し、その光輝く球体をテーブルの上に置いた。
桃子と樹里は、顔を寄せ合いながら、レンズを覗いてみる。
「ヘルプって言ったんだ。それくらいはわたしにも分かるんだけど、そのあとが」
桃子は言葉を濁し、苦笑いした。
「ねぇ、でも…」
樹里は、球体を手に取って眺める。
「さっきから、何も言わないわね」
そう言われれば、球体は急に口をつぐんだ気がする。一人の時でないと、喋らないのだろうか。
しばらく黙って待ってみたが、うんともすんとも言わない。
樹里が英語で話しかけてみる。それでも、球体はただ光るばかりで、何も言わない。
そのうち、あれは球体が喋ったのではなく、近くにいた人が言っていたのかもしれないとまで思う
ようになっていた。
「放っておこう」
桃子は、気が長くない。ゴロンとフローリングの上に寝転んだ。
樹里は、相変わらず球体を眺めたり、時々話しかけたりしている。
よく飽きないものだ。桃子は、体を横たえながら、それを見ていた。
樹里はしばらくして、
「あっ」
と言うと、球体を持つ手に力をこめた。
カチャッ。
球体は二つに分かれた。その中は、小さなカメラレンズのようなものの他に、細い線が何本も配
線されている。そして樹里は、小さな袋も見つけた。
「なんだろう、これ」
お守りの袋のようなそれを取り出すと、ポロッと何かが落ちた。ころころと転がる赤く丸いもの。ベ
ッドの下に入りそうになって、桃子は慌てて掌でそれを抑えた。
「ナイスキャッチ」
二カッと白い歯を見せて笑ってから、
「あ、あたしってば英語使えるじゃん」
ガハハと大笑いした。
樹里も釣られて笑う。

桃子の掌に乗せられた赤く丸いものは、透明感のある赤い色をしていた。透き通った赤色とでも
いうのだろうか。あまりにもキレイな色に、二人はしばらくその赤いものに見入った。惹きつけら
れるという表現がピッタリだった。
「ねぇ」
テーブルの上に肘をついて吸い寄せられるように赤いものを見ていた樹里が、唐突に言った。
「それを拾った場所に行ってみない?」
「えっ?」
桃子は、赤いものをテーブルの上に置かれた袋の上に丁寧に置いた。
「理数系は苦手だからどうなっているかは分からないんだけど、こんな風に配線がしてあるんだ
から、何かの電波を通して声が聞こえるんだと思うの。そうすると、そこから遠く離れてしまったこ
こでは、声が届かないんじゃないかしら」
理数系とは言わず、何もかもほとんどが不得手の桃子は、あえて何も言わず、樹里の言葉に従
って立ち上がる。
外から帰ってきたばかりの二人は、また外に出ることになった。
風呂から出て、出勤準備を始めていた樹里の父は、見送られるはずだったのに、二人を見送る
形になった。


**第4話更新はこの後30秒後です。続けてお楽しみ下さい**
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No  665

桃子、愛を食べる 第2話

主な登場人物

花木桃子
デーンとした大きな体に、肝っ玉のすっきりあっさりした性格。三十を超えても独身を貫いている
が、独身でいたいわけでもなさそう?!体育以外に得意科目はなく、体力勝負で抜擢された社
長秘書での仕事は四苦八苦。日本語以外は全部英語だと思っている可愛い面も。

福井樹里
才女であり、美人。天から二物以上の物を与えられた女性。生まれも育ちも複雑で、最近までは
いい環境に身をおいていなかったものの、桃子と出会い、前向きに進む勇気を与えられ希望を見
出している。

アンドリュー・グリーン
イギリスのグリーンジュエリーの跡取り息子。代々伝わる秘宝の赤く輝く石を狙われ、行方不明に。
もうすぐ三十路の容姿端麗で、頭もいい男。


[桃子、愛を食べる 第2話 -謎の球体-]

すると、どうしたことであろう。その場所から遠のけば遠のくほど、ビービーという音は、大きく
なる。桃子の足元で鳴っているかのように大きく聞こえるのである。
振り返る。缶がぶつかった辺りに、片手に収まる大きさほどのボールのような球体が見えた。
それが、赤く点滅した数秒後に、今度は緑に点滅する。クリスマスの装飾品のように見えた。
どこかから落ちてきたのだろうか。
周囲を見回すが、ツリーは見当たらなかった。
知るか。
桃子はまた歩き出す。
すると、今度は、なにやら言葉を発した。
「んあ?」
もう一度その球体に近づいていく。その声は、人間の声だったが、残念ながら桃子には理解
できなかった。日本語ではなかったのだ。
「ヘルプ」
という最初の一言は、理解できた。その次には、もう何を言っているのか、分からなくなる。
息継ぎをしないで、よくそこまでペラペラと喋れるものだと思うほど、延々と何かを言っている。
その間も、球体は赤、緑と点滅を繰り返す。
そして今度は、桃子が少し遠ざかろうとするものなら、
「ヘルプ」
と、叫ぶ始末だ。
どうしたものだ。桃子は、アスファルトの上に転がっているそれをまじまじと見つめた。道路に
顔を押し付けると、氷のように冷たくて驚く。
「んあ?」
もう一度言うと、桃子は球体の真ん中に目を向けた。小さい鏡のようなものが光っている。指
で触ってみた。
なんとか、かんとか。
再び球体が喋りだす。手にとって、目を凝らしてよく見ると、カメラのレンズのようなものがはめ
こまれている。これで、人が近くにいるのを見て、何らかの方法で話しかけているのだろうが、
桃子がそれを知る由はない。
面白いな、これ。ただの装飾品ではなさそうだ。
レンズをまじまじと眺めている。相手には、桃子の顔の一部がクローズアップされて見えてい
て、さぞ驚いていることだろう。
それでも、球体の中からする声は、何かを話し続けている。
あまりにも鬱陶しくなった桃子は、大声で一言、
「うるさい」
と言うと、今度は小声で、
「あいつしかいねぇな」
とつぶやいて携帯電話を取り出した。

「暇?って聞かれるの、今日は嫌な感じだろうけど、暇?」
クリスマスイブに暇。
それがどうしたというのだ?と、自分では思う。けれど、世間はそうは見てくれない。
寂しい奴。可愛そうな奴。
そんな風に思われるのだ。
「ま、どっちでもいいけど」
そんなことはどこ吹く風の桃子は、平然としていたが、電話の相手は気を悪くするかもしれな
いので、気を遣う。
「暇なわけないじゃないですか」
相手が一瞬深いため息をついて、あきれたような声を出したので、桃子は戸惑った。
まだまだこいつ相手には、どう話しかけたら良いか気を遣うな。
だいぶ仲良くなったつもりの電話の相手だったが、まだしっくりいかないときもある。
「と、言いたいところですが、実は暇です。たったいま、暇になりました」
電話の向こうから、笑い声と同時に、風の音だろうか、ときおり「ササササ」という音がして、
桃子の耳を駆け抜ける。
「合流しようぜ。面白いものを見つけたんだ。そして、あんたがいないとお手上げの品物さ、樹
里さん」
誰も見ていないのに、桃子は、口の右端を上げて、ニヤッと笑ってみせたのだった。
「決まったな。今の台詞」
電話を切ってから、一人ほくそ笑む桃子であった。


**第3話は明日24日午後9時更新。お楽しみに**

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No  661

桃子、愛を食べる 第1話

主な登場人物

花木桃子
デーンとした大きな体に、肝っ玉のすっきりあっさりした性格。三十を超えても独身を貫いている
が、独身でいたいわけでもなさそう?!体育以外に得意科目はなく、体力勝負で抜擢された社
長秘書での仕事は四苦八苦。日本語以外は全部英語だと思っている可愛い面も。

福井樹里
才女であり、美人。天から二物以上の物を与えられた女性。生まれも育ちも複雑で、最近までは
いい環境に身をおいていなかったものの、桃子と出会い、前向きに進む勇気を与えられ希望を見
出している。

アンドリュー・グリーン
イギリスのグリーンジュエリーの跡取り息子。代々伝わる秘宝の赤く輝く石を狙われ、行方不明に。
もうすぐ三十路の容姿端麗で、頭もいい男。


[桃子、愛を食べる 第1話 -クリスマスなんて祝わない-]

街がイルミネーションに覆われる。
赤や緑。
いや、間違いなく、赤「と」緑。
生きている限り、クリスマスはやってくる。
「別に、キリスト教徒ってやつでもないのにさ」
自分は、ずいぶんとひねくれた人間だ。桃子はそう思っている。
キリスト教徒でもないのに、クリスマスを祝うとか、十字のネックレスをつけるとか、そんなの
ご法度だと考えてしまうのだ。
「どうでもいいけど」
手のひらをすり合わせると、寒さが遠のいていく。でも、それもほんの一瞬だ。後には、赤くな
った手が、いっそう痛さを感じるだけだ。

どこから集まってきたのか、通りには人が溢れかえっている。
「クリスマスは明日だっていうのに」
桃子は、またぶつぶつと言った。
ここ最近、キリストの誕生である二十五日より、クリスマスイブの二十四日のほうが、本格的
に祝われている。
「信仰心がないんだから、いつだっていいのさ」
真っ直ぐに前を見て、人の群れをかきわけ、ただひたすら歩いていく。
そして見えてきたのは、赤い看板のラーメン屋だった。
普段は、何の飾り気のないラーメン屋。おじさんが一人でふらっと立ち寄るような店。仲間と連
れ立って楽しそうにしている人など、見たことがない店内。だからといって、暗いわけではな
い。旨いラーメンを一人すするときの優越感を感じられる店なのだ。
「だいたい」
桃子は思う。
ラーメンを食べているときなど、人と会話をしている時間はない。少しでも時間があくと、麺は
あっという間にのびて、鉢の中は嵩を増す。
だから、旨いラーメン屋に行くのは、一人でも寂しくはない。
「でも」
この日は、少しだけ寂しさを感じた。ラーメン屋の入り口のガラス窓に、白い粉でサンタクロー
スやとなかいの絵が描かれていたのだ。そして、メリークリスマスという文字。
光る装飾品。
「けっ、ラーメン屋までクリスマスかい」
そう文句を言いながらも、ガラス戸を開ける。もわっとした空気。白い煙は、水蒸気か、マイナ
スイオンの空気清浄機のように桃子に襲い掛かる。
その湯気の向こう側から、店主の精の出る声が響く。
「おぅ、桃ちゃん。なんだい、クリスマスに一人でラーメンかい」
子の字状のカウンターには、まばらだが十人弱の客が座っている。その面々が、夢中になっ
ていたラーメンどんぶりから一旦顔を上げる。桃子は、ほんの一瞬だけ、店内で注目を浴びる
ことになった。
客たちは、見てはいけないと思いつつ顔を上げ、そしてやっぱり見てはいけなかったと、慌て
てラーメンに集中する。
「ちぇっ、おっちゃん、クリスマスは明日だよ」
負け惜しみを大声で言ってみる。
そして、店内にいる客には頭の中で、
「おまえたちも同じだろ。こんな日に一人でラーメン食べるなら」
と問いかけた。

ラーメン屋は長居する場所ではない。
一杯のラーメンをすすると、桃子は十分足らずで店を後にした。
店内にいたのはほんの僅かな時間だったにも関わらず、その間に外はグンと冷え込んでい
た。周囲は楽しそうに腕を組んで歩くカップルや、相手がいない者たちで集まったのであろう
集団が騒いでいて、暖かそうに見えた。
「ちぇっ」
知らず知らずのうちに舌打ちをする。最近、それが癖になりつつあった。
もう何年彼氏と呼べる人がいないのだろう。指折り数えるのも面倒になってきた。
人の多い通りから外れて、わき道にそれる。どちらから歩いても自宅に帰る距離は変わらない。
「ちぇっ」
もう一度つぶやいて、ちょうど足元に転がっていた缶を蹴り飛ばした。
カランカラン。
夜空に突き抜けていくような爽快な音を立て、缶は暗がりへ転がっていった。缶が止まった先
は、ジュエリーショップだった。もう店は閉まっているというのに、ショーウィンドウは明かりが
つき、きらびやかなジュエリーたちがまばゆく輝きを放っていた。
「ビー、ビー」
缶が止まって、何かが音を立てる。
暗闇の向こうで、赤いランプが点滅し始めた。発光しているものの正体は、暗くてよく分からな
い。何かの警報機を押してしまったのだろうか。
「あたしは何にもしちゃいないぞ」
誰かに気付かれる前に、逃げてしまおう。
桃子は、そそくさと立ち去ろうとした。


**第2話は30秒後に更新です。続けてどうぞ**
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No  660

3夜連続クリスマス特別企画

世間はクリスマス一色なのでしょうか…?
最近自宅と会社の徒歩4分圏内と、自宅とジムの徒歩7分圏内しか移動していないわたしに
とって、街がイルミネーションに彩られているかどうかすら分かりません(笑)

なんとか、クリスマスオーナメントを並べて気分を高め、クリスマス企画?!として小説をかい
てみました。
こちら、本編が終わってもいないのに「女園秘書室」の番外編となっております。

突飛な出会い。
戦う女。
恋する異性。
そして別れ。
「桃子、愛を食べる」は、12月23日から25日の3日間、毎晩21時に更新します。
なお、女園秘書室本編は、12月26日正午より再開します。

それでは、皆様、楽しいクリスマスを
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